親との価値観の違いを感じる人は85.0%
全国の男女500人に「親との価値観の違いを感じるか」を聞いたところ、「とても感じる(37.4%)」「やや感じる(47.6%)」と答えた人が合わせて85.0%にのぼりました。
「あまり感じない(11.6%)」「全く感じない(3.4%)」と答えた人は15.0%にとどまり、親との価値観の違いを感じている人が圧倒的に多いとわかります。
親と子では「バブル時代を経験した親と、就職氷河期やコロナ禍を経験した子」のように、育ってきた時代が違います。
またご家庭によっては、それぞれが育ってきた地域や「三世代同居か核家族か」といった家庭環境も違うでしょう。
性格のほか、ジェネレーションギャップや生まれ育った地域の風習なども、価値観の違いに影響していると考えられます。
親との価値観の違い1位は「働き方の柔軟性」
「親との価値観の違い」として最も多かった回答は「働き方の柔軟性(18.8%)」でした。
2位「男女の役割分担(12.4%)」、3位「結婚出産の考え方(11.2%)」が続きます。
生き方や暮らし方に直結することで価値観の違いを感じている人が多くなっています。
とくに「働き方」や「結婚・出産」「子育て(教育や進学含む)」など、人生設計やライフステージの変化に大きく関わる分野でのギャップが目立ちました。
人生にとって大きな転機や選択では、子どもは親にアドバイスを求め、親は子どもに自分の意見を伝えたくなるものです。
結果として、上記のような機会に価値観の違いが露呈することも多いと考えられます。
1位 働き方の柔軟性
- 「会社に正社員として長年勤めなければならない」という親の考え(20代 男性)
- 父世代の「とにかく仕事が大事!」という考え。家族や個人の生活を犠牲にするのはおかしいと思う(40代 女性)
- フリーランスへの偏見(50代以上 女性)
1位は「働き方の柔軟性」でした。
親世代が「安定した会社で、安定した雇用形態(正社員)で長く勤めること」だけを重視していることに違和感を感じる子ども世代もいます。
具体的には「非正規雇用の人を下に見る」「転職への拒否感がある」などです。
現在では自分らしい働き方として、フリーランス転身や転職を選ぶ人も多いため、価値観の違いが浮き彫りになりやすいとわかります。
また「在宅ワークに拒否感をもっているのは、理解できない」「仕事第一の姿勢は、どうかと思う」という子ども世代も。
アンケートからは親世代の固定観念と、プライベートも大切にできる柔軟な働き方を求める子ども世代の考え方が浮かび上がりました。
2位 男女の役割分担
- 「家事、育児は母親がするもの」という価値観です。今は父親も母親同様、家事・育児は当たり前です。しかし専業主婦が当たり前だった母親は、家事・育児は母親が担うものという考えがあるようです(30代 女性)
- 家事は女性がすべてやるべきという考え方など(40代 女性)
- 「夫が外で働き、妻が家を守る」などの考え方(50代以上 男性)
2位は「男女の役割分担」でした。
「家事や育児は女性の役割で、男性は外で働くもの」という価値観が、親世代に強く残っていることがわかりました。
男性が外で働いてお金を「稼いできてくれている」と考える親に対して、夫に対する不満をこぼした際に「それくらい我慢しなさい」と諭されてしまい、釈然としない思いを抱えた人も。
現在では共働き世帯も増えてきているため、従来通り女性だけが家事育児を負担することになると、女性側の不満は高まります。
そのため子ども世代が、「時代の変化に親の価値観がついてきていない」「親の考えは、自分たちの生活実態と合わない」と感じる結果となっています。
3位 結婚出産の考え方
- 母世代の「結婚して子どもを産むことが正義」みたいな考え(20代 男性)
- 「女性は適齢期になったら結婚して子どもを産むのが当たり前だ」という考え(30代 女性)
- 結婚を早くしてほしいという考え(40代 男性)
3位は「結婚出産の考え方」となっています。
親世代の「結婚して子どもをもつことが当たり前」という価値観に、違和感を抱いている人もいます。
もちろん子ども自身が「早く結婚して子どもをもちたいのに、ご縁がなくてできない」と悩んでいるなら、親として気遣うのは当然です。
しかし現在では自らの希望で独身や晩婚を選ぶ人や、子どもをもたない選択をする人もいます。
自分で納得して人生設計をしているのに、「早く結婚してほしい」「孫の顔を見たい」といったプレッシャーがあると、拒否感を抱くことになりかねません。
また「独身者を下に見る感覚は、嫌になる」という声もあり、多様性や個人の考えを受け入れない嫌への嫌悪につながっていることもわかりました。
4位 お金の使い方
- リスクを取ることに対してとても消極的。株式投資をやっていることに対して「損しないように」と毎回言われます(30代 女性)
- 現金払い主義(40代 女性)
- 金利が高い時期を経験しているせいか、財テクにはあまり興味がないようである(50代以上 男性)
4位は「お金の使い方」でした。
使い方や貯め方など、お金を扱う幅広いシーンで、価値観の違いが認識されていました。
現在は銀行にお金を預けても金利が低く、投資についての知識も得やすくなっていることから、「貯金より投資」という考え方をもっている人も多くなっています。
しかし貯金だけでお金が増えたおかげであまり投資に馴染みがなかった親世代は、子どもが投資をすることに対して心配して口を出してしまうこともあり、煙たがられていました。
またキャッシュレスが浸透している時代に、現金払いにこだわることも「理解できない」と思われています。
5位 子育てのスタンス
- 子育てをするうえで、私は子どもの気持ちを汲み取ってあげること最優先で向き合っているが、私の親は「ある程度親の都合に子どもを合わせさせてもいい」という価値観だったこと(30代 女性)
- 子どもがほしいといったものに対して買うか、買わないか(40代 男性)
- 子どもを1歳で保育園に預けた際に、「かわいそうだ!もう少し育児休暇を取って家にいることはできないのか」と言われ、価値観の違いを感じました(40代 女性)
「子育てのスタンス」が5位です。
日常の子育てにおいては「子どもの気持ちを最優先にしたい」と思う子世代に対し、「親の都合に合わせ、厳しく接するのも教育」と考える親世代の対比がありました。
そのため「親が決めた習い事を、嫌だったのに何年も続けさせられた」というコメントも。
より細かな具体的なことでは「抱き癖がつくので、泣いても抱っこするな」「できるだけおむつは早くとれ」と言われてしまった人もいます。
親も孫が可愛いので良かれと思って口を出してしまうのでしょうが、結果的に「いちゃもん」「古い考えを押し付けてくる」と感じられているケースもありました。
親と価値観が違うと感じたときの対応は「適当に受け流す」
親と価値観が違うと感じたときの対応1位は、4割近い人が回答した「適当に受け流す(39.8%)」でした。
2位「自分の意見を伝える(21.0%)」、3位「自分のやりたいようにやる(18.0%)」、4位「話し合う(13.4%)」が続きます。
親との価値観の違いに対しては、衝突を避けて適当に受け流す人が最も多い結果となりました。
意見をぶつけ合うよりも関係を円滑に保つことを重視している人が多い傾向が見て取れます。
一方で、自分の意見を伝えたり、自分のやりたいようにやる人も少なくありません。
価値観の違いをどう受け止めるかは、親との関係性や性格により、それぞれと言えそうです。
1位 適当に受け流す
- 親の言葉をまともに受けずに受け流してしまいます。自分が稼いだ自分のお金に関しては、親であろうと使い方に文句は言われたくないからです。また貯金はとても大事なことだと思っているので、受け流すことは正解だと信じています(20代 女性)
- 「大丈夫、大丈夫」と軽く流しています。話し合いをしたところで考え方や価値観の違いは埋まらないと思うから(30代 女性)
- 若いころは話し合うこともあったが、どうにもならないので受け流すようになった(50代以上 男性)
1位は「適当に受け流す」でした。
価値観の違いを受け流す理由としては、「話し合ったところで、どうせ溝は埋まらない」などの割り切りが多くなりました。
実際に話し合った経験があるもののうまくいかず、結果として親の意見を受け流すようになった人もいます。
親の性格にもよりますが、対立すると時間や労力がかかって、大きなストレスを感じることも。
一方「考え方が違うな」と感じてもあえて深入りせず軽く流すことで、心の平穏を保てるようになります。
2位 自分の意見を伝える
- 自分の考えを伝えたらある程度は受け入れてくれる人だとは思うので、伝えてみます(20代 女性)
- 「私はいらない」「私はそう思わない」と自分の意見をはっきり伝える。理由やなぜそう思っているのかも話し、「私はそう考えているので押し付けないでね」とのスタンスを明示する。あとは絶対に折れない(40代 女性)
- 「そういう考えもあるけど、自分はこういう考えです」のように、否定はせずに言いたいことは言う感じです(50代以上 男性)
2位は「自分の意見を伝える」でした。
自分の意見を伝えられる背景として、親なら理解してくれるだろうという信頼感が挙げられました。
自分の考えをはっきり示すことで、価値観の違いを可視化し「親子でも意見は違う」と理解してもらえます。
理解のある親であれば、一方的な価値観の押し付けも防げると期待できます。
ただ対立する構図にはならないように、伝え方に配慮している人もいました。
3位 自分のやりたいようにやる
- 話し合うことを拒むので、自分の考えを優先する(30代 男性)
- 別々の人生なので自分を優先する(40代 女性)
- 話し合ってもらちが明かないので、自分の考えを優先する(50代以上 女性)
3位は「自分のやりたいようにやる」となっています。
話し合いでの解決に限界を感じ、最終的に決めるのは自分という考えに至った人もいました。
親と折り合うことを諦め、自分の人生を優先しようと判断しているのですね。
背景には「自分の人生は自分のもの」「親に自分の人生を指図されたくない」という考えがあります。
4位 話し合う
- 今の時代を受け入れてもらうため話し合う(20代 男性)
- 話し合いが必要な問題なら話し合い、考えを擦り合わせる(40代 女性)
- 話は絶対にします。受け入れないことは多々ありますが、時間をかけます。一気に変わることはないので、徐々に受け入れてもらうように、もっていってます(40代 男性)
4位は「話し合う」でした。
今の時代に合った価値観や自分の価値観を理解してほしいという気持ちがあり、親と話し合う人もいました。
ただシチュエーションによって対応を変えている人もいて、親と話し合うのは「話し合いは必要だと感じた問題」のみだというケースも。
コメントにもあるように話し合ってもすぐに親の価値観が変わるとは限らず、話し合いには時間と労力が必要です。
5位 一旦は聞き入れる
- 親の意見をまず聞いて、自分でどう思うか考えて、相手との感じ方や考え方の違いを学ぶ。自分では思いつかなかった・考えなかった捉え方を学び、人と関わりをもつときに役立てる(20代 女性)
- 「そういう考え方もあるな」と、否定をせず一旦受け止めるようにしています(40代 男性)
- 親の話は最後まで聞く。基本は自分の考えを優先するが、役に立つ考えであれば聞き入れる。お互いの考えを尊重しているので、議論はとくにしない(40代 女性)
「一旦は聞き入れる」が5位です。
「価値観が違う意見であっても、自分では気づかなかった視点を学べるかもしれない」という柔軟さをもち、親の意見を一旦は聞いてみる人もいました。
親子で価値観が違う場合、子どもだけではなく親もストレスや疑問を感じている可能性もあります。
一旦子どもが親の意見を受け入れて理解しようとすることで、衝突も避けやすくなると考えられます。
6位 親の意見を尊重する
- こちらが折れる。話し合っても論点がズレていくだけなので(30代 女性)
- 親の好きなようにさせる(40代 男性)
- とりあえず親の考えを優先する(50代 男性)
「親の意見を尊重する」が6位になりました。
衝突によるストレスを避けるため、親の意見を尊重して、親に従う人もいます。
理由としては「話し合っても平行線になる」などが挙げられました。
あえて子どもが折れることで、衝突が起こりません。
子ども世代が不満や違和感を抱いているとしても、口論による不毛な消耗や家庭の空気が悪くなることは起こらず、表面上は関係を穏やかに保てます。
7位 何もしない
- 価値観の違いによってすれ違いがあっても、問題がなければ気にしないです(20代 男性)
- 自分の考えを言うと別のことにすり変えられてキレられるから、もう言わないようにしている(30代 女性)
- 今さら考えも変えられないと思うので、何もせずに、そのままにしておく(40代 男性)
7位は「何もしない」でした。
「意見を言っても受け入れられない」「むしろ怒られた」といった経験から、親との摩擦を避けるために黙っている子ども世代も少なくありません。
関わらないようにすれば、価値観の違いでイライラすることも減ります。
ただシチュエーションによって対応は異なり、放っておいても問題がない場合のみ何もしないという人も。
つまり親の価値観があまりに差別的だったり時代錯誤だったりして、家庭以外で摩擦を引き起こしそうな場合などは、話し合いなどの対応を取る人もいると考えられます。
まとめ
アンケート結果からは、「就職・転職」「結婚・出産」など、人生における重要な選択の場面において、親世代との価値観の違いを感じた人が多いとわかりました。
また日常生活でも、お金の使い方や子育てで違いを感じる人が多数。
些細な違いなら受け流したり無視したりもできますが、「生き方そのもの」や「暮らしの重要な選択」に違いがある場合には、自分の意見を伝えたり話し合ったりする人も多くなっています。
全体的には価値観の違いを感じたとき、親との衝突を避けながらも自分らしさを守ろうとする人が多くなりました。
自分や相手の価値観を変えるまではいかなくても、「そういう考え方もあるよね」と違いを受け入れることは重要だと考えられます。