契約不適合責任とは?民法改正で変わった売主の責任
2020年の民法改正により、不動産売買における「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」へと変更されました。
これにより、売主の責任範囲が広がり、買主が契約不適合に対してより柔軟に救済を求められるようになりました。
不動産取引では、契約内容と異なる物件が引き渡された場合に契約不適合責任が発生するため、売主にとっては重要なリスクとなります。
ここでは、契約不適合責任の定義や内容、空き家売却時の影響について詳しく解説します。
契約不適合責任の定義
契約不適合責任とは、売買契約において引き渡された物件が契約内容に適合しない場合に、売主が負う責任のことを指します。
例えば、契約書に「築10年で主要設備は正常」と記載されていたにもかかわらず、実際には屋根に雨漏りが発生している場合、契約不適合とみなされます。
この責任は、単なる物理的な欠陥に限らず、契約で合意した仕様や品質、使用目的に適合しない場合にも適用されます。
そのため、売主は物件の状態を正確に把握し、契約内容を慎重に決定する必要があります。
改正前の瑕疵担保責任との違い
契約不適合責任は、従来の瑕疵担保責任と比べて買主の権利が強化され、売主の負担が増加しました。
以前の瑕疵担保責任では、「隠れた瑕疵(売主が知らず、買主も契約時に気づけなかった欠陥)」に限られていました。
しかし、契約不適合責任では、「契約内容に適合しないすべてのケース」が対象となります。
この変更により、売主にとっては契約不適合のリスクを正しく把握し、適切な対策を講じることがより重要になりました。
契約不適合責任が適用される要件
契約不適合責任が適用されるためには、以下の要件を満たす必要があります。
- 契約の内容と実際の物件に差異があること
例:「駐車場付き」と契約したのに、実際には駐車スペースがない場合など。 - 買主が一定の期間内に通知すること
民法では、買主が契約不適合を知ってから「1年以内」に売主に通知する必要がある。 - 売主の免責特約がないこと
免責特約を設けることで、売主の責任を軽減することも可能ですが、買主が宅建業者である場合など、一部のケースでは免責が認められにくい。
売主には、契約内容を適切に管理し物件の現状をしっかりと確認することで、不適合責任のリスクを最小限に抑えることが求められます。
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売主が応じなければならない買主からの5つの請求
契約不適合責任が認められた場合、買主は売主に対してさまざまな請求を行うことができます。
ここでは、主な請求内容を解説します。
不適合箇所の修繕や費用を請求される【追完請求】
契約不適合が判明した場合、まず最初に買主から求められるのが「追完請求」です。
追完請求は、買主が売主に対し、契約内容に適合しない箇所の修理や改善措置を求めることを言います。
例えば、「雨漏りなし」という契約内容にも関わらず建物に雨漏りがあった場合、買主は売主に修繕を求めることが可能です。
売主としては、契約締結前に物件の状態をしっかり確認し、不適合が発生しないよう事前に対策をとることが大切です。
売買価格の減額を請求される【代金減額請求】
代金減額請求とは、売主が追完請求に応じない、又は買主が希望する期限内に改善措置を完了できない場合に、買主が売買価格の減額を請求できる権利です。
参照元:e-GOV 民法第563条
減額する金額は、「不適合箇所に相当する売買価格」となることに注意が必要です。
例えば、買主が「新築同様の状態」と説明を受けて3,000万円の中古マンションを購入したものの、実際には床下に重大なシロアリ被害が発覚したとします。
修繕費用が300万円と見積もられた場合、この不適合箇所に相当する売買価格は300万円となります。
よって、買主は売主に対して300万円の減額請求が可能になります。
催告後に契約を解除される【催告解除】
契約不適合が重大な場合、買主は売主に対して一定期間内の改善を求める「催告」を行い、それが履行されない場合に契約を解除できます。
契約解除により、売主は買主が支払った代金を返金する義務を負うとともに、契約内容によっては、買主から違約金や損害賠償の請求を求められる場合もあります。
例えば、契約書に「契約解除時は売買代金の10%を違約金として支払う」などと定められている場合、売主は相応の額を買主に支払わなければなりません。
また、買主が契約解除によって被った損害がある場合(例:別の物件購入の機会を逃した、事業の計画が大幅に遅れたなど)、売主に対して損害賠償請求が可能になることもあります。
催告なく契約を解除される【無催告解除】
無催告解除とは、契約の目的が達成できないほどの重大な契約不適合がある場合や、修補が不可能な場合に認められる措置です。
参照元:e-GOV 民法第542条
また、追完請求を行ったあと、売主が指定期限内に改善措置を実行していなかったり、実行が期待できなかったりする場合も同様に執行できます。
契約が解除されれば、売主は売却で得た代金を買主に返還しなければなりません。
例えば、買主が購入した物件が引き渡し直前に火災で焼失した場合、「契約の目的が達成できない」と判断されるため、買主は無催告解除が可能となります。
火災が売主の責任でなくとも、売主は買主に全額返金しなければならないのです。
逸失利益も含まれる【損害賠償請求】
契約不適合により損害が発生した場合や、売主に明らかな故意・過失がある場合、買主は売主に損害賠償を請求できます。
これは単なる修繕費用だけでなく、買主がその物件を利用できなかったことによる逸失利益(得られるはずだった利益)も含まれる可能性があります。
例えば、買主が賃貸用に購入したマンションが違法建築であることが判明し、建物を使用できない状態になったとします。
これにより、買主は毎月の家賃収入を失ったため、売主に対し逸失利益(将来得られるはずだった家賃)を損害賠償として請求できます。
請求を行う際は、損害の金額を証明する資料(修理見積書・営業記録・契約書など)を準備し、必要に応じて専門家に相談することが重要です。
契約不適合責任における買主からの請求を回避したいなら、専門の買取業者に一任するのが賢明な判断です。
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契約不適合責任を回避する5つの方法
空き家を売却する際、契約不適合責任を回避するためには、適切な対策を講じることが重要です。
建物の老朽化や管理不足による瑕疵が発覚すると、売却後に買主から修繕や損害賠償を請求される可能性があります。
トラブルを未然に防ぐためにも、以下の方法を検討しましょう。
インスペクション(住宅診断)の実施
インスペクション(住宅診断)とは、専門の建築士や住宅診断士が物件の状態を詳しく調査し、不具合の有無を報告するサービスです。
インスペクションには以下のようなメリットがあります。
- 売主の安心感
事前に建物の状態を把握することで、売却後の契約不適合責任リスクを低減できる。 - 買主の信頼を得られる
住宅診断済みの物件は、買主にとって安心材料となり、スムーズな売買につながる。 - 適切な価格設定が可能
事前に修繕すべき箇所が分かるため、リフォームの必要性を踏まえて適切な売却価格を設定できる。
インスペクションの流れは以下の通りです。
- 住宅診断士に依頼(費用相場は5~10万円程度)
- 診断の実施(屋根・外壁・基礎・設備などを調査)
- 診断結果の報告書受領
- 必要な修繕があれば対応
空き家は劣化が進んでいることが多いため、売却前にインスペクションを実施し、契約不適合のリスクを最小限に抑えましょう。
既存住宅売買瑕疵保険の活用
既存住宅売買瑕疵保険とは、中古住宅の売買において、売却後に発生した契約不適合責任に関する修繕費用をカバーする保険です。
参照元:国土交通省
この保険を利用するメリットには、売主が修繕費を負担せずに済むことや、買主の安心感が向上し売却がスムーズになることなどがあげられます。
既存住宅売買瑕疵保険には、加入条件が2つあります。
- 事前にインスペクションを実施すること
- 保険に適合する物件であること(築年数・構造等の条件あり)
加入には一定の費用がかかりますが、契約不適合責任のリスクを軽減できるため、空き家売却時には積極的に活用を検討しましょう。
瑕疵保証サービスを提供する仲介会社を選ぶ
不動産仲介会社の中には、売却時に「瑕疵保証サービス」を提供しているところもあります。
瑕疵保証サービスとは、売却後に発覚した契約不適合(瑕疵)に対し、一定期間保証がつくサービスです。
参照元:国土交通省
保証内容は業者によりますが、主に以下のような補償があります。
- 給排水設備の故障修理
- 構造上の重大な瑕疵の補修費用負担
- 契約不適合責任が発生した際の対応支援
瑕疵保証サービスを利用することで、売主は自ら修繕費用を負担する必要がなくなります。
また、保証付きの物件は売れやすくなることもメリットです。
空き家の売却を検討している場合、こうしたサービスを提供する仲介会社を選ぶのも有効な選択肢です。
仲介業者を通じた売却で一部免責を特約にする
契約不適合責任を完全に回避することは難しいですが、売買契約時に「一部免責特約」を設けることで、売主の負担を軽減できます。
例えば、「給排水設備などの軽微な瑕疵については免責」や、現状渡しの条件を明記し、「軽度な修繕義務を免除」などです。
ただし、買主が宅建業者である場合や、売主が瑕疵を故意に隠していた場合には、免責が認められないこともあるため注意が必要です。
買取業者への売却で全部免責を特約にする
不動産買取業者に売却する場合、契約不適合責任をすべて免責とすることが可能です。
買取業者へ売却する主なメリットは以下の通りです。
- 契約不適合責任が発生しない
- 短期間で売却が成立する
- 修繕やリフォームの必要がない
ただし、市場価格より安くなる傾向があるため、価格とリスク回避のバランスを考えて決定しましょう。
専門の買取業者への査定依頼は、契約不適合責任や修繕費用などを気にする必要のない、スムーズな売却への第一歩です。
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契約不適合責任の対象は物理的な欠陥だけではない
契約不適合責任は、単なる物理的な欠陥だけでなく、法律的瑕疵・環境的瑕疵・心理的瑕疵にも適用されます。
契約不適合責任の対象となる瑕疵は主に以下の4つです。
- 物理的瑕疵(建物の損傷・老朽化)
例:雨漏り、シロアリ被害、基礎部分のひび割れ
- 法律的瑕疵(法令違反)
例:建築基準法の規定を満たしていない増築部分
- 環境的瑕疵(周辺環境の問題)
例:隣接地に騒音のひどい工場がある
- 心理的瑕疵(過去の事件・事故)
例:物件内で過去に事件が発生している
例えば、物件内で過去に自殺や殺人事件が発生した場合、事前に買主へ情報を告知しないと契約不適合責任を問われる場合があります。
発生した事例により、物件の価値や買主の心理的負担に影響を及ぼす可能性があると判断されるためです。
売却時には、これらの点も考慮し適切な対策を講じることが重要です。
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空き家売却で契約不適合責任を負いたくないならアルバリンクに売却
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まとめ
この記事では、空き家の売却における契約不適合責任について解説しました。
民法改正により、従来の瑕疵担保責任が契約不適合責任へと変更され、売主の責任がより厳しくなりました。
買主からの修繕請求や代金減額、契約解除、損害賠償といった請求に応じる必要があり、売主にとってリスクが増大しています。
このリスクを回避するためには、インスペクションの実施や瑕疵保険の活用が有効です。
また、仲介業者を通じた売却で特約による免責をつけたり、買取業者に売却することで責任を軽減することも可能です。
特に、契約不適合責任を負いたくない場合は、専門の買取業者に直接売却するのが安心です。
空き家売却を検討している方は、適切な対策を講じてスムーズな取引を進めましょう。