そもそも空き家バンクとは?
空き家バンクは、空き家を活用したい人と、家を手放したい人をつなぐ、自治体が運営するサービスです。
目的は、空き家の増加による地域課題の解消であり、営利を目的とする民間の不動産業者とは異なり、地域全体の活性化を重視しています。
物件は自治体のサイトや窓口で紹介され、空き家の持ち主が情報を登録します。閲覧者は、掲載された物件の中から希望に合うものを探すことができます。
なかには、古民家や低価格の家屋もあり、自治体によっては補助金制度が設けられている場合もあります。
空き家バンクを通じた取引方法は2通りあり、
- 自治体から紹介された仲介業者に売買や賃貸の手続きを依頼する方法
- 当事者同士で直接交渉を行う方法
から選択します。仲介業者に依頼する場合は、別途仲介手数料が発生する点にも注意が必要です。
空き家バンクは「出会いの場」に過ぎませんが、新しい暮らしの第一歩となる可能性を秘めた制度といえるでしょう。
なお、空き家バンクについては、以下の記事でもくわしく解説しています。

空き家バンクと不動産屋の違いを徹底比較
空き家を売却または有効活用したいと考えたとき、「空き家バンクと不動産会社のどちらを選ぶべきか」と悩む方は多いかもしれません。
それぞれの仕組みには、費用のかかり方やサポート体制、成約までの流れなど、異なる特徴があります。
ここでは、以下の4つの視点から両者の違いを整理し、それぞれのメリット・デメリットをわかりやすく解説していきます。
自分の状況や希望に合った選択肢を見つけるためにも、各サービスの特徴を把握しておくことが大切です。
手数料や費用の違い
空き家バンクと不動産会社にはさまざまな違いがありますが、なかでも大きなポイントのひとつが「手数料や費用のかかり方」です。
空き家バンクは自治体が運営しているため、物件情報の掲載や登録に費用はかかりません。
掲載料や仲介手数料も不要なケースが多く、無料で物件を紹介してもらえるのが大きなメリットです。
一方、不動産会社を通じて取引する場合、売買や賃貸契約が成立すると仲介手数料が発生します。
売買の例では、「売却価格の3%+6万円+消費税」が上限とされており、高額になることもあります。
費用をできるだけ抑えて物件を探したい方にとっては、空き家バンクの利用がおすすめでしょう。
ただし、契約の手続きや条件の交渉は自身で行う必要があるため、事前にその点を理解しておくことも重要です。
対応範囲とサポート体制の違い
空き家バンクと不動産屋では、対応の幅やサポート内容にも違いがあります。
空き家バンクは、自治体が運営し、物件情報の提供やマッチングの場を設ける役割を担っています。
ただし、契約や交渉といった実務には関与せず、内覧の対応や条件のすり合わせは、原則として所有者自身が行う必要があります。
一部の自治体では不動産業者と連携している場合もありますが、その支援範囲は限定的です。
一方、不動産屋を通す場合は、担当者が物件の調査から内覧案内、価格交渉、契約手続きに至るまで、トータルで支援してくれます。
必要に応じて法的なアドバイスや、トラブル発生時の対応も受けられるため、より安心して任せることができるでしょう。
コストを抑えつつ、時間をかけてじっくりと相手を探したい方には空き家バンクが適しています。
対して、煩雑な手続きまで任せたい場合は、不動産屋の利用が有力な選択肢になります。
物件掲載・集客力の違い
空き家バンクと不動産屋とでは、物件情報の露出度や集客力にも明らかな差があります。
空き家バンクは、主に自治体のホームページや広報誌など限られた媒体に情報が載る仕組みのため、どうしても閲覧される機会が限られてしまいます。
そもそもサービスの認知度自体が高くないこともあり、集客にはやや苦戦する傾向があるでしょう。
これに対して、不動産屋は大手の不動産ポータルサイトをはじめとした多様なチャネルを活用して、より多くの人に物件をアピールできます。
自社の顧客基盤や広告戦略を活かせる点でも、集客力では大きな強みがあるといえるでしょう。
もし物件をできるだけ早く売却したい場合は、不動産屋を通す方がスムーズに進む可能性が高まります。
一方で、費用を抑えつつ、地域に根差してじっくり買い手を見つけたいという方には、空き家バンクのような公的サービスの活用も一考の価値がありそうです。
どちらを選ぶかは、目的や優先したいポイントによって変わってくるでしょう。
売却スピード・成約率の違い
空き家バンクと不動産会社では、売却にかかる期間や成約率にも差があります。
空き家バンクは自治体が運営しており、物件の掲載自体は無料です。
ただし、広告や営業活動が限定されているため、買い手が見つかるまでに時間がかかるケースもあるでしょう。
実際、空き家バンクに登録されている物件は、自治体が把握している空き家全体のうち約10%未満にとどまり、成約件数についても「1~20件」にとどまる自治体が半数近くを占めています。
このことからも、空き家バンク経由での成約数は限定的であることがわかります。
参考:一般社団法人 すまいづくりまちづくりセンター連合会「空き家バンクの運用に関するアンケ―ト調査結果報告」
このため、スピーディーな売却を希望する人には、やや不向きかもしれません。
一方で、不動産会社を利用すれば、大手の不動産ポータルサイトや自社ネットワークを駆使して広く物件をPRできます。
購入希望者と出会うチャンスも多く、特に立地や条件の良い物件であれば、短期間で成約に至る可能性も高まります。
すぐに売りたい、あるいは確実に売却したいという場合には、不動産会社のサポートが心強い選択肢となるでしょう。
どちらを選ぶかは、費用だけでなく売却の目的や状況によって見極めることが大切です。
空き家バンクと不動産屋の手続きの違い
空き家を売却する際、「空き家バンク」と「不動産会社」のどちらを利用するかによって、手続きの流れや必要な準備は大きく変わってきます。
それぞれに異なる特徴があり、自分の状況や希望に合った方法を選ぶためには、事前に違いを把握しておくことが欠かせません。
ここでは、次の2つのケースについて、それぞれの手続きの進め方や特徴を比較しながら、具体的にご紹介していきます。
空き家バンクの登録から売買までの流れ
まずは全体の流れを簡単に確認しておきましょう。
空き家バンクを通じて物件を売却する際の主な手順は、以下のとおりです。
- 自治体に申請し、空き家として登録
- 自治体ホームページに物件情報が掲載される
- 購入希望者からの連絡を受け、内覧や条件交渉を実施
- 売主・買主で直接やり取り、または不動産会社に仲介を依頼
- 合意に至れば売買契約を締結し、引き渡しへ
空き家バンクを利用して物件を売却するには、まず所有者が自治体へ申請を行い、空き家として登録する必要があります。
登録が受理されると、物件情報が自治体のホームページに掲載され、希望者が内容を確認できるようになります。
購入希望者から連絡があった場合は、内覧や条件のすり合わせが行われます。
売買契約に進む際には、売主と買主が直接やり取りすることもあれば、不動産会社に仲介を依頼するケースも見られます。
合意が得られれば、契約手続きと引き渡しへと進みます。
なお、空き家バンクは情報提供とマッチングまでが役割であり、契約や交渉といった実務面については基本的に関与しません。
この点は、不動産会社との明確な違いといえるでしょう。
不動産屋を通した売買までの流れ
まずは、不動産会社に依頼して売却を進める際の流れを、簡単にまとめておきます。
- 不動産会社と媒介契約を締結する
- 現地調査を行い、販売価格を決定する
- 大手ポータルサイトなどで物件情報を掲載する
- 内覧希望者への対応(日程調整・案内)を行う
- 購入希望者との条件交渉、重要事項説明、契約書作成を進める
- 売買契約を締結し、引き渡しまでフォローする
不動産の売却を不動産会社に依頼する場合、最初のステップは媒介契約を結ぶことです。
この契約を交わすことで、正式に売却活動がスタートし、不動産会社による広告掲載や営業が始まります。
その後、担当者が現地を調査し、周辺の相場などを踏まえて販売価格を決定。
物件情報は大手の不動産ポータルサイトなどに掲載され、内覧希望があれば、日程調整や案内まで一貫して対応してくれます。
購入希望者が現れた際は、条件のすり合わせや重要事項の説明、契約書の作成など、煩雑な手続きをすべて任せることができます。
不動産会社が間に入ることで、思わぬトラブルを防ぎながら、スムーズな売買が進められるでしょう。
売却が完了するまで、引き渡しも含めたきめ細やかなフォローがあるため、初めての方でも不安なく進められるのは心強いポイントといえます。
空き家バンクがおすすめな人4選
空き家の売却や活用を検討している方の中には、「なるべく費用をかけずに済ませたい」「地域とのつながりも大切にしたい」と考える方もいるのではないでしょうか。
そうした方にとって、空き家バンクの利用はおすすめです。
たとえば、以下のようなニーズを持つ方には、特に適している制度といえます。
ここからは、空き家バンクがおすすめな人の特徴について解説します。
費用をかけずに売却・貸出したい人
空き家を売却したい、あるいは貸し出したいものの、「できるだけお金はかけたくない」という方には、空き家バンクの利用が向いています。
空き家バンクは自治体が運営しており、物件の登録や情報掲載は無料です。
そのため、費用面での負担を気にせず活用できる点が魅力といえます。
資産価値にかかわらず掲載できるため、ほかの方法ではなかなか買い手がつかないような物件でも、思わぬ形でマッチングが成立することもあるでしょう。
自治体によっては、登録者に対して補助金を支給する制度を設けている場合もあり、家財の撤去や修繕にかかる費用の一部を補助してもらえるケースも見られます。
たとえば、香川県三豊市では、空き家バンクに登録された住宅を購入した方を対象に、リフォーム費用の50%(上限100万円)を補助する「空き家バンクリフォーム・地域経済活性化事業補助金」が用意されています。
また、不動産会社を通さずに進められることが多いため、仲介手数料がかからない点も見逃せません。
広告活動や積極的な営業は期待できないものの、費用を抑えて空き家の活用を考えたい方にとって、現実的かつ前向きな手段のひとつとなっています。
地域貢献・活用を重視する人
地域への貢献や空き家の有効活用に関心のある方にも、空き家バンクの活用がおすすめです。
空き家バンクは、単に物件を売買・賃貸する場ではなく、地域が抱える空き家の課題に向き合い、まちの活性化を図る取り組みとして多くの自治体が主体となって進めている制度です。
たとえば、古民家をリノベーションしてカフェや宿泊施設に生まれ変わらせるなど、その地域の魅力を引き出す活用が実際に行われています。
こうした動きが、新しい雇用の創出や、地域に対する外部からの注目を集めるきっかけとなることも珍しくありません。
所有している空き家をただ手放すのではなく、地域の未来に役立てたいと考える方にとって、空き家バンクの仕組みは、大きな意義を持つといえるでしょう。
売却までの時間に余裕がある人
売却を急いでおらず、じっくりと買い手を探したい方にも、空き家バンクの利用がおすすめです。
自治体が運営しているため、掲載や閲覧は無料で気軽に始められますが、民間の不動産会社のような積極的な営業活動は行われないため、成約までには時間がかかることもあります。
とはいえ、資産価値にかかわらず登録できるのが大きな特徴です。
なかなか売れにくい物件でも、意外なご縁が生まれる可能性があります。
時間に余裕のある方にとっては、費用をかけずにじっくり進められる方法として魅力的です。
自治体によっては、リフォーム費用の補助制度を設けているところもあり、こうした支援を活用すれば、準備の負担を減らすこともできます。
自分のペースで買い手を見つけながら、地域の活性化にもつながるこの制度。
急がず、無理なく売却を進めたい方にとっては、検討してみる価値があるといえるでしょう。
自治体の支援制度を活用したい人
空き家の売却や利活用を考える際、初期費用をなるべく抑えたいという方も多いのではないでしょうか。
そんなときにも頼りになるのが、各自治体が運営する「空き家バンク」です。
物件を登録することで、リフォームや家財の撤去にかかる費用の一部を補助してもらえる可能性があります。
たとえば、千葉県の南房総市では、改修費の3分の2以内(上限200万円)を補助する制度があり、沖縄県石垣市では、工事費の10%(上限50万円)までを支援する仕組みが整っています。
参考:南房総市移住・定住情報サイト「南房総市空き家利用促進奨励金」
参考:空き家バンク | 石垣市移住定住支援ポータルサイト
これらの取り組みは、空き家の利活用を通じて地域を元気にしたいという自治体の思いから生まれたものです。
空き家の再生を進めながら、地域と関わるきっかけをつくりたい方には、まさに心強い制度といえるでしょう。
ただし、支援内容や申請条件は自治体によって異なるため、事前に確認し、相談することが大切です。
空き家の活用や解体に使える補助金については、以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

不動産屋がおすすめな人4選
空き家を売却・活用する際、「手続きが不安」「できるだけ早く手放したい」と感じる方には、不動産会社を通じた方法が適しています。
専門知識を持つスタッフのサポートを受けながら進められるため、安心して取引を進められる点が大きなメリットです。
また、豊富なネットワークを活かした集客力により、成約までのスピードも期待できます。
とくに以下のような方にとっては、不動産会社の利用はおすすめといえるでしょう。
ここからは、不動産屋がおすすめな人の特徴について解説していきます。
早く・確実に売却したい人
空き家をできるだけ早く、そして確実に売却したい方には、不動産会社を通じた方法がおすすめです。
不動産会社は、全国規模のポータルサイトへの掲載や、保有する顧客ネットワークを活用し、広範囲にアプローチを行います。
そのため、購入希望者と早い段階で接点を持てるのが大きな強みです。
また、物件の調査や内覧対応、契約手続きまでを一貫して担ってくれるため、やりとりがスムーズに進みます。
さらに、築年数が古い物件や立地条件が悪い空き家など、通常の仲介では売却が難しいケースでも、「買取サービス」を活用できる場合があります。
買取であれば、不動産会社や専門業者が直接物件を買い取ってくれるため、一般の購入希望者を待つ必要がありません。
早期売却が可能になるうえ、売却後のトラブルリスクも抑えられる点がメリットです。
スピード感を求めている方や、確実に成約につなげたいと考えている方にとって、不動産会社を利用する方法は、効率的かつ現実的な選択といえます。
契約や手続きのサポートを受けたい人
手続きや契約に不安がある方にも、不動産会社を利用する方法が安心です。
物件の調査から販売価格の決定、内覧の対応、買い手との交渉、そして契約書の作成まで、すべて専門スタッフがサポートしてくれます。
法律面の相談にも応じてくれるため、売却が初めてという方でも落ち着いて進められるのが魅力です。
空き家バンクのように自分で交渉を進める必要がないため、煩雑な手続きに悩まされることもありません。
「できれば面倒なことは任せたい」「トラブルなく売却を終えたい」と考えている方にとって、不動産会社を通じた売却は、安心できる選択といえます。
買い手とのやり取りやトラブルを避けたい人
買い手とのやり取りに不安を感じている方にも、不動産会社を介した売却方法が適しています。
たとえば、内覧の調整や価格交渉、契約内容の確認など、手間のかかる作業はすべて担当者が対応してくれるため、売主が直接やり取りする場面はほとんどありません。
一方、空き家バンクでは仲介者がいないこともあり、契約手続きやトラブルへの対応を自分で行う必要がある場合があります。
特に「契約不適合責任」に関するトラブルは、損害賠償につながる可能性もあるため、注意が必要です。
その点、不動産会社であれば法律や手続きに詳しい担当者がついてくれるので、初めての売却でも安心して進められます。
売却が難しい空き家を専門業者に任せたい人
空き家の状態が悪く、一般的な不動産会社では取り扱ってもらえない場合には、空き家の買取に特化した業者に相談するという方法があります。
たとえば、築年数が古く修繕が必要な物件や、立地条件があまりよくない土地、再建築不可のような「訳あり物件」は、通常の仲介ルートではなかなか売却が難しいものです。
そういった物件でも、空き家専門の買取業者なら検討対象として扱ってくれることが多く、スムーズに手放せる可能性が高まります。
しかも、契約に伴うトラブルや売却後の責任リスクも最小限に抑えられるため、安心して話を進めやすい点も魅力です。
「とにかく早く確実に売却したい」「手続きに時間をかけられない」といった場合には、こうした専門業者への依頼を視野に入れてみるのも、一つの選択肢かもしれません。
空き家をすぐに手放したいときはアルバリンクへご相談を
空き家をすぐに手放したい方は、まずは無料査定で買取価格を調べてみましょう。
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まとめ|空き家の状況に適した方法で後悔のない選択をしよう
空き家を売却・活用するにあたっては、自分の状況に最も合った方法を選ぶことが重要です。
後悔のない選択をするためにも、それぞれの選択肢の特徴を理解しておきましょう。
たとえば、費用をできるだけ抑えながら、地域とのつながりも大切にしたい方には、空き家バンクの利用が向いています。
自治体による支援制度やマッチング機能を活用すれば、じっくりと時間をかけて活用先を探すことが可能です。
一方で、スムーズな売却を重視し、手続きの手間を軽減したい方には、不動産会社のサポートが頼りになります。
交渉や契約といった煩雑なやり取りも、専門スタッフが対応してくれるため、安心して進められる点が魅力です。
それぞれにメリットと注意点があるため、空き家の状態や活用の目的を踏まえたうえで、最適な方法を選ぶことが求められます。
空き家を単に処分するのではなく、次の価値ある活用や地域への貢献につなげていく、その意識こそが、納得のいく判断につながるはずです。
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