空き家に関する苦情と市役所からの通知の流れ
空き家に関する苦情が市役所に寄せられると、所有者への通知が段階的に行われます。最初はお願いの手紙から始まり、状況に応じて指導・勧告と進む流れが一般的です。
では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
① 市役所からのお願いの手紙
空き家に関する最初の市役所からの連絡は、「お願い」の形式で手紙が届くことが一般的です。
苦情の発生や近隣からの通報があった際に市が建物や敷地の現地調査を行い、状況を把握したうえで所有者へ送られます。
雑草や樹木の繁茂、外壁の剥がれ、建物の老朽化などに対する適正管理のお願いが記載されています。
この段階では所有者が自発的に対策を講じることが求められ、強制力はありません。
文面には、管理者の連絡先や市役所の問い合わせ先(住所、電話番号、ファクス番号)も記載されており、必要に応じて直接相談することも可能です。
市のホームページでも「空き家対策」関連の情報を確認できます。
手紙を受け取ったら、できるだけ早く現地の状況を確認し、必要に応じて草木の切除や建物の補修などを行いましょう。
② 市役所からの助言や指導
「お願い」の手紙に対して所有者が対応を行わなかった場合、次の段階として市役所から「助言」や「指導」が行われます。
「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、建築物の安全性や周辺への悪影響を調査したうえで、以下のような具体的な改善指導が提示されます。
- 竹木の越境解消
- 外壁の補修
- 敷地内の清掃
参照元:「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針
市は指導課や推進課などの関係部署と連携し、現地確認や管理状況のヒアリングを行います。
指導は原則として文書で通知されますが、電話での連絡や現地訪問が行われる場合がある点にも留意しておきましょう。
年末年始や祝日、金曜日の午後などは対応時間が限られるため、早めに相談することを推奨します。
所有者としては今後の勧告や強制措置を回避するためにも、この段階で専門家に相談し、適切な対応計画を立てましょう。
③ 市役所からの勧告
助言や指導にも従わず、空き家の状態が周辺住民や地域社会に重大な悪影響を与えている場合、市役所は「勧告」を発出します。
勧告とは法的な効力を持つ行政措置で、改善がなければ「命令」や「行政代執行」といった強制的な対応に発展する可能性があるため注意しましょう。
当段階では、すでに建物の倒壊の危険性がある、または敷地の草木が繁茂して道路や隣地に越境しているといった深刻な状況が前提です。
市役所は関係法令(民法や条例)に基づいて所有者に改善義務を課してくるため、弁護士や司法書士といった専門家の関与が必要になるケースもあります。
「行政代執行(行政による空き家の解体)」をされた場合に、解体に要した費用は所有者に請求されます。
参照元:空家等対策計画(骨子案)
対応が遅れるほど状況が悪化するため、勧告を受け取ったら速やかに市の相談窓口や弁護士に連絡を取り、改善計画を立てましょう。
④ 市役所による代執行
市役所からの勧告にもかかわらず、空き家の所有者が改善措置を取らない場合、最終手段として「代執行」が行われることがあります。
代執行とは「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、市が所有者に代わって建物の解体や草木の切除などを行う強制的な措置です。
代執行の対象となるのは、建物の倒壊や竹木の越境、外壁の剥がれなどにより、近隣や通行人に重大な危険を及ぼす状態の空家です。
代執行には多くの手続きが必要であり、事前に調査・通知・勧告・命令といった段階を踏んだうえで実施されます。
市役所の推進課や指導課が中心となり、弁護士や司法書士などの専門家とも連携しながら、法的根拠に基づいて進められます。
代執行の費用は所有者に請求されるのが原則ですが、場合によっては土地や建物に対して差押え手続きが取られることもあり注意しなければなりません。
最悪の状況を防ぐためには、通知が届いた時点で市の相談窓口へ電話やファクスで連絡を取り、適正管理に向けた対策を早急に講じることが大切です。
空き家の放置は、景観や周辺地域の安全にも影響を及ぼすため、早めに専門家に依頼しながら問題を解決すべく行動を起こしましょう。
空き家の苦情に対して市役所ができること
空き家に関する苦情が寄せられた際、市役所は一定の条件下でさまざまな対応を行うことが可能です。
代表的な対応には所有者への通知、現地調査、必要に応じた指導や勧告、最終的には代執行などがあり、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づいて実施されます。
空き家の倒壊リスクや外壁の崩落、竹木の越境、草木の繁茂などが見られる場合、近隣住民の安全や景観に悪影響を及ぼすことから市が積極的に関与してくるでしょう。
ただし、すべての空き家が市の対応対象となるわけではありません。
土地や建物の所有権、登記の状況、建築基準法に違反しているかどうかなど、法的な条件を満たす必要があります。
相談は、原則として市の相談窓口やホームページから行い、電話・ファクス・メールなどでの連絡も可能です。
問題を放置せず、早めに市役所や専門家(弁護士・司法書士)と連携して、空き家の適正管理に向けた対策に取り組んでいきましょう。
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空き家に関する苦情事例と対応方法5選
空き家に関する苦情は年々増加しており、以下の問題が近隣住民から多く寄せられています。
問題を放置すると景観の悪化や安全性の低下を招き、場合によっては市役所による調査や指導の対象になるため注意が必要です。
では、それぞれ解説します。
隣の空き家から木の枝が越境している
隣接する空き家から木の枝が自宅の敷地に越境している場合、まずはその状況を写真などで記録し、市の相談窓口へ報告することが第一歩です。
民法233条では、隣地から竹木が越境してきた際、所有者に切除を求めることができると定めています。ただし、勝手に切ることは原則できないため、市役所を通じた対応が必要です。
市役所は、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づいて現地を調査し、必要に応じて所有者に対して指導や改善の通知を行います。
空き家の所有者が分からない場合でも、登記情報などから調査される場合がある点にも留意しておきましょう。
隣の空き家の越境によるストレスや悪影響を放置せず、市の相談センターへ電話やファクスで連絡し、早めに解決を図ることが大切です。
空き家との近隣トラブル対策については、下記の記事でも詳しく解説しています。

空き家の樹木が電線に接触しそう
空き家の樹木が電線に接触しそうな状況は、非常に危険です。強風や大雨などの影響で倒木が発生し、感電や停電などの事故につながる可能性があります。
危険な状況を確認したら、まず市役所に連絡して現地調査を依頼しましょう。また、電線に直接関係する場合は電力会社への通報も必要です。
市では推進課や指導課が中心となり、危険性の高い空家について所有者への通知や勧告を実施します。
特に、外壁の破損や敷地内の草木の繁茂、建物の倒壊リスクがある場合は、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づいて対策が進められます。
被害が発生する前に市のホームページをチェックし、速やかに相談窓口へ連絡を取りましょう。
早期の対応が大きなトラブルを未然に防ぐカギです。
空き家が倒壊しそうで危険
空き家が倒壊の危険をはらんでいる場合、早急な対応が必要です。
老朽化が進んだ建物は、外壁や屋根の崩落、構造材の不全により近隣住宅や通行人に深刻な被害を及ぼす恐れがあります。
市役所は「空家等対策の推進に関する特別措置法」により、調査・指導・勧告を経て、最終的には解体などの代執行を行うことが可能です。
放置された建物は住まいとしての機能を失い、景観を損ねるだけでなく、地域全体の資産価値の低下にもつながります。
空き家の所有者や相続人は登記情報を確認のうえ、管理責任を果たす義務がある点に留意してください。建物の状況に不安がある場合は市役所に連絡を取り、現地調査や指導の依頼を行いましょう。
倒壊リスクのある空き家を放置せず、適正管理に向けた対策を早急に講じることが地域の安全を守ることにつながります。
空き家を放置するリスクや対策法に関しては、下記の記事でも詳しく解説しています。

立木等の倒木・隣地への繁茂による悪影響
空き家の敷地に放置された樹木や竹木が倒れたり、隣地へ繁茂したりすることも深刻な問題です。
強風や台風の影響で樹木が倒れ、他人の住宅や道路を損壊する可能性があり、法的責任を問われる場合もあります。
また、繁茂した草木が敷地を越境し、近隣住民の生活に悪影響を及ぼすケースにも注意です。
空き家とトラブルに関しては、原則として所有者に対策義務があります。
市役所では、草木の切除や敷地内整備を指導し、改善されない場合には勧告や命令、さらには代執行の対象とします。
対応が必要な空家かどうかの確認は、市のホームページや相談窓口で可能です。
倒木・越境によるトラブルを未然に防ぐためにも市への早期の相談と、必要に応じて専門家への依頼を行いましょう。
害獣や害虫の発生
放置された空き家は、害獣や害虫の温床になることがあります。
ネズミ、ハクビシン、ハチ、ゴキブリなどが空き家に棲みつくと近隣の住宅へも被害が及び、衛生環境の悪化を招くため注意しなければなりません。
特に夏場は繁殖が活発になり、苦情が急増する時期です。
市役所では空き家の敷地や建物内部の調査を実施し、必要に応じて所有者に対し消毒や清掃、解体などの指導を行います。
ただし、害虫駆除などは制度上、市が直接対応できない場合も。
対応してもらえない場合は、民間の専門業者や弁護士への相談も検討しましょう。
相談窓口や問い合わせ先は、各市役所のホームページでも確認できます
害獣・害虫の被害を防ぐには、空き家を「放置しない」ことが最大の対策です。被害が発生する前に適切な管理と行政への相談を行い、地域の環境を守りましょう。
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空き家を放置せず適正に維持管理する3つの方法
空き家を放置せず適正に管理することは、近隣トラブルの予防と地域の安全・景観維持に直結します。
特に、所有者が不明確なままの空家は以下のような問題が発生しやすく、苦情の対象となる点に注意しましょう。
- 倒壊や竹木の越境
- 草木の繁茂
- 不法侵入
市役所では「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、現地調査・指導・勧告を段階的に実施しています。
根本的な解決には所有者による適正管理が不可欠であり、以下のように多面的な対応が求められます。
トラブルを未然に防ぐためにも、早い段階で司法書士や弁護士などの専門家に依頼し、空き家の状態や登記状況を確認したうえで具体的な計画を立てましょう。
相続登記の義務化と対応
2024年4月1日から、相続による不動産取得の登記が義務化されました。
これにより、空き家を相続したにもかかわらず登記をせずに放置していると、10万円以下の過料が科される可能性があります。
登記をしていない空家は所有者が不明とされ、管理や対策が行われず、近隣からの苦情が発生する大きな原因になります。
相続登記を行うには戸籍や相続関係説明図の作成、必要書類の準備、法務局への手続きが必要です。
まずは、登記状況を確認し、所有者としての責任を明確にしたうえで、適正管理や利活用、解体などの具体的な対策を検討しましょう。
空き家の相続登記が義務化に関しては、下記の記事で手続き方法やリスク回避のポイントを解説しています。ぜひ参考にしてください。

空き家を利活用する方法
空き家を放置せずに利活用することは、空き家問題の根本的な対策となります。
放置された住宅が地域の景観や安全性に悪影響を与える一方で、賃貸住宅、店舗、シェアハウス、地域の支援センターなど多様な住まいや施設へと転用することが可能です。
自治体によっては、空き家活用を支援する補助金制度や相談窓口を設けています。
推進課などが中心となって所有者と地域をつなぐ取り組みも進められていますので、確認しておきましょう。
また、空き家の利活用には登記の確認、土地・建物の現地調査、建築基準法や条例への対応など、法律的なチェックも不可欠です。
まずは、市役所のホームページで制度をチェックし、問い合わせ先へ相談することが第一歩です。
空き家を「問題」から「資産」へと変えるアクションを起こしていきましょう。
なお、空き家を利活用する方法については、以下の記事でくわしく解説しています。

空き家を解体・修理・草木の手入れをする
空き家の管理で最も基本かつ効果的な対策は、定期的な手入れと必要に応じた修理・解体です。
建物が不全な状態や外壁の劣化、竹木・草木の越境、敷地の繁茂などが見られる場合は、近隣からの苦情を受けたり、市役所の指導対象となったりする可能性があります。
建物の安全性や景観への悪影響が深刻な場合、市役所が現地を調査し、改善が見られなければ勧告や命令を行います。
最終的には代執行による解体が行われるケースもあり、費用も請求されると所有者にとって大きな負担となるため注意が必要です。
空き家の状態に不安がある方は、早めに対策を計画し、必要に応じて修繕や解体、草木の切除などを実施しましょう。
空き家解体の費用については、下記の記事でも詳しく解説しています。

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空き家に関する苦情が市役所へ寄せられている場合、早急な対策が必要です。
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まとめ
本記事では、「空き家に対する苦情」と「市役所の対応の流れ」について詳しく解説しました。
ご紹介した空き家に関する苦情事例や具体的な対処法、苦情を未然に防ぐための管理方法を参考に、空き家のトラブルを防ぎましょう。
空き家を放置すると近隣に深刻な悪影響を与える可能性があるため、早めの対応が重要です。
空き家の問題でお悩みの方は、感情的なトラブルになる前に専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
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