空き家3年放置で罰金100万円は本当か?
空き家を3年放置しただけで自動的に100万円の罰金が科される制度はありません。
ただし、空き家を放置すると罰金が科されたり、強制撤去の費用を支払ったりするリスクはあります。
行政から建物の状態が悪く危険と判断されれば、「特定空き家」に指定され、改善の指導や命令を受けることがあります。命令に応じず違反となった50万円以下の罰金が科せられるのです。
参照元:特定空家に係る罰則とは?
それでも状況が改善されない場合は、強制撤去となり、その費用は所有者が負担となります。
「罰金100万円」といった極端な情報に振り回されるのではなく、空き家の制度やリスクを正しく理解することが重要です。
なお、特定空き家の定義や指定されるリスクについては、以下の記事でくわしく解説しています。

空家等対策特別措置法の概要
空家等対策特別措置法とは、放置された空き家による危険やトラブルを防ぐために、2015年に施行された法律です。
老朽化した建物の倒壊、景観の悪化、衛生環境の悪化などを防ぎ、住民の安全と地域の生活環境を守ることを目的としています。
実際、日本の空き家は2023年時点で849万戸を超えており、増え続けているのです。
空家等対策特別措置法は、空き家の所有者に適切な管理をしてもらうためにできた法律です。
空き家の定義と対象となる物件
空き家とは、基本的に年間を通して誰も居住・使用していない住宅を指します。
参照元:国土交通省
住宅用に建てられた建物が対象で、賃貸での使用予定や売却予定がなく、放置されている物件は注意が必要です。
こうした物件は、市区町村の調査により「空き家」と認定され、改善指導や命令を受ける対象となります。
「管理不全空き家」と「特定空き家」
空き家が「管理不全空き家」や「特定空き家」に指定されると、行政からより厳しい対応を受ける可能性があります。
管理不全空き家とは、適切に管理されておらず、今後放置すると特定空き家になるおそれがある空き家です。
特定空き家とは、倒壊の危険や衛生・景観の悪化などがあり、周囲に悪影響を及ぼしていると判断された空き家です。
空き家が「管理不全空き家」や「特定空き家」に指定されると、自治体から改善の指導や命令を受け、従わない場合は解体などの行政代執行が行われます。
参照元:政府広報オンライン
「助言・指導」から「行政代執行」までのステップ
空家等対策特別措置法では、問題のある空き家に対し、段階的に法的手続きが進められる仕組みが定められています。
行政代執行までの流れは、以下のとおりです。
- 助言・指導:まずは改善を促すアドバイスや注意喚起
- 勧告:改善が見られない場合、正式な「勧告」を行う
- 命令:勧告にも従わない場合、「命令」に進展
- 行政代執行:命令に違反した場合、行政が強制的に除却・修繕を行い、費用を所有者に請求
行政代執行により撤去作業などが行われると、数十万〜数百万円の費用負担が発生する可能性があります。
実際に2024年4月、三重県伊賀市は倒壊の危険が迫った空き家に対して「緊急代執行」を実施しました。
参照元:倒壊危険迫る空き家 撤去へ「緊急代執行」 伊賀市では初|朝日新聞
行政代執行を避けるためには、助言・指導の段階で早めに対応することが大切です。
罰則の具体的内容:50万円以下の罰金と行政措置
空き家を放置し続け、行政の命令に違反した場合、50万円以下の過料が科される可能性があります。これは前科が付く刑罰ではなく、行政上のペナルティです。
命令に従わないと自治体が所有者に代わりに解体などを行う「行政代執行」が行われ、その費用は所有者に請求されます。
正しい理解は「3年放置で100万円の罰金」ではなく、「命令違反で最大50万円の過料があり、さらに解体費用も請求されることがある」というものです。
空き家を3年以上放置することで発生する9つのリスク
空き家を3年以上放置すると、さまざまなリスクが発生する可能性があります。
具体的には以下9つのリスクがあります。
建物が劣化し、倒壊や外壁落下の危険が高まる
空き家を3年以上放置すると、建物が劣化し、倒壊や外壁が落下する危険が高まります。
そうなると、近隣住民や通行人に被害を与えるおそれがあります。
倒壊などにより人的・物的被害が出た場合は、所有者の責任を問われ、損害賠償を請求される可能性もあるのです。
空き家の放置は、老朽化を早め、さまざまな被害をもたらす恐れがあるため、定期的な点検が必要です。
ねずみ・害虫の繁殖で衛生状態が悪化する
空き家を長期間放置すると、ねずみやゴキブリ、シロアリなどが繁殖しり、周囲の衛生環境を悪化させる恐れがあります。
国土交通省の「空き家を放置するリスク」でも、空き家の害虫被害は近隣住民への健康被害や精神的ストレスの原因とされています。
実際に被害が出れば、所有者に苦情が寄せられたり、損害賠償を求められたりする可能性もあるのです。
空き家の管理を怠ると、衛生面の問題だけでなく、法的責任や金銭的な負担にもつながります。
景観の悪化により地域全体のイメージが損なわれる
空き家を放置すると、景観が悪化し、地域全体のイメージが損なわれる恐れがあります。
建物の劣化により、外観が崩れるだけでなく、雑草や害虫、ゴミの不法投棄によって、周辺の治安が悪化するからです。
実際に、国交省が発表した「住生活基本計画」では、空き家が地域のイメージや居住環境に影響を与えるとされています。
住民間のトラブルを生んだり、街づくりにも悪影響を与えたりと、所有者だけの問題ではなくなってしまうのです。
そのため、建物の外観や敷地内を清潔に管理する必要があります。
糞尿・腐敗による悪臭が発生する可能性がある
空き家を放置すると、動物の糞尿や腐敗物によって悪臭が発生する可能性があります。
実際に、環境省の調査でも、悪臭による生活被害の訴えは年々増加しており、その多くが空き家が原因であるとされています。
参照:悪臭防止法施行状況調査(悪臭苦情の統計データ)|環境省
周囲とのトラブルや訴訟に発展する恐れもあり、所有者が損害賠償を請求されるケースもあるのです。
空き家を管理する際は内部だけでなく、外部からの動物侵入防止や、ゴミの適切な処理も定期的に行う必要があります。
不法侵入や放火などの犯罪につながることがある
空き家を放置すると、不法侵入や放火など、犯罪に利用される恐れがあります。
空き家は「人の気配がない」と認識されやすく、放火や不法侵入といった犯罪の標的になりやすいためです。
事件が起きた場合には、所有者が管理責任を問われる可能性もあります。
実際、2024年5月には長崎県島原市で、空き家を含む2棟が全焼する火災が発生しました。
この空き家では前月にも内部が焼ける火事があり、警察は連続不審火の可能性もあるとみて捜査を進めています。
参照元:島原市で空き家と納屋が全焼…先月にも同じ空き家で火事|ncc
こうしたリスクを避けるためにも、空き家には以下のような防犯対策が必要です。
- 施錠
- センサーの設置
- 地域パトロールの強化
日常的な管理が防犯対策になります。
隣家への枝木の越境がトラブルの原因になる
空き家を放置すると、庭木が伸びて隣家の敷地に枝が越境し、近隣トラブルの原因となることがあります。
これは所有者の管理責任となっており、民法第233条では「竹木の枝の切除および根の切取り」に関するルールが定められています。
枝が越境した場合、原則として所有者が自ら切除に対応する義務があります。
放置すれば訴訟や行政指導に発展する可能性もあるため注意が必要です。
特に空き家の場合は、所有者が気づかずに放置されやすく、知らないうちに近隣との関係を悪化させてしまうこともあります。
そのため、空き家の敷地内の木や草の定期的な手入れは、地域との良好な関係を維持するための最低限の配慮とも言えるでしょう。
管理コストがかさみ、経済的負担が増える
空き家の維持には一定の管理コストがかかり、放置すれば経済的な負担が継続します。
所有している限り、税金や管理費用などの支出は毎年発生します。
放置しても費用がゼロになるわけではなく、突発的な出費を招くケースもあるため注意が必要です。
例えば、空き家の年間維持費には以下のような項目があります。
- 固定資産税・都市計画税:年間10〜15万円(地域や評価額により異なる)
- 草刈り・清掃・防犯管理など:年間5〜10万円程度
- 害虫駆除や老朽化による修繕:必要に応じて数万円〜数十万円
さらに、建物が「特定空家等」に指定されると、固定資産税の軽減特例が解除され、税額が最大6倍に跳ね上がるため、注意が必要です。
空き家を所有しているだけでも、年間の維持費用や突発的な修繕費が継続的にかかるのです。
資産価値が下がり、売却が困難になる
空き家を放置すると、資産価値が下がり、売却が難しくなる可能性があります。
適切な管理が行われないまま長期間放置された住宅は、建物の劣化が進みやすいからです。
例えば、以下のような状態が進行すると、建物の状態が悪化し、価値が下がる原因になります。
- 湿気によるカビ・腐食
- 害虫や害獣の発生による衛生状態の悪化
- 外壁・屋根の傷みや破損による見た目の劣化
- ゴミや雑草の放置による景観悪化
上記のような状態になる前に、空き家の状態を見極めたうえで、売却・リフォーム・解体などの選択肢を具体的に検討しましょう。
早期に行動することで、資産価値の目減りを防げるだけではなく、無駄な維持費や突発的な修繕コストの負担も回避しやすくなります。
行政代執行による強制対応で費用を請求される
空き家が特定空家等に指定された後も改善されない場合、最終的に行政代執行により強制解体が行われ、その費用が所有者に請求されます。
例えば、行政代執行により解体された空き家は全国で100件以上に上り、1件あたりの費用は平均で200万円以上にのぼります。
参照:【建設時評】増加する空き家|一般社団法人建物物価調査会
この費用は事前通告のうえ請求され、支払い義務を回避することはできません。
しかも、この間の対応に要する時間や手続きも所有者にとって大きな負担となります。
だからこそ、勧告や命令の段階で対応を済ませ、強制措置に至らないよう、早期の対応と専門家との連携が不可欠です。
空き家を放置しないための3つの対策
空き家の放置は、倒壊・火災・害虫被害・犯罪・資産価値の低下など、多くのリスクがあります。
こうした問題を防ぐためには、空き家を適切に活用することが大切です。
空き家を放置しないための対策は以下の3つです。
売却する
空き家を放置しないための対策の一つ目は、売却することです。
空き家を売却すれば固定資産税や管理費の負担をなくすことができます。
相続した空き家を売る場合は、「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」が使えるケースもあり、税負担を抑えられる可能性があります。
空き家を管理できず、放置してしまっている場合は、不動産会社や専門家に査定を依頼し、今の価値を確認したうえで売却を検討してみましょう。
賃貸に出す
空き家を放置しないためには、賃貸に出すという方法もあります。
貸し出せば家賃収入を得られるうえ、人が住むことで建物の傷みも進みにくくなります。
ただし、築年数が古い空き家は、耐震性や設備、衛生面の改善が必要になることがあり、最初に費用がかかる点には注意が必要です。
賃貸に出す場合は、空き家管理会社や賃貸管理会社に依頼すれば、修繕の相談、入居者募集、契約、入居後の対応まで任せられます。
自分で管理するのが難しい場合でも、専門会社を使えば賃貸活用を進めやすくなるでしょう。
自分で住む
3つ目の方法は自分で住むことです。
相続した実家や郊外の住宅など、空き家として定期的に管理していくことは大変ですが、自分で住んでしまえば、生活しながら家の価値を維持することができます。
また、将来的に老後の住まいとして活用する選択肢としてもあります。
リフォームや修繕が必要な場合もあるため、空き家の状態を確認し、必要に応じて専門業者に修繕等を依頼しましょう。
放置した空き家を売却する場合は専門業者へ無料査定がおすすめ
放置した空き家を売却したいと考えているなら、空き家買取に強い専門業者に無料査定を依頼するのがおすすめです。
空き家は、放置すると劣化や老朽化が進みやすくなり、資産価値が下がってしまいます。
そのため早めの対策が重要です。
無料査定サービスを利用すれば、費用をかけずに売却可能額の目安や活用方法のアドバイスを受けられます。
相続や登記の手続きのサポートをしてくれる業者も多くあり、司法書士や弁護士と連携したワンストップ対応も可能です。
空き家を放置したままにせず、早めに専門家へ相談することで、空き家を価値ある財産として再活用し、無駄な固定費やリスクを回避することができるのです。
まずは無料査定で空き家の価値を確認してみましょう。
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まとめ
「空き家を3年放置すると罰金100万円」という情報は誤りです。
空家等対策特別措置法に基づき「特定空き家」に指定された場合、50万円以下の罰金や行政代執行の費用を請求される可能性がある、というのが正しい理解になります。
空き家を放置すると、倒壊・火災・害虫被害・犯罪・資産価値の低下などにつながります。
このようなリスクをなくすためには、以下の対策が必要です。
- 売却する
- 賃貸に出す
- 自分で住む
放置期間が長いほど資産価値が下がり、管理コストも増えるため、空き家の管理ができずお困りの方は、専門業者の無料査定から始めることをおすすめします。
長期間放置してしまった物件でも、高額買取してもらえる可能性があるため、査定だけでも早めに依頼しておくと安心です。
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