【空き家の固定資産税いくら払ってる?】経験者104人アンケート調査

空き家の固定資産税 アンケート調査

空き家を所有するとつきまとうのが、維持費の問題です。

なかでも、空き家を利用しているかどうかに関わらずかかる「固定資産税」には、悩む人も多くなっています。

では実際空き家を所有している人は、固定資産税としてどれくらいの金額を払っているのでしょうか。

今回は空き家を所有した経験がある104人にアンケートを実施し、固定資産税の負担や困りごとについて聞きました。

【調査概要】

  • 調査対象:空き家を所有したことがある人
  • 調査期間:2025年11月5日~18日
  • 調査機関:自社調査
  • 調査方法:インターネットによる任意回答
  • 有効回答数:104人(男性55人/女性49人)
  • 回答者の年代:20代 9.6%/30代 23.1%/40代 24.0%/50代 22.1%/60代以上 21.2%
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空き家の固定資産税は平均15.5万円

空き家の固定資産税

空き家の所有経験がある104人に年間の固定資産税を聞いたところ、平均は約15.5万円でした。

ただ、ボリュームゾーンは「5万超10万円以下(38.5%)」となっており、10万円以下の人が74.1%を占めています。

一方で「年間50万円」「100万円」など、高額な固定資産税を払っている人も。

固定資産税は、立地や土地の面積、建物の有無、築年数などによって異なるため、差は大きくなりました。

空き家の固定資産税を高いと感じる人は75.0%

空き家の固定資産税を高いと感じる人の割合

「空き家の固定資産税を高いと感じるか」という問いには、「とても高いと感じる(32.7%)」「やや高いと感じる(42.3%)」が合わせて75.0%という結果に。

4分の3にあたる人が、空き家の固定資産税を高いと感じています。

また「妥当」と感じる人は22.1%いても、「安い」と感じる人はわずか2.9%。

空き家の固定資産税については、負担感や納得できない感が大きいとわかります。

空き家の固定資産税を高いと感じる理由

  • 5年10年単位で見ると、大きな額になるから(30代 女性)
  • 使わないものに税金を払うこと自体、すごく損してる気がするので(50代 女性)
  • 誰も住んでおらず、家賃収入などの収益がまったくないためです。ただ所有しているだけで毎年15万円を支払い続けるのは、大きな負担です(50代 女性)
  • 空き家で田んぼの奥地にあるのに、評価額は200万。固定資産税は年間35,000円(60代以上 男性)
  • 固定資産税は年間4万円。再建築できないため、売却できないような無価値の土地なのに、税金だけをとられるのはおかしいと思うから(60代以上 男性)

「金額そのものが大きくて負担」「評価額が妥当でない」「使わないものにお金を払っているので高く感じる」という声がありました。

とくに多かったのは、使わないものにお金を払いたくないという声。

収益を生まない不動産や価値が低いと思われる不動産に対してお金がかかると、金額自体は年間数万円程度でも、高く無駄に感じます。

空き家を所有しているだけで損をしているという感覚につながりやすいのですね。

「長期間保有することを考えると、大きな負担」という声もあって、所有し続ける場合には支払いが続くことも、高いと感じる理由になっていました。

空き家の固定資産税は妥当と感じる理由

  • 維持するのに必要最低限だと思うから(30代 女性)
  • 空き家の広さや構造からしても妥当だと思うから(30代 女性)
  • 住宅ローンを払い終えていて、家計における負担感は少ないため。老後の不安となる「居場所」の問題が解決されたため(40代 女性)
  • 賃貸できれば、10万円の固定資産税は十分回収できる(50代 男性)
  • 生活を圧迫するレベルではないから(60代以上 男性)

固定資産税の支払いが生活を圧迫するほどではない場合には、妥当と受け取られる傾向にあります。

他に「家の価値からして妥当」や「将来利用予定があるので許容できる」という意見も。

不動産自体がオーナーにとって何らかの価値をもっているため、固定資産税が必要経費として受け入れられやすいと考えられます。

また「住宅ローンを払い終えているから」という回答もあり、固定資産税を含めた空き家の維持にかかる費用全体の負担感が、固定資産税への納得感に影響していることも伺えました。

空き家の固定資産税を安いと感じる理由

  • 三重県の田舎なのに駐車場がない戸建てなので、借り手がおらず空き家になってる期間のほうが長い。ただ年3万円なら空き家でも大した問題にならないので(30代 女性)
  • 自分で所有している不動産よりとても安い(40代 女性)
  • 田舎なので、土地代が安いから(50代 女性)

税額が年間数万円程度など、金額があまり大きくない場合には「安い」と感じている人が多くなりました。

支出にはなっているものの、金額そのものをストレートに評価している層となります。

「この程度の負担なら空き家を所有し続け、固定資産税を払い続けても問題ない」と考えられるのですね。

評価額が安くなりやすい地方の空き家を所有している人から、回答が寄せられています。

空き家の固定資産税に関して困ったことは「誰が払うかで揉めた」

空き家の固定資産税に関して困ったこと

「空き家の固定資産税に関して困ったこと」の1位は「誰が払うかで揉めた(21.2%)」でした。

2位「名義変更が大変だった(16.3%)」、3位「金額が負担になる(15.4%)」が続きます。

お金の負担よりも、家族間の調整や手続きに困った人が多くなっています。

実際に支払っている固定資産税は年間10万円以下の人が約75%でした。

そのため金銭的負担については、「価値と照らし合わせて割高と感じることはあっても、まあこなせる」というケースが多いと考えられます。

一方で「兄弟姉妹で負担割合を巡って揉める」「手続きがわかりにくい」といった負担は、大きなストレスです。

1位 誰が払うかで揉めた

  • 兄弟間で税金の負担割合をどうするかで意見が分かれ、話し合いに時間がかかりました(30代 男性)
  • 誰が支払うかで兄弟げんかになった(40代 女性)
  • 負担の割合を決めるときに、話し合いでかなり時間を費やしたこと(40代 女性)

1位は「誰が払うかで揉めた」でした。

固定資産税の納税義務は、「毎年1月1日時点で不動産を所有している人(基本的に登記簿上の名義人)」が負います。

そして不動産の名義人だった親が亡くなって相続が発生する場合には、固定資産税の納税義務は相続人全員に発生。

実際には誰かが代表して払ってもいいですし、按分しても構いません。

ただ相続人が複数いる場合には、負担割合の話し合いがうまくいかず、家族間の揉めごとに発展して困った人が多くなりました。

例えば「便宜上名義は自分にしたけど、実際には自分も住んでいないし、兄弟姉妹にも負担してほしい」といった主張があると想像できます。

2位 名義変更が大変だった

  • 相続後の名義変更の手続きが思った以上に面倒でした(30代 男性)
  • 名義変更の手続きが複雑で、役所への申請や必要書類をそろえるのに時間がかかりました(40代 女性)
  • 相続した際、固定資産税の支払い名義を複数いる相続人全員の名義に変更する手続きが非常に面倒でした。また納税通知書は代表者の一人に送られてくるため、他の相続人に都度連絡を取り、税金の分担と送金を依頼しなければならないのが煩雑で、毎年負担になっています(50代 女性)

2位は「名義変更が大変だった」でした。

相続発生後、固定資産税が相続人に請求されるためには、相続による名義変更(相続登記)を行う必要があります。

この相続登記の手続きが煩雑で難しく、困ったという人も多くなりました。

とくに複数の相続人で空き家を相続する(共同名義にする)場合には、書類が多くなって大変です。

相続登記の手続きが難しくて大変な場合には、司法書士などに相談することをおすすめします。

3位 金額が負担になる

  • 年間6万円。生活費を圧迫する(20代 女性)
  • 年間15万円。持ち家の固定資産税支払いと重なるので、出費が多いときには困ったことがある(40代 女性)
  • 年間50万円。名義が父からに代わって、負担になった(60代以上 男性)

3位は「金額が負担になる」でした。

固定資産税がまとまった額になる場合には、当然支払いが負担となります。

年1回または年4回に分けて支払うのが一般的で、とくに一括払いする場合には納税時期の負担は大きいですね。

金額が比較的少なく、冷静に考えると妥当だとは感じていても、実際に請求が来ると「痛い」と感じる人もいました。

また金銭的負担に関連して「更地にしたいけど、固定資産税が上がって負担が大きくなるからできない」という声もあって、固定資産税の負担が空き家整備のハードルになっていることも伺えます。

4位 支払いが続く

  • 売りに出しているが売れないので、固定資産税を払い続ける必要がある(50代 女性)
  • いつまで払い続けるのか踏ん切りがつかなかった(60代以上 女性)
  • 処分に困っているが、固定資産税だけを払い続けている(60代以上 男性)

「支払いが続く」が4位でした。

固定資産税は空き家を所有し続ける限り、支払い義務が発生します。

とくに、空き家を手放したいけどなかなか売れないといった場合は、片付かない荷物を抱えたまま、お金だけがかかり続ける状況です。

出口が見えないまま所有し続けて支払いも続く状況が苦痛になり、困りごととして認識されていました。

また「踏ん切りがつかなかった」という回答からは、固定資産税が負担になり空き家を手放したいけれど、思い入れがあって決心がつかないといったケースがあることも推測できます。

5位 住んでいないのに払う

  • 住んでいないのに税金が発生する(50代 女性)
  • 空き家なのに払わなきゃいけないこと(50代 男性)
  • 長年誰も住んでいないのに、固定資産税だけ払わなければいけないことでした(60代以上 男性)

「住んでいないのに払う」が5位。

困っているというよりも、固定資産税について感じている不満と言える回答です。

誰も使っていない家に対して支払いが続くと、「対価を得ていないのにコストだけ負担している」「維持費だと言われても納得できない」という気持ちになります。

無駄なお金を払っているような気がして、抵抗感が強くなるのですね。

活用できていない空き家の固定資産税について抱きやすい不満だと言えます。

まとめ

空き家の固定資産税は年間10万円以下が大半でした。

ただ一部には年間100万円以上を支払った経験のある人もいます。

さらに100万円以上払っていても、空き家に相応の価値を見出していたり十分な収入があったりして、「高く感じない」という人もいました。

つまり空き家の固定資産税が妥当だと感じられるかどうかは、金額はもちろん「オーナーが感じる不動産の価値」や「オーナーの経済的余裕」にもよります。

また固定資産税に関する困りごととしては、金銭的負担よりも「誰が払うか」「名義をどうするか」といった手続きや家族間の調整が多く挙げられました。

空き家の固定資産税を支払ううえでのストレスが低減されるためには、納得感やわかりやすさがポイントになるとわかります。

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