【前提】親を施設に入れることに罪悪感を抱く必要はない
親を施設に入れるという決断には、少なからず「自分の責任を放棄してしまったのではないか」「もっと自宅で介護できたのではないか」といった罪悪感がつきまといます。
しかし、親の生活の質や家族全体の健全な関係を保つためにも、施設の力を借りるという判断は合理的な選択です。
親を施設に入れたほうがよい理由として、ここでは3つ紹介します。
介護負担が減ることで、気持ちの余裕が生まれる
親を施設に入れたことが「かえって親に対して穏やかな気持ちで話せるようになった」というケースも、珍しくありません。
在宅での介護は、想像以上に時間とエネルギーを消費するものです。精神的な負担はもちろん、体力的な疲弊も大きくのしかかります。
特に介護が長期にわたると、自分自身の健康を損ねたり、家族や職場との関係にまで悪影響を及ぼしたりする可能性も否定できません。
施設に入所すれば、日々の食事・排せつ・入浴といった身体介助を専門のスタッフが担ってくれます。自分の時間を持てるようになるため、心の余裕も取り戻しやすくもなります。
施設に頼る決断は親を見放すものではなく「健全な親子関係を保つための方法のひとつ」といえるでしょう。
手厚いリハビリやケアを受けられる
施設には介護福祉士や看護師といった専門職が常駐しているため、個々の高齢者の状態に応じた手厚いサポートをうけられます。
たとえば、認知症の進行を遅らせるためのレクリエーションや、身体機能を維持するためのリハビリテーションなど、家庭では難しいケアも可能です。
医師の定期的な巡回がある施設であれば、健康状態の変化にもすぐに対応できる環境が整っています。
専門的なケアは、高齢者本人の生活の質を大きく向上させるだけでなく、家族にも安心感をもたらします。
夜間の見守りや医療的な処置など「家ではできなかったことが、施設では可能になる」という事実に目を向けましょう。
社会全体で高齢者を介護する仕組みが整備されつつある
現代の日本では、共働き家庭の増加や高齢化社会の進行に伴い、制度として高齢者や介護するご家族を支える仕組みが整ってきています。
かつて、親の介護は家族の義務とされ「最後まで自宅で面倒を見るのが当たり前」といった考えが根強く存在していました。
しかし現在では、介護保険制度をはじめ、地域包括支援センターやケアマネジャーの存在により、家庭だけで抱え込まずに済む選択肢が増えています。
親の介護を社会と分担するという選択は、責任ある家族の選択です。
「家族の手で看る」だけが愛情の証ではありません。「親にとって一番良い環境を選ぶこと」も、愛情のひとつという視点を持つとよいでしょう。
親が施設に入ったらするべき6つのこと
親が施設に入所した後、つい「これでひとまず安心」と思いがちですが、実は入所後にもやるべきことがあります。
親が施設に入ったらするべきこととして、ここでは6つを紹介します。
中には早めに着手すべきものもあるため、やるべきことを把握して手続き漏れがないよう注意して進めましょう。
1.実家を売るか保有し続けるかを決める
施設に入った親が自宅に戻る予定がない場合、実家を売却するか保有し続けるかは早期に判断しておくべきです。
空き家として放置すれば、防犯・防災面のリスクや、固定資産税などの費用がかかり続けるだけでなく、管理の手間も発生します。
一方で、将来的に親が退所する可能性がある場合や、相続の準備を進めている途中である場合などは、すぐに売却するのではなく保有し続ける選択肢も現実的です。
親の健康状態や介護の必要度、施設の入所形態(長期か短期か)など、総合的に判断する必要があるでしょう。
また、売却を検討する場合には、不動産会社に相談して市場価値を把握したうえで、必要に応じて片付けや名義変更などの準備も進める必要があります。
どのような選択をする場合でも、判断を後回しにするとトラブルに発展した場合に十分に対処する時間がないという事態になりかねません。
感情面の整理も含めて、早めに家族で意見をすり合わせましょう。
2.住民票を異動する
親が長期間にわたり施設で生活する場合、住民票を施設の所在地に移すことも検討しましょう。
住民票の異動は、住民税や介護保険料、医療費の負担に関わる自治体サービスの利用条件などに影響する重要な手続きです。
特に介護保険料は自治体によって異なるため、施設がある自治体に住民票を移したほうが介護保険料の負担が減る可能性があります。
逆に、施設がある施設へ住民票を移すと介護保険料が高くなってしまう場合には「住所地特例」の活用すれば、住民票を移す前の市町村の保険料の適用が可能です。
その他、公共施設の割引制度がある自治体もあるため、地域包括支援センターや役所の介護保険課に相談して、住民票を移すべきか判断するとよいでしょう。
住民票の異動は「自治体のサービスの違い」も考慮して判断しましょう。
なお、住民票は次の手順で異動できます。
- 転出届を提出
→旧住所の市区町村役場 - 転入届を提出
→新住所の市区町村役場 - 住所変更に伴う各種手続き
→介護保険証・医療保険・年金などの行政サービス、郵便物の届け先変更など
3.施設にかかる費用を確認する
親が施設に入ったら、毎月かかる費用がどの程度になるのかを再確認しましょう。
施設に入る際に初期費用や月額料金は確認しても、入所後にかかる諸費用についてチェックし忘れる人も少なくありません。
入所後にかかる月額費用には、管理費や食費、医療費、オプションのサービス料などが含まれる施設が多い傾向です。
しかし実際には他にも、おむつやティッシュなどの日用品代や理美容代、レクリエーション参加費などがかかります。
実際の負担は、月額費用に追加して2〜5万円ほど必要になると考えたほうがよいでしょう。
また施設の月額利用料は、施設の種類や地域によって差があり、公的な特別養護老人ホームなら月5〜15万円程度、民間の有料老人ホームでは月30万円を超えるケースもあります。
事前に「総額でいくらかかるのか」を追加料金も含めて施設に確認し、見積書の内訳も必ずチェックしておきましょう。
4.費用負担を軽減できる制度がないか、自治体に確認する
施設の費用は、家計にとって大きな負担となります。利用可能な助成制度や減免措置がないかを確認し、できる限り費用負担を減らしましょう。
知らずに制度を活用できないままでいると、数十万円単位のお金を失うデメリットもあるため、情報収集も家族の大切な役割です。
多くの自治体では、所得や資産の状況に応じて介護サービスの利用料を軽減できる「高額介護サービス費制度」や「社会福祉法人による減免制度」などを用意しています。
各自治体で制度の内容が異なるため、まずは親の住民票の所在地がどこにあるかを確認し、市区町村役場や地域包括支援センターに問い合わせてみてください。
申請書類の準備や手続きには、時間がかかる可能性があります。施設入所後はなるべく早く情報を収集し、必要な支援を逃さずに受け取れるように行動しましょう。
5.ケアマネジャーに連絡する
親が入所した施設のケアマネジャー(介護支援専門員)との関係づくりも、大切な「やるべきこと」です。
ケアマネジャーとは、親の健康状態や生活状況を把握し、必要に応じてケアプランの見直しや介護サービスの調整を行う専門職を指します。
参照元:厚生労働省
定期的な面談や連絡を通じて、施設での様子や体調の変化、介護方針などについて情報を共有をしておけば、なかなか面会に行けない場合でも信頼して任せられます。
介護保険のサービス内容や制度改正の最新情報を教えてくれる存在でもあるため、疑問や不安は遠慮なく相談しましょう。
ケアマネジャーと信頼構築は、介護がスムーズに進むかどうかを大きく左右します。
「わからないこと」「不安なこと」を家族だけで抱え込まず、プロの知識と経験を最大限に活用すると、親も家族もよりストレスなく生活できるようになるでしょう。
6.相続対策を始める
親が施設に入った時が、相続についても備え始めるべきタイミングです。
実家・別荘などの不動産や遺産分割をどうするかなど、事前に家族で方針を話し合っておくと、将来的なトラブルを避けやすくなります。
親がまだ判断能力を持っているうちであれば、遺言書を作成したり、家族信託契約を結んだりするなどの法的手続きもスムーズに進められるでしょう。
一方で、認知症が進行してしまうと法的な契約ができなくなり、成年後見制度を使う選択しかできなくなる場合もあるので、注意が必要です。
また、不動産の名義や預貯金の整理なども行っておくと、相続発生時の手続きが大幅に簡略化されます。
相続対策に「早すぎる」ことはありません。
万が一の時に、家族全員に心の余裕がない可能性も十分にあります。時間的・心理的余裕がある段階で、早めに準備しておいたほうがトラブルを防げるでしょう。
親が施設に入ったら、実家の売却をおすすめする4つの理由
親が長期的に施設で生活すると決まった場合、実家の取り扱いは多くの家庭で大きな課題となります。
「とりあえず残しておこう」「いつか戻ってくるかもしれない」と判断を先延ばしにしがちですが、放置するとさまざまなリスクやコストが積み重なるので注意が必要です。
ここでは、親が施設に入ったら実家を売却すべき理由として、次の4つを紹介します。
1.空き家のまま放置すると防災・防犯面のリスクが伴う
誰も住んでいない空き家は、犯罪や災害に巻き込まれるリスクを抱えることになります。
空き巣や不法投棄、放火などの被害が起こりやすくなるだけでなく、台風や地震などの自然災害によって老朽化した建物が倒壊する可能性もあり、危険です。
実際に「空き家に不法侵入者がいる」「空き家の樹木が電線に接触しそうで危ない」というような、近隣住民からの苦情も報告されています。
場合によっては、損害賠償請求をされるリスクもあるため、実家が空き家になり管理ができない場合には、売却をしたほうがトラブルを避けられるでしょう。
空き家を放置するデメリットについて知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

2.固定資産税や維持費がかかり続ける
親が施設に入った後も実家を所有し続ける場合、固定資産税や都市計画税などの税金を支払う必要があります。
水道・電気・ガスなどのライフラインを維持する場合には、使っていなくても基本料金がかかります。
さらに火災保険や定期的な清掃・修繕などのい出費も積み重なれば、生活が立ち行かなくなる可能性も否定できません。
また、住民票を施設に移した場合や、空き家放置により「特定空き家」に指定された場合は、固定資産税が最大6倍になり「住んでいないのに税金だけ高額」という状況に陥るケースもあります。
参照元:固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置|国土交通省
空き家の老朽化に伴う補修費用や、資産価値の低下も考慮すべきリスクです。維持管理コストは、親の施設費用や自分たちの生活費とも関わります。
経済的な不安を減らすためにも、実家が空き家となる場合にはなるべく早めに売却しましょう。
空き家の維持費に関しては、次の記事でくわしく解説しています。ぜひ参考にしてください。

3.管理する手間・時間がかかる
空き家となった実家の管理には、予想以上の労力がかかります。
換気や雨漏りチェック、庭の草むしりや郵便物の確認、不審者の侵入対策など、定期的に現地に足を運ばなければなりません。
とくに実家が遠方にある場合、様子をチェックしに行くたびに交通費や移動時間がかかり、心身ともに大きな負担となります。
放置された実家に雑草が生い茂り、外観が荒れていくと、近隣全体の景観や地価に悪影響を与えるケースもあります。
場合によっては「特定空き家」として指定され、指導や命令の対象となると強制撤去費用が家族に請求されるため注意が必要です。
また、空き家であるリスクを回避するために管理を業者に委託した場合でも、月数千円~1万円程度の費用が継続的にかかるため、経済的な負担は避けられません。
管理コストや精神的ストレスを長期間抱える可能性があるため、将来のトラブルや不安から解放されるためにも、売却して手放すという選択も視野に入れましょう。
4.売却益を施設の費用に充てられる
実家を売却して得られた資金は、そのまま親の施設利用料や医療費、生活費に充てられます。高齢者施設は長期間にわたる入所が前提となるため、経済的な備えは不可欠です。
有料老人ホームや介護付き施設などでは、月額20万~30万円以上かかるケースもあり、年単位で見ると数百万円規模の出費が発生します。
実家を売却して現金化しておけば、長期的な費用負担の軽減が可能です。
また、相続が発生する前に資産を整理しておけるので、将来的な相続税対策にもつながり、家族間のトラブルを未然に防ぐ効果も期待できます。
売却で得た資金は親の生活をより安心・安全に支える原資となるため、「住み慣れた家を有効活用できた」という気持ちの整理にもつながる、前向きな選択といえるでしょう。
実家を売却する際、荷物の整理や片付けが大変と感じたら、不動産買取サービスの利用がおすすめです。
築古物件で解体が必要な場合でも、解体費用の負担なく買取業者に実家を買い取ってもらえます。
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【ケース別】親の家を売るためにするべきこと
実家の売却を決めたとしても、不動産会社に依頼しただけでは売却はできません。状況に応じて必要な手続きや準備が必要となります。
ここでは、親の判断能力の有無に応じた次の4つのケース別に、家を売るために必要な対応方法と注意点を解説します。
親自身が判断能力を有しているのか、認知症などにより判断が難しい状態にあるのかにより、実家の売却に必要な手続きが異なる点に注意が必要です。
親が手続きできる場合|本人が不動産会社と連絡を取る
親が判断能力をしっかりと持っており、自らの意思で売却を進められる場合は、親本人が不動産会社と連絡を取り、売却手続きを進めるのが最もスムーズな方法です。
必要な書類は親本人の印鑑証明書、住民票、固定資産税納税通知書などで、売買契約時には実印の捺印が求められます。
親が施設に入所していて外出が難しい場合でも、不動産会社と施設内で面談を行えれば、売却に関する手続きが可能です。
本人の意思確認ができるのであれば契約上の問題は少なく、売却までのスピードも比較的早いでしょう。
家族が先回りして判断せず、親の意思を尊重する姿勢が重要です。本人が納得して売却を進められれば、精神的にも円満に売却手続きを終えられるでしょう。
子どもが代理で手続きする場合|委任状を作成する
親が外出困難な状態であっても、判断能力に問題がなければ、子どもが代理人となって売却手続きの代行が可能です。
親が自筆で署名・捺印した委任状を作成し、公的書類として不動産会社や買主に提示する必要があります。
委任状には、売却対象の不動産情報、売却に関する一切の権限を代理人に与える点についての明記が必要です。
本人の印鑑証明書を添付すれば、法的な裏付けが明確になります。
委任状の書き方や内容に不備があると、売買契約が無効になるリスクもあるため、できるだけ司法書士や不動産会社に相談しながら作成しましょう。
親が判断できなくなる可能性がある場合|家族信託を活用する
親の認知症が進むリスクがあり、いずれ判断能力が失われる可能性がある場合には「家族信託」の活用を検討しましょう。
家族信託とは、親(委託者)が子どもなど信頼できる家族(受託者)に、財産の管理・運用・処分の権限を託す仕組みです。
まだ親が元気なうちに契約を結んでおけば、判断能力を失っても不動産をスムーズに売却できるようになります。
家族信託であれば、後述の「成年後見制度」よりも柔軟で迅速な資産管理ができ、施設費用の捻出や相続対策にも活用できる点が大きなメリットです。
ただし、信託契約には専門知識が必要なため、司法書士や信託に詳しい弁護士などに相談して設計する必要があります。
家族信託は、親の「今後の万が一」に備えた、実用性の高い選択肢といえるでしょう。
親が認知症で判断できない場合|成年後見制度を利用する
すでに親が認知症を発症しており、自分の財産について判断できない状態にある場合、不動産の売却を進めるには「成年後見制度」の利用が必要となります。
成年後見制度とは、家庭裁判所を通じて後見人を選任し、本人に代わって財産管理や契約手続きを行うものです。
参照元:法務省
後見人は親族だけでなく、弁護士や司法書士などが選ばれるケースもあり、誰が選ばれるかは裁判所の判断に委ねられます。
後見人が選任されるまでには3か月ほどかかり、その後も定期的な報告義務などの手続きが発生します。
実家の売却には家庭裁判所の許可が必要のため自由度は低いものの、成年後見制度は認知症高齢者の財産を保護するための法律に基づいた制度です。
法的に正しい手続きを踏めば後々の相続やトラブルを回避できるため、制度を活用する意義は非常に大きいといえるでしょう。
実家を売却する前に確認すべき4つのポイント
親が施設に入所したタイミングで、すぐに実家を売却しようとすると、後の後悔につながる可能性があるので注意が必要です。
実家の売却を決める前には、次の4点について確認しましょう。
事前にチェックポイントを整理しておけば、家族間の話し合いもスムーズに進み、納得感を持った意思決定ができるでしょう。
1.親が施設を退去する可能性があるか様子を見る
親が施設に入所して間もない段階では、まだ環境に慣れておらず、体調や精神面などが不安定になる可能性があります。
「今後もずっと施設で生活できるか」が確定していない場合、実家の売却を急ぐのは避けたほうがよいでしょう。
特にショートステイやリハビリを目的とした一時的な入所であれば、自宅に戻る可能性も十分にあります。
また、親が強く「自宅に帰りたい」と希望している場合は、売却後にトラブルになるリスクもあるため、慎重な対応が必要です。
まずは施設での生活状況をしばらく観察し、親本人やケアマネジャーと定期的に状況を確認しながら、今後の見通しを立てましょう。
医師や施設の職員から「長期入所が望ましい」と明確な見解が出たタイミングで売却の準備を進めても、遅くはありません。
2.売却時にかかる税金・費用を把握する
不動産を売却しても、売却代金がそのまま手元に残るわけではありません。実際には、次のような費用や税金が売却額から差し引かれます。
- 仲介手数料:通常は売却価格の3%+6万円+消費税
- 売買契約書の印紙税:軽減税率の適用により〜6万円ほどが目安
- 必要に応じて建物の解体費:木造平屋(30坪)で100万〜150万円が目安
- 測量費:10〜50万円が目安
- 譲渡所得税:所有して5年を超えているなら、譲渡所得の20.315%
譲渡所得税については特例の適用により課税額がゼロになる可能性もありますが、一定の適用条件がある点に注意が必要です。
事前に税理士や不動産会社に相談し、売却時にかかる費用を把握しておけば「思ったほど手元に残らなかった」という後悔を防ぎやすくなるでしょう。
3.活用できる補助金がないか確認する
家の売却に伴って解体やリフォームが必要になる場合、市区町村によっては補助金制度が利用できる可能性があります。
「老朽化した空き家の解体費用補助」や「空き家バンクへの登録を前提とした改修費の補助」など、地域の空き家対策事業として積極的に支援している自治体も少なくありません。
補助金の金額や対象となる条件は自治体ごとに異なりますが、うまく活用すれば数十万円単位の費用を軽減できるでしょう。
ただし、多くの場合で「事前の申請」が必要です。解体したあとでは申請できない場合もあるため、売却を進める前に役所に問い合わせて情報を得ておきましょう。
また、補助金だけでなく、相続登記の無料相談や空き家管理に関する支援制度も調べておくと、手続き全体がスムーズに進められます。
自治体のホームページや地域包括支援センターなどに、活用できる制度がないかを問い合わせてみましょう。
4.税制控除が受けられないか確認する
不動産の売却に伴い、条件を満たせば税制上の優遇措置を受けられるケースがあります。
たとえば「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」では、親から相続した空き家を一定の条件で売却すれば、最大3,000万円の譲渡所得控除が認められます。
また、親がまだ存命中でも「居住用財産の3,000万円特別控除」や、10年超所有の軽減税率など、利用できる控除制度が複数あります。
適用されれば、場合によっては数百万円の節税も可能です。
ただし、どの制度も適用条件がやや複雑なため、税理士や不動産会社と連携しながら適用条件を確認し、確実に手続きを踏むようにしましょう。
実家を売却する3つの方法
実家を売却する方法として、主に次の3つが挙げられます。
売却方法によって手続きの流れや売却価格、売れるまでのスピードに大きな違いが生じます。
「なるべく高く売りたい」「手間をかけたくない」「早く現金化したい」など、家族の事情や希望に応じて最適な方法を選びましょう。
そのまま売却する
実家を売却する際、最も手間がかからない方法は、解体やリフォームをせずに売却する方法です。
不動産の売却方法は、主に不動産会社が買主になる「不動産買取」と、不動産会社が買い手との橋渡しをしてくれる「仲介」の2つの方法があります。
「不動産買取」は、解体や荷物の撤去、清掃などの初期費用をかけずスピーディに現金化できるため、スムーズに実家を手放したい人に向いています。
ただし、不動産仲介会社を通した「仲介」より、売却額が安い傾向がある点に注意が必要です。
仲介による売却は、できる限り高値で実家を手放したい場合におすすめの売却方法ですが、荷物の撤去や清掃が必要になるケースも珍しくありません。
また、建物の劣化が激しかったりゴミ屋敷状態になっていたりすると、成約に時間がかかるリスクもあります。
買取・仲介ともに、解体やリフォームにかかる時間や手間を省けるため、スムーズに実家を手放せるでしょう。
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更地にして売却する
建物の老朽化が激しい場合や、購入希望者が建て替えを前提としている地域では、解体して更地にした状態で売り出す「更地売却」が効果的です。
更地にすると買主が建物の解体費を負担せずに済むため、購入後のイメージがしやすく、成約までのスピードが早まるケースがあります。
ただし、建物の大きさや構造によっては、解体費用が100万円以上かかる場合がるため、事前に複数社に見積もりを取りましょう。
また、更地にすると固定資産税の軽減措置(住宅用地特例)が解除され、税額が上がる点にも注意が必要です。
更地にする前に、本当に更地したほうがメリットがあるかを不動産会社に相談しましょう。
なお、更地にして売却する方法やメリット・デメリットについては、次の記事で詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてください。

空き家バンクを活用する
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親が施設に入ったらすることに関するよくある質問
親が施設に入ったらすることに関して、多くの人が疑問に思うポイントを5つピックアップしました。
親の施設入所は、本人だけでなく家族にとっても不安なものです。事前に不明点をできる限り解消しておくと、不安感を軽減できるだけでなく、トラブルにも対応しやすくなるでしょう。
Q.施設に入ると親名義の銀行口座は凍結されるって本当?
いいえ。生存している限り、口座は凍結されません。ただし、認知症が進行し判断能力を失うと、家族でも勝手に引き出せなくなる場合があります。
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まとめ
今回は、親が施設に入ったらすることを6つ紹介し、売却をおすすめする理由や注意点、売却手続きの流れなどを紹介しました。
親が施設に入所すると、精神的な整理だけでなく、実家の管理や相続、費用負担などの実務的な対応も必要となります。
しかし実家を空き家のまま放置しておくと、老朽化や防犯面のリスク、固定資産税や維持費の負担が続くなど、デメリットが大きくなるので注意が必要です。
そのため、親が施設に入った後の実家をどうするかは、早めに方向性を決めたほうがよいでしょう。
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