築30年の家の相続税評価額の計算方法
築年数が経過した住宅を相続する際、「いったいどのくらいの税金がかかるのか」という不安を抱える方は少なくありません。
特に築30年ともなると、建物の資産価値は大きく下がっている可能性があります。
そのため、土地と建物それぞれにどのように評価額が算出されるのかを正しく理解することが、無駄な税負担を避ける第一歩になります。
この章では、土地や建物の計算方法についてそれぞれ詳しく解説します。
これらの情報を把握することで、自身の状況に応じた相続対策が立てやすくなります。
土地の相続税評価額の計算方法
土地は相続財産の中でも特に価値が大きく、税額に与える影響も大きいため、正確な評価が重要です。
土地の評価方法は主に2つあり、「路線価方式」と「倍率方式」に分かれます。
どちらの方式が適用されるかは、土地の所在地域によって決まっており、市街地では路線価方式が、郊外や地方では倍率方式が一般的です。
相続税法上、評価額は「時価」ではなく「相続税評価額」で算出されます。
つまり、不動産の売買価格ではなく、国税庁が定めた基準に基づいて計算されるのです。
以下で、それぞれの評価方法について詳しく見ていきましょう。
路線価方式
路線価方式は、市街地にある道路ごとに設定された「路線価(1㎡あたりの金額)」をもとに、土地の評価額を算出する方法です。
路線価は毎年7月に国税庁が公表しており、同庁のウェブサイトで誰でも無料で閲覧できます。
参照元:国税庁
たとえば、相続する土地が面する道路の路線価が「30万円/㎡」、土地の面積が100㎡だった場合、基本的な評価額は以下の通りになります。
項目 | 内容 |
---|---|
路線価 | 30万円/㎡ |
土地面積 | 100㎡ |
評価額 | 3,000万円(=30万円×100㎡) |
ただし、形状がいびつな土地や奥行きが長すぎる土地などには「補正率」が適用されることがあります。
たとえば不整形地補正や奥行価格補正などがあり、評価額が減額される場合があります。
補正の適用には専門知識が必要なこともあるため、税理士などへの相談も検討しましょう。
倍率方式
倍率方式は、路線価が定められていない地域の土地に適用される評価方法です。
こちらは、土地の「固定資産税評価額」に国税庁が定めた「評価倍率」を掛けることで、相続税評価額を求めます。
たとえば、固定資産税評価額が500万円、評価倍率が1.1倍であった場合の計算式は以下のようになります。
項目 | 内容 |
---|---|
固定資産税評価額 | 500万円 |
評価倍率 | 1.1 |
評価額 | 550万円(=500万円×1.1) |
倍率は国税庁の「評価倍率表」で確認でき、市区町村や土地の地目(宅地・田・畑など)によって異なります。
こちらの方式は、特に地方や農村部の土地でよく使われます。
建物の相続税評価額の計算方法
建物の相続税評価額は、土地に比べてシンプルです。
固定資産税評価額がそのまま相続税評価額として使用されます。
評価額は、市区町村が発行する「固定資産税課税明細書」で確認できます。
建物の固定資産税評価額は、以下の計算式で求められます。
固定資産税評価額 = 再建築価格 × 経年減点補正率
参照元:総務省
ここでいう「再建築価格」とは、同じ建物を今の時点で新しく建て直すとした場合に必要とされる建築費のことです。
建物の構造や面積、仕上げのグレードなどをもとに、市区町村が定めた基準単価を用いて算出されます。
たとえば、築30年の木造住宅の場合、経年減点補正率は0.20(20%)とされており、再建築価格が1,500万円なら、
1,500万円 × 0.20 = 300万円
が建物の固定資産税評価額となります。この評価額がそのまま相続税評価額としても使われます。
項目 | 内容 |
---|---|
建築年数 | 築30年(木造) |
元の建築価格 | 1,500万円 |
現在の固定資産税評価額 | 約300万円 |
建物の構造によっても評価額は異なり、木造は法定耐用年数が22年と短く、早く価値がなくなります。
一方、鉄筋コンクリート造(RC造)は47年と長いため、築30年でも一定の評価額が残ることがあります。
建物評価の把握は、不要なリフォームや解体を検討する際の判断材料にもなります。
特に築古物件では「土地にこそ価値がある」可能性が高く、売却や相続対策を考える上でも評価額の確認は必須です。
参照元:No.4602 土地家屋の評価
参照元:経年減価補正率表
築30年の家の相続税評価額が下がる3つのケース
築年数が経過した住宅でも、土地や建物の条件によっては相続税評価額がさらに低くなる可能性があります。
評価額が下がることで、最終的な相続税額も軽減されるため、自身が該当するかどうかを確認することは大切です。
ここでは、以下のような評価額が下がる代表的なケースを解説します。
これらの条件に該当する場合は、相続対策をするうえで有利になる可能性があるため、しっかり確認しておきましょう。
木造住宅である場合
木造住宅は、他の構造と比べて法定耐用年数が短く、相続時点での評価額が低くなりやすい特徴があります。
法定耐用年数とは、税務上でその建物が使用できるとされる年数のことで、木造住宅は22年と定められています。
築30年の木造住宅はすでにこの22年を超えており、減価償却により建物の価値はほとんど残っていないと見なされるのが一般的です。
つまり、建物の相続税評価額は非常に低額、あるいは「ゼロ」となる場合もあります。
以下の表は、構造ごとの法定耐用年数の一例です。
構造 | 法定耐用年数 |
---|---|
木造 | 22年 |
軽量鉄骨造(骨格材厚3mm以下) | 19年 |
鉄骨造(骨格材厚3mm超〜4mm以下) | 27年 |
鉄骨造(骨格材厚4mm超) | 34年 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 47年 |
このように木造住宅は評価額が下がりやすいため、相続税の負担を抑える一因となります。
ただし、実際の評価額は市区町村の固定資産税評価に基づくため、課税明細書を必ず確認しましょう。
参照元:主な減価償却資産の耐用年数表
賃貸不動産である場合
相続対象の不動産が他人に貸している状態、いわゆる「賃貸不動産」である場合、その評価額は通常よりも下がります。
これは「貸家建付地」や「貸家」の評価減が適用されるためです。
たとえば、土地に建物を建てて他人に賃貸している場合、その土地は「貸家建付地」となり、評価額が一定割合減額されます。
貸家建付地の評価額
= 自用地評価額 −(自用地評価額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)
また、建物も貸家として次の式で評価されます。
貸家の評価額
= 自用家屋評価額 ×(1 − 借家権割合 × 賃貸割合)
「借地権割合」は土地を借りて使う権利の価値割合で、路線価図にて確認できます。
「借家権割合」は建物を借りて住む権利の価値割合で、原則30%が用いられます。
「賃貸割合」は建物の床面積のうち、実際に貸している部分の割合を指します。
例として、以下の条件で試算すると次のようになります。
項目 | 土地 | 建物 |
---|---|---|
自用評価額 | 1,000万円 | 1,000万円 |
借地権割合 | 60% | ― |
借家権割合 | 30% | 30% |
賃貸割合 | 100% | 100% |
評価額 | 820万円 | 700万円 |
このように賃貸に出している不動産は、所有者が自由に使えない制限があるため、その分評価額が低くなる仕組みです。
被相続人が生前に賃貸経営をしていた場合は、申告時にこれらの特例を活用できる可能性があります。
参照元:No.4614 貸家建付地の評価
参照元:No.4611 借地権の評価
土地の形がいびつな場合
土地はその形状や道路との接し方(接道状況)によって、相続税評価額が変動します。
四角く整った土地(整形地)は活用しやすい一方で、三角形・旗竿地(通路が細長く奥に敷地がある形)・奥行が長すぎる土地など、利用が難しい「不整形地」は、評価額が低くなります。
このとき適用されるのが「不整形地補正率」です。
これは、土地の使いづらさを加味して、評価額を一定割合で減額する仕組みです。
参照元:国税庁
不整形地補正率の一例(普通住宅地区・地積区分Aの場合)
不整形度合い(かげ地割合) | 補正率 |
---|---|
10%〜14% | 0.98 |
30%〜34% | 0.90 |
50%〜54% | 0.79 |
65%以上 | 0.60 |
※かげ地割合とは、有効に使いづらい部分の面積割合を指し、下記の式で計算されます:
かげ地割合 =(有効利用できない面積 ÷ 総地積)×100
相続税評価額は、次の計算式で求められます:
路線価 × 地積(㎡) × 各種補正率(不整形地補正率・間口狭小補正率など)
たとえば、かげ地割合が50%の土地(補正率0.79)であれば、評価額は21%減になるということです。
また、間口が狭い・奥行が極端な場合の追加補正もあります。
- 間口狭小補正率:間口が狭いほど評価が下がる。【例:4m未満の間口なら補正率は0.90(普通住宅地区)】
- 奥行長大補正率:間口に対して奥行が極端に長い場合、追加で補正される。【例:奥行/間口比が8以上で0.90に】
このように、土地の形状は売却や活用のしやすさに加え、相続税評価額にも影響を与える要素です。現地を確認し、登記簿や公図と照らし合わせて判断することが大切です。
参照元:奥行価格補正率表(昭45直資3-13・平3課評2-4外・平18課評2-27外・平29課評2-46外改正)
築30年の家の相続税を下げられる6つの控除や特例
相続税の負担は条件次第で大きく軽減できます。築30年の古家を相続する場合でも、制度をうまく活用すれば「想定より税額が安かった」というケースも少なくありません。
ここでは、相続税を下げられる主な控除・特例について、対象者や適用条件、控除額の目安を解説します。
それぞれの制度が「自分の家族に当てはまるかどうか」を判断しやすいように、簡潔で視覚的に理解できる構成にしています。
小規模宅地等の特例
小規模宅地等の特例は、被相続人の居住用や事業用に使われていた土地の相続税評価額を大幅に減額できる制度です。自宅として使われていた土地であれば、最大330㎡まで80%の評価減が認められます。
たとえば、自宅の敷地が3,000万円と評価された場合でも、80%の特例を適用すれば、評価額は600万円まで圧縮されます。
内容 | 金額(例) |
---|---|
評価前の土地価格 | 3,000万円 |
評価減の割合 | 80% |
減額後の評価額 | 600万円 |
この特例を受けるには、取得者の立場ごとに細かい要件が定められているため、単に「住み続ければよい」というわけではありません。以下は主な取得者ごとの要件です。
配偶者が相続する場合
- 無条件で特例の適用が可能(要件なし)
同居していた親族が相続する場合
- 相続開始の直前から申告期限まで引き続き同じ建物に居住していること
- その宅地を相続税の申告期限まで保有していること
別居していた親族が相続する場合(いわゆる「家なき子特例」)
以下のすべての条件を満たす必要があります。
- 相続開始時に日本国内に自己または配偶者の所有する家屋に住んでいないこと
- 過去3年以内に、一定の親族や関係法人が所有する家屋に居住していないこと
- 相続開始時点でその宅地を所有しておらず、相続後も申告期限まで所有し続けていること など
また、被相続人が介護施設に入所していた場合も、一定条件を満たせば居住用宅地とみなされることがあります(※要介護認定などが必要)。
土地の評価額を大幅に下げられるため、非常に影響力の大きい制度です。
申告書に添付する資料や要件確認が求められるため、活用を検討する際は専門家のサポートも視野に入れておきましょう。
参照元:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
未成年者控除
未成年者控除は、法定相続人が18歳未満である場合に適用される相続税の軽減制度です。控除額は以下の式で計算されます。
「(18歳 − 相続時の年齢)× 10万円」
たとえば、相続人が15歳であれば、以下のように50万円の控除が受けられます。
相続時年齢 | 控除額 |
---|---|
15歳 | 30万円 |
13歳 | 50万円 |
8歳 | 100万円 |
この制度は、相続人の生活資金を考慮して設けられており、扶養義務者が相続人に対して相続財産を引き継がせる際に税負担が軽減されるようになっています。
子どもが未成年で相続人となる場合は、自動的に対象となるため、見落とさずに申告することが重要です。
障害者控除
障害者控除は、相続人が障害者手帳を持つ場合に、相続税を軽減できる制度です。控除額は未成年者控除と同様に、以下の計算式で算出します。
「(85歳 − 相続時の年齢)× 10万円」
また、特別障害者(重度の障害者)の場合は、1年あたりの控除額が20万円になります。
障害の区分 | 相続時年齢 | 控除額(例) |
---|---|---|
一般障害者 | 60歳 | 250万円(85−60)×10万 |
特別障害者 | 60歳 | 500万円(85−60)×20万 |
障害者控除は、福祉的配慮として設けられている制度であり、本人が障害者であることを証明する書類(障害者手帳など)を添付することで適用可能です。
参照元:障害者と税
配偶者の税額軽減
配偶者が相続する場合には、他の相続人よりも優遇される「配偶者の税額軽減」が適用されます。
これは、以下のいずれかの金額までは相続税が非課税となる仕組みです。
- 法定相続分まで
- 1億6,000万円まで
たとえば、配偶者が相続する財産が1億円であれば、すべて非課税となります。
相続財産 | 非課税対象額 | 課税対象額 |
---|---|---|
1億円 | 1億円 | 0円 |
2億円 | 1億6,000万円 | 4,000万円 |
この特例は申告書の提出が必要ですが、結果として相続税がゼロになるケースがほとんどです。ただし、遺産分割協議が済んでいることが前提条件となるため、申告期限内の手続きが重要です。
贈与税額控除
生前に贈与を受けていた場合、相続時には「贈与税額控除」という制度が使えます。
これは、相続開始前3年以内に受けた贈与に関して、すでに支払った贈与税分を相続税から差し引けるというものです。
たとえば、父から生前に300万円の贈与を受けて、30万円の贈与税を支払っていた場合、相続税からこの30万円を控除できます。
この制度を使うためには、贈与の履歴がわかる通帳や申告書などを残しておく必要があります。
生前贈与がある場合は、申告時に必ず確認してください。
参照元:No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)
相次相続控除
相次相続控除は、10年以内に複数回の相続が発生した場合、前回の相続で支払った相続税の一部を控除できる制度です。
たとえば、父の相続から5年後に母の相続が発生した場合、父の相続で支払った税金の一部を、母の相続税から差し引くことができます。
控除額は、前回の相続税額に対し、経過年数に応じた割合が適用されます。
以下は簡易な控除割合の目安です。
経過年数 | 控除割合の目安 |
---|---|
1年以内 | 100% |
5年以内 | 約50% |
9年以内 | 約10% |
この制度は見落とされやすいですが、兄弟などが続けて亡くなったケースでは大きな控除につながるため、過去10年以内の相続履歴は必ず確認しておきましょう。
参照元:No.4168 相次相続控除
相続した築30年の家の価値は土地のみ?
築年数が30年を超える建物は、資産としての評価が著しく低くなっている場合が多く、相続の場面では「価値があるのは土地だけ」という状況も少なくありません。
このような場合、建物の取り扱いをどうするかが、相続税対策や売却戦略を考える上で重要なポイントになります。
特に木造住宅の場合、22年を過ぎると法定耐用年数を超えており、評価額がゼロに近づく傾向があります。
固定資産税評価額が10万円未満というケースも珍しくなく、建物の相続税評価額は実質的に無視されることもあります。
ただし、建物の評価が低いからといって、必ずしもすぐに解体すべきとは限りません。
建物が残っていることで「住宅用地の特例」が適用されている場合、その恩恵を受けている可能性もあります。
たとえば、住宅が建っている土地には、最大で固定資産税が1/6に軽減される「住宅用地特例」があり、これが解体後には適用されなくなるのです。
このように、「建物の資産価値はほぼゼロだが、建物を残すことで得られる税制上のメリットがある」というケースもあるため、慌てて解体する前に総合的な判断が必要です。
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相続した築30年の家の売却方法7選
相続した築30年の家を処分したいと考える場合、どのような方法を選ぶかによって、かかる費用や得られる金額、手間の大きさが大きく変わってきます。
ここでは、築30年の家を売却する7つの方法について、それぞれの特徴や向いているケースを比較しながら紹介します。
これらの選択肢を知ることで、自分にとって最も効率的で負担の少ない方法を選べるようになります。
そのままの状態で売却
最も手間がかからないのは、現状のまま家を売却する方法です。
リフォームや解体といった費用をかけずに売却できるため、手元資金に余裕がない方や、できるだけ早く手放したい方に適しています。
ただし、建物の劣化が進んでいたり、ゴミや不用品が残っている場合には、内覧者の印象が悪くなり、売却価格が下がる可能性があります。
また、売却後のトラブルを防ぐためにも、建物の状態を正直に伝えることが大切です。
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不動産業者に買い取りを依頼する
「すぐに処分したい」「現状のまま引き取ってほしい」と考える方には、不動産業者による直接買取という方法があります。
査定から売却完了までが非常に早く、最短1〜2週間で現金化できるケースもあります。
一方で、業者がリノベーションや再販を前提に買い取るため、買取価格は市場価格より2〜3割低くなる傾向があります。
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「古家付き」として土地を売却
古い家を解体せずに、「古家付き土地」として売る方法もあります。
この場合、売主が解体費用を負担せずに済むうえ、買主が自分で好きなタイミングで建て替えできる点で一定の需要があります。
「古家付き」という表現は、建物の使用価値は低いが取り壊して建て替え可能であることを示しています。
不動産広告でも「建築条件なし」「現況渡し」などとセットで表記されることが多いです。
注意点として、再建築不可の土地や接道義務を満たさない物件は、買主に敬遠されやすくなります。
売却前に、土地の法的制限や建築可否を調べておくことが重要です。
古家付き土地の売却について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

リフォームして売却
建物にある程度の価値が残っている場合や、立地が良い場合は、部分的にリフォームを施してから売却する方法もあります。
特にキッチンやトイレ、浴室などの水回りをきれいにすると、内覧時の印象が大きく変わり、売却価格の向上につながることがあります。
ただし、全面リフォームは費用が高額になるため、以下のような費用対効果を見極めたうえで検討すべきです。
リフォーム箇所 | 費用目安 | 買い手への影響 |
---|---|---|
キッチン交換 | 約50〜100万円 | 印象改善に効果あり |
トイレ交換 | 約20〜40万円 | 清潔感に直結 |
壁紙・床張り替え | 約50万円 | 雰囲気を大きく改善 |
屋根・外壁塗装 | 約80〜150万円 | 築古感を軽減 |
なお、フルリノベーションをしても、必ずしもその投資分が売却価格に上乗せされるとは限らないため、収支計算を慎重に行いましょう。
解体して売却
建物が老朽化しており、すでに居住に適さない場合には、解体して更地にしてから売却する方法も有効です。
更地の方が土地活用の自由度が高く、買い手にとって魅力的に映ることがあるため、結果的に売却がスムーズになるケースもあります。
ただし、解体には100万円〜300万円程度の費用がかかるのが一般的です。
構造によって費用は異なり、以下が目安です。
構造 | 坪単価の相場 | 30坪の場合の目安費用 |
---|---|---|
木造 | 3〜5万円 | 約90万〜150万円 |
鉄骨造 | 4〜6万円 | 約120万〜180万円 |
RC造(鉄筋コンクリート) | 5〜8万円 | 約150万〜240万円 |
また、建物を解体すると「住宅用地特例」が使えなくなり、翌年度以降の固定資産税が6倍近くに上がる可能性があるため、売却時期との兼ね合いも重要です。
瑕疵担保保険をつけて売却
築年数が古い家を売る場合、買主は「何か不具合があるのでは」と不安を感じがちです。
そうした不安を解消する手段として、「瑕疵担保保険(かしたんぽほけん)」をつけて売却する方法があります。
これは、売却前に住宅診断(インスペクション)を行い、基準を満たしていれば、一定期間内の不具合に対する補償がつくという制度です。
主に雨漏りや構造上の問題に対して保険が適用されるため、買主側の心理的なハードルが下がり、スムーズな売却につながる可能性があります。
ただし、検査と保険料に合わせて数万円〜10万円程度のコストがかかるため、建物の状態が良い場合に適しています。
空き家バンクやマッチングサービスに登録する
空き家をすぐに売却できない場合や、地域活性化に役立てたいと考える場合は、自治体が運営する「空き家バンク」や、民間のマッチングサービスへの登録も選択肢の一つです。
特に地方物件の場合は、移住希望者や起業家が空き家を探していることもあり、リノベーション前提での利用を希望する人もいます。
登録・掲載は無料のことが多く、地域によっては補助金制度も利用できます。
ただし、売却までに時間がかかる可能性があるため、「すぐに現金化したい」という方には向かない場合があります。
空き家バンクについては以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。

相続した築30年の家の売却が難しい場合はアルバリンクに相談がおすすめ
これまで紹介してきた売却方法を検討しても、「建物の老朽化が激しく買い手がつかない」「再建築不可で一般の不動産会社では扱ってもらえない」といった理由で、売却が進まないケースも少なくありません。
特に築30年を超えるような物件では、土地の条件や建物の状態によっては市場に出しても買い手が見つからず、持て余してしまうことがあります。
そのような状況で検討したいのが、不動産の専門買取業者への相談です。
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まとめ
築30年の家を相続した場合、建物の評価はほとんど残っていないことが多く、実質的には土地の価値がカギを握ることになります。
相続税の評価方法を理解し、控除や特例制度を正しく活用することで、税負担を大きく軽減できる可能性があります。
また、売却方法にもさまざまな選択肢があり、建物を残す、リフォームする、解体するなど、それぞれの費用や手間、売却までのスピードに応じて最適な手段を選ぶことが大切です。
もし通常の売却が難しいと感じた場合でも、再建築不可物件や老朽家屋の買取に対応している専門業者に相談することで、新たな道が開けることもあります。
焦らず情報を整理し、自分に合った方法で賢く進めていきましょう。
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