【失敗談】なぜ実家の処分に「137万円」もかかったのか?
リアルな総額と内訳
私が相続したのは、大分県の郊外にある築45年の木造2階建て。母が亡くなったあと、誰も住まないまま数年間放置していました。
処分を決めて業者に見積もりを依頼したとき、私は「解体費30万円くらいで済むだろう」と考えていました。
しかし実際は、老朽化によって解体費だけで約87万円。見積書を見た瞬間、「こんなにかかるのか…」と目を疑いました。
しかも、お金がかかったのは解体費だけではありません。家財の処分費、樹木の伐採費、登記費用、税金なども次々と発生し、最終的な負担は想像をはるかに超えるものになりました。
まず効いたのが残置物の処分費27万円。親の家というのは、想像の3倍くらい物が詰まっています。タンス、布団、食器、大量のアルバムなど想像以上に大量の荷物が残ったままでした。
さらに、伸び放題だった庭木の伐採とブロック塀の撤去で11万円。数年間手を付けなかった相続登記に9万円。誰も住んでいない家の固定資産税も、放置した年数分きっちり払い続けていました。
そして最も痛いのは、137万円払っても土地がまだ売れていないこと。駅から遠い郊外の土地には買い手がつかず、更地になった今も固定資産税だけが毎年出ていきます。
137万円あれば、老人ホームの入居金など、老後資金として運用に回せたはずです。実家は資産どころか、完全に負債でした。
なぜ実家を「放置」してしまったのか?私が動けなかった3つの理由
私が特別ずぼらだったとは思っていません。振り返れば、動けなかった理由は誰にでも当てはまるものばかりでした。
「親もまだ元気だし、先の話でいいや」という油断
親が元気なうちは、実家の話は「まだ先の話」に見えます。しかし実際には、親が元気なうちしか、実家の片付けも意思確認もできません。
また、母に認知症の症状が出てからは、「この家をどうしたいか」「権利証はどこにあるか」を聞くことすら難しくなりました。元気なうちに聞いておけば、と今でも後悔しています。
「実家の話を切り出すのは、縁起が悪いし気まずい」という遠慮
死んだ後の話をするようで、私はどうしても母に実家の処分を言い出せませんでした。その結果、母の死後に兄弟間で「誰が引き取るか」の押し付け合いが発生。
話し合いは1年以上こじれ、その間も税金は流れ続けました。生前にひと言、母の希望を聞いておくだけで避けられた争いです。
名義変更がめんどくさいと思っていた
法務局、戸籍集め、遺産分割協議書など、調べるほど面倒に見えて、私は登記を数年間放置しました。
しかし相続登記は2024年から義務化され、正当な理由なく放置すると過料の対象になっています。実際にやってみると司法書士に頼めば簡単に済む話で、「めんどくさい」は思い込みでした。
放置そのものがペナルティになる時代です。
実家を放置し続けたら、もっと払っていた
137万円は高い勉強代でした。ただ、後から調べてわかったのは、あのまま放置していたらもっと払っていたという事実です。
放置された空き家には、次のリスクが積み上がっていきます。
- 固定資産税が最大6倍に:住宅が建つ土地は「住宅用地特例」で税が最大1/6に軽減されていますが、「管理不全空家」「特定空家」に指定され勧告を受けると特例が解除。税額が一気に跳ね上がります(2023年の法改正で、倒壊寸前でなくても対象になり得ます)
参照元:国土交通省|空家法とは
- 近隣への賠償リスク:台風で屋根材が飛んで隣家や通行人を傷つければ、所有者の責任。火災や倒壊なら賠償額は数千万円規模になり得ます。実際、うちの実家も台風のたびに気が気ではありませんでした。
- 庭木・害獣・不法投棄:私は隣家から枝の越境クレームを受け、庭にはいつの間にかゴミが投げ込まれていました。このゴミの処分も持ち主の私が行わなければなりませんでした。
私のケースで「解体した場合」と「あと10年放置した場合」を比べると、こうなります。
| 今回(解体) | あと10年放置した場合 | |
|---|---|---|
| 解体・処分費 | 約137万円 | いずれ必要(ゴミの不法投棄で割増の可能性) |
| 固定資産税 | 更地分を毎年 | 特例解除なら最大6倍が10年分 |
| 賠償リスク | なし | 常時抱え続ける |
| 精神的負担 | 完了 | 「いつか片付けなきゃ」が続く |
放置は「支払いの先送り」ではなく「支払いの積み増し」。これが137万円払って得た、私の結論です。
実家を解体して「得た知見」6つ
「これを先に知っていれば」と何度も思った知見をまとめます。
1. 更地にすると住宅用地特例が外れ、税金が上がる
家を壊した瞬間、土地の固定資産税は軽減がなくなります。私は売却のあてもなく解体してしまい、更地の税金を払い続けています。
「とりあえず解体」は悪手。売却先や活用のあてを付けてから壊すのが鉄則でしょう。
2. 自治体の空き家解体補助金は使えることがある
多くの自治体に数十万円規模の解体補助金があります。ただし着工前の申請が必須。
私は知らずに先に契約してしまい、50万円のほどの補助を取り逃しました。役所のサイトを一度見るだけで防げた損失です。
3. 残置物は自分で片付けるだけで数十万円変わる
業者に丸投げすると、重量と量に応じて費用が膨らみます。自治体の粗大ゴミ回収やリサイクルを使って自力で減らせば、十数万円は圧縮できたはずでした。
ただし時間と体力、そして親の遺品と向き合う精神力は必要です。
4. 売れない土地は「相続放棄」も選択肢に入れるべき
資産価値より処分コストが上回るなら、相続放棄(相続を知ってから3ヶ月以内)も冷静に検討すべきでした。
ただし放棄は預貯金など他の財産もすべて手放すことになるため、トータルでの損得計算が必要です。私は「実家を放棄するなんて」という感情が先に立ち、計算すらしませんでした。
5. 「解体して売る」より「現状のまま手放す」ほうが得なケースもある
後から知って最も悔やんだのがこれです。
荷物そのままで買い取る専門業者や、隣地所有者への譲渡という手段があり、その場合は解体費や残置物処分費を払う必要すらなかった可能性があります。
「壊してから売る」が常識だと思い込んでいたこと。それが私の最大の敗因でした。
6. 親と生前に「実家をどうするか」を話しておくこと
結局、すべての費用と苦労の根本原因はこれでした。片付けも、名義の確認も、家の希望を聞くのも、親が元気な今しかできません。
お盆や年末年始、親が元気なうちに一度だけでも「この家、将来どうしようか」と口にすること。それが一番安い対策だったと、137万円払った今なら断言できます。
まとめ|「実家は資産じゃなく、老後破産の原因になりうる」
実家は、親の思い出が詰まった大事な場所です。でもお金の面で言えば、何もしなければ確実に負債になる。私はそれを認めるのに数年かかり、137万円を払いました。
実家の処分に「ちょうどいいタイミング」は永遠に来ません。来るのは、動かざるを得なくなった最悪のタイミングだけです。
「実家は後でいいや」の”後で”は、あなたの老後資金から支払われる金額が大きくなるだけです。
※登場人物・体験談は複数の事例をもとに再構成したフィクションです。制度・税・費用に関する説明は一般的な情報として記載しています。



