空き家と別荘の定義を解説
空き家と別荘はどちらも居住者がいない建物ですが、定義や管理の目的に違いがあります。
空き家と別荘の定義などについてまとめました。
空き家 | 別荘 | |
---|---|---|
定義 | 居住者が長期間不在の住宅 | 日常生活の用に供しない家屋のうち、保養のために使うもの (月1日以上の居住) |
管理の目的 | 劣化・倒壊を防ぐ | 快適な環境を整える |
固定資産税の減税 | 自治体から「管理不全空き家」「特定空き家」に認定されると対象外になる | 「夏季のみ」など、一定期間のみの利用では対象外 ※月1日以上の居住を申請すれば、軽減される場合もある |
日常的に利用している住宅は「固定資産税の軽減措置」が設けられており、以下の内容で税金を抑えられています。
- 小規模住宅用地(200平方メートル以下):固定資産税:価格×1/6、都市計画税:価格×1/3
- 一般住宅用地(200平方メートル以上):固定資産税:価格×1/3、都市計画税:価格×2/3
参照元:金沢市
しかし、空き家や別荘は日常的に利用している住宅とみなされず、軽減の対象外となるケースもあります。
そして空き家を別荘として活用する場合も、維持管理の手間や費用は同じようにかかります。
目的に応じた活用方法を慎重に検討することが大切です。
空き家を別荘にする9つのデメリット
空き家を別荘として活用するデメリットを9つ紹介します。
別荘として活用するためには、金銭的な負担や、手間がかかります。
特に維持管理や税金の問題は大きな負担となるため、事前に十分な検討が必要です。
維持管理の手間がかかる
空き家を別荘にすると、維持管理が大きな課題になります。
維持管理のポイントを紹介します。
- 換気や除湿:カビやシロアリ対策
- 庭や駐車場の手入れ:雑草の撤去
- 水道やガス、電気の点検:冬場は水道管の凍結防止対策
- 備え付け設備の維持:キッチン・風呂・トイレや、インターネット環境
- 給排水設備:定期的に水道を使い、配管や浄化槽の劣化を防ぐ
このように、空き家を別荘として利用する場合は、定期的な訪問や管理が不可欠です。
管理が難しい場合は、地域の管理サービスを活用する方法もありますが、その分コストがかかる点に注意が必要です。
税金や管理費が発生し、固定資産税の軽減措置もない
空き家を別荘として活用する場合、税金や管理費の負担も考慮しなければなりません。
通常の空き家の場合、「特定空き家」に指定されない限りは、住宅用地の固定資産税軽減措置が適用されることがあります。
しかし、別荘として使用すると、この軽減措置が受けられず、税負担が増える可能性があります。
たとえば、長野県軽井沢町では、以下の条件を満たした場合のみ軽減措置が与えられます。
- 宿泊を伴う、毎月1日以上の居住をする(夏季のみなど、一定期間だけの居住は不可)
- 軽井沢町へ申告用紙を提出
- 利用状況確認のため、電力会社が発行する「電気使用実績書」を添付
参照元:長野県軽井沢町
また、税金の他にも以下の管理費や維持費がかかります。
- 管理費:管理組合による清掃費
- 維持費:共有施設の維持費
- ライフラインの基本料金:水道・ガス・電気の利用頻度が少なくても、基本料金はかかる
このように、空き家を別荘にすることで発生する税金や維持管理費は、長期的な負担につながります。
事前にコストを試算し、経済的に無理のない範囲で活用を検討することが重要です。
管理が難しく老朽化しやすい
空き家を別荘として活用する場合、管理が行き届かず老朽化しやすい点が大きなデメリットとなります。
別荘を週末や長期休暇のみ利用する場合、利用しない期間が長期間あるため、その分建物の劣化が進みやすくなります。
建物の劣化の内容を紹介します。
- 湿気によるカビの発生や、シロアリ被害:特に木造住宅で発生しやすい
- 屋根や外壁の劣化、雨漏り
- 水道管の凍結やガス設備の劣化によるトラブル:寒い地域は特に注意をする
- 風呂やトイレの配管が詰まりやすい
老朽化を防ぐためには、定期的な訪問や管理が欠かせませんが、それには時間や費用がかかります。
管理会社に依頼する方法もありますが、依頼料を定期的に支払う必要があります。
例えば「大東建託パートナーズ空き家管理サービス」で月1回、家の内部・外部の管理や清掃を依頼した場合、料金は月あたり11,000円かかります。
参照元:大東建託パートナーズ
管理の手間や費用を踏まえて、事前に対策を検討することが重要です。
建物の管理が必要な理由や、管理にかかる費用の詳しい相場などについては、こちらで詳しく紹介しています。

相続時に負の遺産になる
空き家を別荘として所有していると、相続時に「負の遺産」となるリスクがあります。
別荘は一般的な住宅とは異なり、定住用ではないため相続人がそのまま住むケースは少なく、多くの場合、売却や賃貸の選択肢を検討することになります。
しかし、以下の理由から、別荘の活用が難しいケースが発生するおそれがあります。
- 立地や物件の条件によっては売却が難しい:維持管理や税金の負担だけが残る
- リフォームやリノベーションを行い、付加価値をつけて売却:費用がかかる
そして、築年数の経過によって価値が下がると、さらに売却が難しくなります。
相続を見据えた別荘の活用方法としては、早めに売却を検討する、賃貸として貸し出す、または定期的に活用する計画を立てることが重要です。
負の遺産にならないように、事前に相続人と話し合い、適切な対策を講じることが求められます。
売却が難しくなる
空き家を別荘にした場合、いざ売却しようとすると買い手がなかなか見つからないことがあります。
- そもそも別荘の需要が少ない:一般住宅よりは、購入を検討する人が少ない
- 老朽化が進むと、リフォームやリノベーションが必要:売却価格より費用がかかるケースも
- 別荘地特有の管理費やルールがある場合、売却のハードルが上がってしまう
売却をスムーズに進めるためには、所有している間に定期的なメンテナンスを行い、価値を維持することが大切です。
また、早めに不動産会社と相談し、適切な価格設定や売却方法を検討することが重要になります。
なお、別荘が売れない理由や売却を成功させるポイントについては、以下の記事でくわしく解説しています。

活用頻度が低くなりがち
空き家を別荘として活用する場合、実際には活用頻度が低くなるケースが多く見られます。
最初は「週末ごとに訪れよう」「長期休暇は別荘で過ごそう」と計画していても、仕事や家庭の事情でなかなか足を運べなくなり、次第に放置されがちになります。
特に、都市部から遠く離れた別荘の場合、移動時間や交通費の負担が大きく、頻繁に訪れるのが難しくなります。
また、天候の影響や体調の問題で出かけられないこともあり、気がつけば年間に数回しか利用しないという状況になることも少なくありません。
さらに、活用頻度が低いと建物の劣化が進みやすくなり、維持管理の手間が増えます。
空気の入れ替えや水道の通水、庭の手入れなどを怠ると、劣化スピードが加速し、余計な修繕費がかかることになります。
そのため、空き家を別荘に検討する場合は「本当に使いこなせるか?」をしっかり考えることが大切です。
活用せずに放置すると、管理の手間や費用だけが増えるため、具体的な利用計画を立てることが求められます。
周辺環境によっては価値が下がる
空き家を別荘として活用する際、周辺環境の変化によって物件の価値が大きく下がる可能性があります。
周辺環境の変化により、価値が下がってしまう例を紹介します。
- 人口の少ないエリア:過疎化やインフラの老朽化
- 自然豊かなエリア:景観や環境の変化(開発が進んで景観が損なわれる)
別荘を所有する際には、現在の環境だけでなく、将来的な地域の発展や人口動向も考慮することが重要です。
地域の再開発計画やインフラ整備の状況を調査し、価値が維持できるかどうかを見極めることが大切です。
賃貸運用のハードルが高い
空き家を別荘として活用し、賃貸運用を考える場合、さまざまなハードルが存在します。
特に、地方や観光地以外のエリアでは需要が少なく、安定した収益を得るのが難しいという問題があります。
別荘の賃貸には「短期賃貸」と「長期賃貸」の2種類があり、それぞれの特徴を紹介します。
短期賃貸 | 長期賃貸 | |
---|---|---|
賃貸の目的 | 週末利用やバケーションレンタル | 定住してもらう |
メリット | 好きな期間に貸し出せるので、自分の利用と両立できる | 定期的な賃貸収入を得ることができる |
デメリット | ゲストの入れ替えが頻繁に発生し、管理の手間が増える
民泊や旅館の届出が必要 |
周辺に仕事や商業施設が少ない場合、日常的に暮らしづらい
自分で別荘を利用できない |
参照元:ハウスバード株式会社
また、キッチンや風呂、トイレなどの設備が老朽化している場合、リフォームやリノベーションの費用がかかり、賃貸運用のコストがかさむ可能性があります。
さらに、賃貸契約を結ぶ際には、トラブルを避けるために管理会社を介する必要がありますが、その分の手数料や維持管理費用も発生します。
このように、別荘の賃貸運用は、立地や物件の条件次第で収益を得るのが難しくなるため、慎重に計画を立てることが重要です。
災害リスクや防犯対策が必要
空き家を別荘として利用する場合、災害リスクや防犯対策を十分に考慮する必要があります。
災害リスクで注意するポイントは、物件のある地域によって異なります。
- 山間部の別荘:土砂崩れや落石の危険
- 台風の影響を受けやすい地域:強風による屋根の損傷や倒木のリスク
- 海沿いの物件:塩害による建物の劣化
防犯面においても、無人の時間が長い別荘は空き巣被害に遭いやすい傾向があります。
空き家の窃盗被害は、家具や家電だけでなく、給湯器やエアコンの室外機、さらには配管や金属類が盗まれるケースもあります。
災害リスクや防犯への対策は、以下のような方法があります。
- 火災・災害保険への加入:万が一の損害をカバーできるようにしておく
- 防犯カメラやセンサーライトの設置:不審者が近づきにくい環境を作る
- 定期的な訪問や管理サービスの利用:長期間放置せず、建物の状況をチェックする
- 周辺住民との関係づくり:近隣住民に管理を協力してもらう
災害リスクや防犯対策を怠ると、別荘が放置されるリスクが高まり、結果的に資産価値が下がる可能性があります。
空き家を別荘にしても、定期的に活用できない場合、空き家と同様に劣化してしまうリスクがあり、維持費や税金もかかっていきます。
管理の手間を省き、出費を抑えたい場合は売却の検討もおすすめです。
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空き家は別荘にせずに売却がおすすめ
空き家を別荘として活用する選択肢もありますが、維持管理の手間や費用、税金の負担などを考えると、売却する方が合理的なケースが多いです。
別荘として活用するには、リフォームやリノベーションのコストがかかるうえ、利用頻度が低くなることが多いため、資産価値が下がるリスクもあります。
一方で、売却すれば固定資産税や維持管理費の負担がなくなり、将来的な相続問題も回避できます。
特に、地方や田舎にある空き家は、適切な方法を使えばスムーズに手放すことが可能です。
空き家を売却する方法を3つ紹介します。
無償で譲る
売却が難しそうな空き家の場合、無償で譲渡するのも一つの方法です。
売却益がなかったとしても、無償なら欲しいと考えている人へ譲ることで、管理負担や固定資産税の支払いから解放されるメリットがあります。
ただし、個人間の取引となるため、手続きやトラブル対応は自分で行わなければいけません。
無償で譲る場合でも、以下の費用・税金の負担がかかります。
- 譲渡契約書の作成費(行政書士や司法書士に依頼する場合):相場は5万円程度
- 不動産取得税:固定資産税の3%
- 登録免許税:固定資産税の2%
- 贈与税:空き家を譲り受けた人に対してかかる
参照元:総務省
また、建物が老朽化している場合、受け取る側がリフォームの負担を背負うことになるため、事前にしっかりと説明することが重要です。
空き家を譲る相手は、以下の方法で探します。
空き家を無償で譲る方法について、詳しくはこちらで紹介しています。

空き家バンクを活用する
「空き家バンク」は、全国の自治体が運営する制度で、空き家を売却または賃貸として提供できる仕組みです。
特に、地方の物件は一般の不動産市場では売却が難しいケースが多いため、空き家バンクを活用すると、移住希望者や別荘を探している人にアプローチしやすくなります。
空き家バンクを利用するメリットは、以下の4点です。
- 仲介手数料がかからない
- 無料で物件を掲載できる
- 資産価値に関わらず掲載可能
- 補助金や助成金が利用できる場合がある
ただし、個人間の手続きとなるケースが多いため、トラブルには自分で対処しなければいけません。
また、買い手が見つかるまでに時間がかかることもあるため、売却を急ぐ場合は他の方法と併用するのが賢明です。
空き家バンクに物件情報を載せるためには、自治体の窓口へ申請を出し、審査を受けます。
申請方法や登録の流れは自治体によって異なるため、あらかじめ自治体の制度を調べておくと安心です。
空き家バンクについて、詳しくはこちらで紹介しています。

売却する
最も確実に空き家を手放せる方法は、不動産会社を通じて売却することです。
売却によって現金化できれば、新たな資産運用の選択肢が広がり、固定資産税の負担から解放されます。
売却には、2通りの方法があります。
- 買取:不動産会社が直接買い取る。売却完了までの期間が短い。(1週間~1カ月程度)
- 仲介:買主が見つかり、契約が決まってから売却金を得られる。
空き家の売却は、以下の流れで行います。
- 不動産会社へ査定依頼:複数の不動産会社へ査定を依頼
- 媒介契約の締結:不動産会社への仲介を1社にするか、複数社にするか決める
- 売却活動の開始:物件がホームページなどに掲載される
- 購入希望者との交渉:価格や引き渡し時期の決定
- 売買契約の締結:契約書を取り交わす
- 引き渡し・決済と確定申告:譲渡所得が発生した場合、翌年確定申告を行う
売却時の注意点として、築年数が古い物件や管理が行き届いていない物件は、買い手がつきにくくなる可能性があります。
空き家売却の流れについて、詳しくはこちらで紹介しています。

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空き家を別荘にせず売却をしたいが、手間をかけずに売却したい方は、買取業者への相談がおすすめです。
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実際に、廃墟化した空き家の買取も過去におこなっており、フジテレビの「イット」をはじめ、多くのメディアに特集されています。
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まとめ
この記事では、空き家と別荘の違いを解説し、空き家を別荘として活用する際の9つのデメリットについて詳しく説明しました。
維持管理の手間や税金負担、老朽化リスク、売却の難しさなど、多くの課題があるため、空き家を別荘として利用するためには慎重な判断が必要です。
空き家を持て余している場合は、売却や無償譲渡、空き家バンクの活用といった選択肢を検討するのがおすすめです。
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