相続放棄した家の解体費用は誰が払う?想定される3つのケース
相続放棄した家の解体費用でも、状況によっては費用負担や対応義務が発生するケースがあります。
以下の代表的な3つのケースに分けて詳しく解説します。
特に老朽化した空き家の場合、倒壊や衛生問題などのリスクが高まりますのでぜひ確認ください。
ケース1:相続人がいる場合
相続人が存在する場合、その人が解体費用を負担する義務があります。
名義を引き継いだ時点で「所有者」としての責任が発生し、建物の管理・解体が必要となります。
参照元:建築基準法第8条
老朽化が進んだ建物を放置しておくと、倒壊や近隣トラブルのリスクが高まり、市町村から改善命令が出されるケースもあります。
命令に従わなかった場合は行政代執行による強制解体が行われ、その費用は所有者に請求されます。
不動産相続では「資産」としての価値だけでなく、将来のリスクや維持コストも継承される点を認識しておきましょう。放置を避け、早めの対応が求められます。
ケース2:相続人全員が放棄した場合
相続人全員が放棄すれば、所有権は消滅します。
ただし、相続放棄時に家を占有していた場合には、家庭裁判所による相続財産清算人へ引き渡すまでの間、家を管理する義務があります。
民法940条
相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。
この場合、不動産は「相続財産法人」となり、法的な所有者が存在しない状態になります。
通常は自治体が調査・管理を行い、行政代執行などの措置をとることがありますが、請求が相続人に向けられることは基本的にありません。
ただし、自治体が放棄の事実を確認できない場合、過去の居住者や親族に問い合わせが行く可能性があります。
そのため、相続放棄の受理通知や書類をしっかりと保管し、必要に応じて自治体に提出できるようにしておくことが重要です。
ケース3:相続財産清算人も未選任の場合
相続放棄後に清算人が選任されていない場合、管理責任が不明確になりトラブルの原因になります。
このような場合、不動産の状態が悪化すると、最終的に行政が強制的に解体を行うことになります。
その費用が誰に請求されるかは状況次第で、「過去に居住していた」「草刈りなどの管理をしていた」といった事実から責任を問われるケースもあります。
損害が発生した場合には、民事訴訟で損害賠償を請求される可能性もあるため、注意が必要です。
放棄後は速やかに家庭裁判所に「相続財産清算人」の選任を申し立て、公的に管理者を決めておくことでトラブルを未然に防げます。
参照元:裁判所
なお、相続放棄した空き家の売却を行いたい場合は一度弊社に相談ください。
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相続放棄しても解体費用を請求される可能性がある2つのケース
「相続放棄をすれば、もう家のことは関係ない」と思いがちですが、実際には放棄後でも請求や問い合わせが届くケースがあります。
結論から言えば、相続放棄が成立していても、空き家の状態や放置期間、周囲への影響によっては、法的・実務的に何らかの対応を求められることがあるのです。
ここでは、実際に請求が発生しやすい2つの代表的なケースについて解説します。
特に老朽化が進んでいる家屋や、近隣に影響を及ぼす状態にある物件を所有している場合は、行政や住民からの働きかけが無視できまませんので注意ください。
行政代執行による費用請求
相続放棄をしていても、行政代執行(強制的な家の解体)によって発生した費用の請求が来ることがあります。
自治体は倒壊の危険がある空き家を「特定空き家」とみなして、最終的には行政代執行による家の解体を実施します。
参照元:国土交通省
このとき、相続放棄をしたにもかかわらず、住民票や登記履歴などから連絡が取れる元相続人に費用請求することがあるのです。
ただし、相続放棄者は家の所有者ではないので、建物解体に対する費用を負担する必要はありません。
国の通達でも、権原のない相続放棄した人に自治体が必要な措置を命ずることはできないとしています。
参照元:「空家等対策の推進に関する特別措置法」に関する御質問について
特定空き家に関しては以下の記事でも紹介しているので、該当するか確認したい場合はご確認ください。

近隣への損害やトラブルによる賠償責任
相続放棄をしていても、状況次第で損害賠償責任を問われるケースがあります。
本来、相続放棄をすれば不動産の所有権も放棄されるため、管理責任も免れると思われがちです。
しかし、実際には他の相続人や相続財産清算人に引き渡すまでは、家を維持管理しなければなりません。
民法940条
相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。
そのため、相続放棄したとしても、家の放置が原因で他人に損害を与えた場合は損害賠償責任を負う可能性があります。
たとえば以下のようなケースが該当します。
- 崩れた屋根瓦が隣家の車を傷つけた
- 外壁の一部が落下し、通行人にケガを負わせた
- 雑草が繁茂し、害虫が発生して近隣住民に迷惑をかけた
相続放棄をしたからといって、完全に「無関係」になれるとは限らないことを理解しておきましょう。
相続放棄した家の解体費用の相場と内訳
相続放棄をすれば、原則として家の解体費用を負担する義務はありません。
ただし、預貯金や現金などの相続財産の処分をした場合、相続放棄をしたとしても単純承認したものとみなされます。
参照元:民法921条
この場合、相続放棄の効力を失い、解体費用を請求される可能性があります。
ここでは、建物構造や地域差ごとの費用目安、解体費用の内訳についてわかりやすく解説します。
それぞれの内容を確認します。
木造・鉄骨・RC造ごとの費用目安
建物の構造は、解体費用に最も大きな影響を与える要素のひとつです。
一般的な30坪程度の住宅を例に挙げると、木造住宅の解体費用はおおよそ80〜150万円前後、鉄骨造住宅は120〜200万円、RC造(鉄筋コンクリート造)になると180〜300万円以上になるケースが多く見られます。
RC造は構造が頑丈なため、重機作業やコンクリートの処分に手間がかかり、費用が高くなる傾向があります。
地下室がある、基礎が深いなど、構造の複雑さによってはさらに費用が加算されることもあるため、登記簿や設計図面などで建物構造を早めに確認しておくと安心です。
空き家の解体費用に関しては以下の記事で詳しく紹介していますので確認ください。

地域による価格差と費用帯
解体費用は、建物の構造だけでなく、地域によっても大きく異なります。
東京都心や大阪などの都市部では、坪単価4〜6万円が相場である一方、地方都市では3〜4万円程度に落ち着くことが多く、30坪規模の家屋では50万円前後の差が生まれることもあります。
人件費・廃棄物の処理費・重機の輸送コストが地域ごとに異なるため、同じ条件でも見積もり金額に幅が出るのが現実です。
また、前面道路の幅が狭く重機が入れない場所では、手作業による解体が必要となり、通常の1.5倍以上の費用がかかることもあります。
まずは現地調査を依頼し、地域の解体業者から複数の見積もりを取るのが、最適な価格での依頼につながります。
内訳の具体例:本体工事・廃棄物処理・付帯費など
解体費用の見積書には、工事の中身を示す「内訳」が含まれています。
本体工事(建物の取り壊し作業)が全体の50〜70%を占め、次に大きいのが廃棄物処理費で20〜30%です。
そのほか、養生費・仮設足場費(約5〜10%)、重機回送費や交通誘導費も必要になります。
ブロック塀や庭石の撤去、樹木の伐採、アスベストの除去など、付帯工事費は見落としがちですが、10〜50万円程度の追加費用となる場合があります。
2022年4月1日から、大気汚染防止法が改正されたことにより、建物を解体する際にはアスベストの有無にかかわらず、事前調査の実施と行政への報告が義務付けられるなど、アスベストに関する規制が強化されています。
参照元:東京都
そのため、調査に係る費用などが上乗せされている可能性があるのです。
見積もりの際は、「本体費用」「処分費」「追加工事費」「調査費」などが明確に分かれているか確認することが、不要な上乗せ費用を防ぐポイントです。
信頼できる業者であれば、現地調査後に丁寧な説明とともに内訳を提示してくれるので、業者選びでは「明朗会計」も重視しましょう。
解体費用の負担を避けるための4つの対策
相続放棄した空き家であっても、状況次第では解体費用の請求やトラブルに巻き込まれるリスクがあります。
ここでは、代表的な4つの方法を紹介します。
解体費用を自己負担せずに済む方法は、早めの対策が重要です。
払わなくても良い費用を負担を避けるためにもご確認ください。
相続財産清算人を選任する
相続人全員が放棄した場合でも、家庭裁判所に「相続財産清算人」の選任を申し立てれば、適切な管理・処分が可能になります。
清算人は裁判所により選任され、放棄された財産の整理を行います。
遺産に属する空き家の売却や解体も、その資産の中から行うことができ、相続人が費用を負担する必要はありません。
放置によって起こる近隣トラブルや行政代執行を防ぐ手段として非常に有効です。
手続きには申立書、必要書類、数万円程度の印紙代や予納金が必要ですが、長期的にはリスク回避のコストと考えるべきでしょう。
相続財産清算人の選任について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

空き家バンクを活用し第三者へ譲渡する
相続放棄前であれば、空き家を「空き家バンク」を通じて第三者へ譲渡するという選択肢もあります。
空き家バンクとは、自治体が運営するマッチング制度で、空き家の売主と買主をつなぐ仕組みです。
参照元:国土交通省
登録料や仲介手数料が不要な点も大きなメリットです。
「老朽化していても最低限の修繕で住める家」であれば、リフォーム前提での購入希望者が見つかることも。
ただし、売買には契約行為が必要なため、相続放棄を済ませる前に活用することが前提になります。
早期に不動産の方向性を決めておくことが重要です。
空き家バンクについては以下の記事で詳しく紹介していますので、確認ください。

買取専門の不動産業者に売却を依頼する
現状のままでも買い取ってくれる不動産買取業者を利用すれば、解体費用をかけずに手放せる可能性があります。
近年は「訳あり物件」や「空き家専門」の買取業者が増えており、老朽化した家でも迅速に現金化が可能です。中でもアルバリンクのような企業は、再建築不可や共有持分のみといった難物件にも対応しています。
仲介手数料がかからない点や、短期間で売却できる点も大きな魅力です。
まずは無料査定を依頼し、相場や売却可否を確認してみるとよいでしょう。
どこに査定をしたらいいかわからない、他の業者に断れてしまった場合は一度弊社に相談ください。
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補助金を活用して解体する
自治体によっては、空き家の解体に対して補助金・助成金制度を設けているところがあります。
たとえば、「特定空家」や「防災上危険な家屋」と認定されると、30万〜100万円規模の補助を受けられる自治体もあります。
名古屋市の「名古屋市老朽危険空家等除却費補助金」の場合、著しく保安上の危険がある家屋の解体に最大80万円の補助金が支給されます。
参照元:名古屋市
補助金制度は事前申請が原則です。解体前に自治体の建築指導課や住宅政策課に確認しましょう。
手続きや報告義務はあるものの、対象条件に合致すれば自己負担を大幅に減らすことができます。
空き家解体補助金について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

相続した家でお困りの場合はアルバリンクに相談ください
家を相続したものの、まったく買い手が見つからず、家の維持管理の負担だけがのしかかっていませんか。
そんなときは、空き家買取の専門業者に家の売却の相談をしましょう。
弊社「株式会社Alba Link(アルバリンク)」は、日本全国の空き家などの売却しづらい物件を積極的に買い取っている不動産買取業者です。
築古物件や立地が良くない物件に関しても、活用ノウハウを豊富に持ち合わせているため、適正な金額をつけて買い取れます。
実際に、廃墟化した空き家の買取も過去におこなっており、フジテレビの「イット」をはじめ、多くのメディアに特集されています。
空き家などでお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
弊社スタッフが、あなたのお悩みを解決できるよう、全力でサポートさせていただきます。
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まとめ|相続放棄した家の解体費用は早めの対策と相談がカギ
相続放棄をしたからといって、すべての責任から完全に解放されるとは限りません。
結論として、「放棄したから安心」と油断していると、家屋の老朽化や周辺への影響を理由に、行政代執行や損害賠償請求など、思わぬトラブルに巻き込まれるリスクがあります。
こうしたリスクを回避するには、放棄後の家についても「誰がどう管理・処分するのか」という視点を持つことが重要です。
また下記の手段は、相続を放棄する前に行える対策でもあります。
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空き家バンクの活用
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買取業者への売却相談
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自治体の補助金制度の利用
不要な費用負担やトラブルを未然に防ぐためには、放棄の可否を決める前に一度立ち止まり、活用・売却の可能性も含めて検討することが大切です。
迷ったらまずは専門家に相談して、自分にとって最適な対応を見極めましょう。
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