上京して気付いた地元の良さ1位は「人が少ない」
東京で仕事または居住している地方出身者221人に聞いた「上京して気付いた地元の良さ」の圧倒的1位は「人が少ない(31.7%)」でした。
2位「物価が安い(18.1%)」、3位「自然が豊か(15.4%)」が続きます。
地方の良さとして、ゆとり・自然環境・費用面のメリット挙げた人が多くなりました。
1位 人が少ない
- 人が少なくて、渋滞がない(20代 女性 千葉県九十九里町)
- 人が少ない。待つこともあまりなく、買い物もスムーズに行える。人混みが苦手な自分としては、良いところです(30代 女性 広島県)
- 東京は道路が狭いし人が多すぎるので疲れるが、地元は道路が広く、夜になると人が誰もいなくなる(40代 男性 北海道札幌市)
1位は「人が少ない」でした。
地方では、人の少なさが日常生活の快適さに直結しています。
人が少ないと渋滞が少なくなり、店舗もあまり混雑しません。
買い物や移動がスムーズにできることで、ストレスが少なくなります。
とくに人混みが苦手で疲れてしまう人にとっては、大きなメリットと言えます。
2位 物価が安い
- 駐車場代や家賃などの固定費が安い(20代 女性 愛知県豊橋市)
- スーパーの野菜・お肉が新鮮で安かった(30代 女性 福岡県福岡市)
- 東京は物価が高いです(40代 男性 富山県富山市)
2位は「物価が安い」でした。
東京における生活コストの高さを実感すると、「地元は安かったな」と感じやすくなります。
例えば地方は地価が安いため、賃貸物件の家賃や月極駐車場の料金は安め。
地方出身者が東京で賃貸を探し、家賃の高さと部屋の狭さに驚愕するのは、よく聞く体験談でもあります。
食材も、地方では新鮮で安価な場合が多いとわかりました。
車の維持費がかかるなど地方ならではの出費もあるのですが、「地方のほうが安かった」と感じている人は多くなっています。
3位 自然が豊か
- 少し車を走らせれば海や山に行けたので、休日のリフレッシュがしやすかったと改めて感じます(30代 男性 福岡県)
- 地元は東京と比べて草木が豊かで、野鳥の姿も多く見られ、散歩をするだけで心が和んで癒されます(40代 女性 埼玉県)
- 自然に癒されていた(50代以上 男性 新潟県村上市)
3位は「自然が豊か」でした。
ビルに囲まれた東京で生活すると、「地元は自然が豊かだったな」「自然が近いところにあったな」と感じやすくなります。
東京で暮らしてみて、改めて地元に自然に癒されていたことに気づく人も。
自然が遠くなることで、ありがたさに気づくのですね。
山・海・川・湖・森林など、思い入れのある場所は出身地によりさまざまです。
4位 空気がきれい
- 空気がきれいで過ごしやすい(20代 女性 北海道札幌市)
- 地元の空気が透き通ってるなと思う(30代 女性 茨城県筑西市)
- 空気が綺麗で、夜空に星が見えること(40代 男性 茨城県)
4位は「空気がきれい」でした。
空気のきれいさは、自然環境の豊かさや人の少なさなどに起因します。
また高い建物が少ない地方では、遠くまで見渡せて空も見えやすいので、すがすがしい気分になり、空気がよりきれいに感じられる効果も。
空気が澄んでいると星もきれいに見えやすく、リラックスやリフレッシュになります。
5位 食べ物がおいしい
- 食べ物が新鮮でおいしい(20代 女性 岩手県)
- 海産物が気軽に手に入るため、いつでも新鮮でおいしい魚や貝を食べられた(30代 女性 大分県佐伯市)
- 海の幸がとても新鮮です(50代以上 男性 徳島県徳島市)
5位には「食べ物がおいしい」が入りました。
東京のスーパーで買い物をしたりレストランで食事をしたりして、地元で食べていた食材がいかに新鮮でおいしかったかを実感した人も。
海産物や農産物の産地に近い場所では、食材が新鮮な状態で手に入るので、味の違いが顕著に現れます。
6位 電車が空いている
- 朝の通勤時間帯でも、電車が空いている(30代 男性 茨城県高萩市)
- 毎朝通勤時に満員電車に乗らなくても良かったので、東京に来てつくづく地元の良さを実感しました(40代 男性 秋田県由利本荘市)
- 息が苦しくなるほどの満員電車に乗ることはない(50代以上 女性 兵庫県西宮市)
6位は「電車が空いている」でした。
地方では人口が少なく、車通勤する人も多いことから、路線によっては通勤時間帯でも電車で座れることがあります。
もちろん地方では電車の本数が少ないぶん、1本の電車に乗客が集中して混むこともあります。
しかし、満員電車であっても東京ほどは苦しくなかったと感じる人も。
息苦しいほどの混雑を毎日強いられる東京と違って、移動におけるストレスが精神的にも肉体的にも少ない状態です。
7位 のんびりしている
- 東京は人も多くてせかせかしてるけど、秋田はゆったりしてて落ち着く(30代 女性 秋田県秋田市)
- 東京より街の雰囲気がのんびりしている気がして、落ち着きます(40代 女性 京都府京都市)
- 時間の進み方がゆっくりだと感じました。ほのぼのとした空間で気持ちよく過ごせていることが、東京に来てよくわかりました(50代以上 男性 群馬県沼田市)
7位は「のんびりしている」です。
東京のせかせかしたスピード感に比べて、地方はのんびりしていたと感じている人もいます。
のんびりしていることで、時間や心に余裕をもてるメリットがあります。
東京のスピード感にも「刺激的」「常に最新の情報に触れられる」というメリットはありますが、合う合わないがありますし、常に急いでいると疲れてしまうことも。
都会のスピード感によって心身を消耗してしまう人にとっては、地方ののんびり感はメリットになります。
上京して気付いた地元の当たり前とのギャップは「近所付き合いが盛ん」
上京して気付いた「地元の当たり前とのギャップ」を聞いたところ、1位は「近所付き合いが盛ん(24.9%)」でした。
2位には「車移動が普通(11.3%)」、3位には「夜はお店が閉まる(9.0%)」がランクインしています。
人とのつながりや生活スタイルにギャップを感じた人が多いとわかります。
1位 近所付き合いが盛ん
- 地元では学校帰りには近所の人に「ただいま」と挨拶することもあったが、東京に来たらあまり話すことがない。引っ越し挨拶もしない。「あまり他人に興味ないんだな」と感じた(20代 女性 静岡県浜松市)
- 近所の人との挨拶です。近所の人というか地域全体が家族のような感じで、顔を合わせると挨拶するのが当たり前でした。東京に来てからは、隣の部屋の人とも、引っ越しのときに挨拶しただけです(40代 男性 和歌山県和歌山市)
- 顔見知りの人と会ったときは、挨拶と簡単な世間話をすることです(50代以上 女性 愛知県稲沢市)
1位は「近所付き合いが盛ん」でした。
東京に来て、「道で近所の人と会っても挨拶もしない」「そもそも近所の人の顔を知らない」という環境に驚いた人も多くなっています。
地方では「地域のみんなが顔なじみ」「すれ違ったら当たり前に挨拶」というエリアも少なくないからです。
密な人間関係を嫌がる人もいるため、近所付き合いの多さにはメリットだけでなくデメリットもあります。
ただ、つながりの濃さが違うという点は、多くの地方出身者が感じるギャップだとわかりました。
2位 車移動が普通
- 生活に車が必須(20代 男性 北海道滝川市)
- 「車がひとり1台あること」です。地元ではどこへ行くにも車が基本で、一家に1台ではなく、家族それぞれが自分の車を持っているのが普通でした(30代 男性 福岡県)
- 地元は車社会なので、両親ともに車の運転ができるが、東京では車を運転しない・できない人も多いこと(40代 女性 静岡県湖西市)
2位は「車移動が普通」でした。
地方では公共交通機関が少ないため、買い物や通院など日常生活のほとんどを車移動で行う人も多くいます。
「一家に1台」ではなく「ひとりに1台」が当たり前の地域もあるほどです。
一方東京では電車やバスなどの公共交通機関が発達しており、車を持たない人はもちろん、車を運転できない人もいます。
車に乗れなくても生活できることは、地方出身者にとっては大きな驚きになります。
3位 夜はお店が閉まる
- コンビニでも夜10時には閉まる(20代 女性 千葉県九十九里町)
- スーパーが20時に閉まる。繁華街は22時には閉まる(30代 男性 岐阜県高山市)
- 深夜営業しているお店はコンビニだけだと思っていました。そのため東京ではガソリンスタンドやディスカウントストアなども深夜まで営業していることが当たり前なのに驚きました(40代 男性 山梨県富士吉田市)
3位は「夜はお店が閉まる」でした。
地方では、コンビニすら夜間帯は営業していないことがあります。
「深夜帯の来店客が少ない」「人が少ないので深夜帯に働くスタッフを確保できない」などが、考えられる理由です。
一方東京ではコンビニは24時間営業が当たり前ですし、スーパーやドラッグストアでも24時間営業を売りにしていることがあります。
「買い物は日中に終わらせる」「夜はお店がどこも開いていない」という生活が当たり前だった人は、東京のお店が深夜まで営業していることを、驚きをもって受け止めていました。
4位 駐車場は基本的に無料
- コンビニやお店には大きい駐車場があること(20代 男性 長野県)
- スーパーでは基本車も駐車代がかからなかったので、衝撃でした(30代 女性 京都府相楽郡)
- アパートに駐車場がセットで、無料(40代 女性 茨城県)
4位は「駐車場は基本的に無料」でした。
地方では土地が広く、車社会でもあるため、スーパー・コンビニやドラッグストアなどの店舗には、たいてい無料の駐車場がついています。
そのため利用者には、店舗の駐車場で駐車代を払うという意識がありません。
賃貸物件でも、車所有者の入居が前提になっているためか、駐車場の契約・料金が、部屋の契約・家賃とセットになっていることがあります。
東京で駐車場にお金がかかることを知り、「スーパーの駐車場にお金がかかるなんて」と驚いた人も多くなりました。
5位 電車の本数が少ない
- 電車が1時間に1本(30代 男性 茨城県)
- 地元では1時間に2~3本が当たり前だったのに、東京では数分おきに電車が来ることにまず驚きました(30代 女性 福島県いわき市)
- 電車を30分待つこと(40代 男性 埼玉県)
5位には「電車の本数が少ない」が入りました。
乗降客数の少ない地方の路線では、電車の本数が1時間に1本なども少なくありません。
電車の本数が少ないので、乗り継ぎにかかる時間も長くなりがちで、電車を待つことが当然だと考えていた人もいました。
一方東京の都心部では、数分に1本など過密とも言えるほどの頻度で電車が発着しています。
そのため「地方にいたときは時刻表を見て電車の時間に合わせるのが当然だったけど、東京に来たら見なくても大丈夫」というコメントもありました。
なお電車については「路線が多くてびっくりした」「駅の改札や出口が多すぎて迷った」などの体験談も寄せられています。
同率5位 食材をもらえる
- 「食品をもらう」という、田舎では当たり前のことがない(30代 男性 広島県福山市)
- 野菜は近所の人たちや祖父母が畑で育てたものをもらって生活していたので、スーパーで野菜を買うことが衝撃でした(30代 女性 群馬県藤岡市)
- 地元ではお米は作ってもらっていたので、買ったことがありませんでした。東京に来て、「そうか、お米も買うのか」と思いました(40代 女性 茨城県常総市)
「食材をもらえる」が同率5位でした。
地方では、隣人と収穫物を分け合ったり、家族が作った野菜をもらったりするのが当たり前の光景だとわかりました。
農業が盛んであることや、密な人間関係があるからこその文化だと言えます。
「漁師町で、海藻や魚介をもらう機会が多かった」という人もいて、海に近いエリアでも同じようなおすそ分け文化があるとわかりました。
おすそ分けや物々交換が盛んな地方から上京したため、野菜や米を買うという行動に衝撃を受けたという人も多くなっています。
7位 地元独自の食文化
- 醤油が甘いこと。肉まんにタレが付くこと(20代 女性 宮崎県日向市)
- 徳島県民のソウルフードであるすだちが、高級食材並みの値段(40代 男性 徳島県)
- 福岡で当たり前に売っている食品が、売っていない。醤油が辛い(50代以上 男性 福岡県)
7位は「地元独自の食文化」です。
東京に出てから、当たり前だと思っていた食文化が実は地元ならではだったと気づいて、びっくりした人もいました。
気づいたきっかけとしては、「地元のスーパーなら当然売っている食材が、東京のスーパーにはない」「あるにはあるが、地元よりも高い値段で売られている」などが挙がっています。
なお九州では甘い醤油が一般的なので、九州出身者からは醤油の味が違うことに驚いたという声も。
当たり前じゃなかったんだと感じるとともに、地元の味を懐かしく思う人も多いのではないでしょうか。
地元に戻りたいと思うことがある人は63.8%
東京で仕事または居住している地方出身者221人に「地元に戻りたい(Uターンしたい)と思うことがあるか」と聞いたところ、「よくある(24.0%)」「たまにある(39.8%)」が合わせて63.8%となりました。
半数を超える人が、Uターンしたいと考えることがあるとわかりました。
地元を離れて東京に出たことで、地元の良さをより感じる人も多いことがうかがえます。
まとめ
アンケートから、地方での暮らしには「人の少なさ」「物価の安さ」「自然の近さ」など、日常の中に多くのメリットがあることがわかりました。
反対に言うと、地方出身者は東京の「人の多さ」「物価の高さ」「自然を感じられないこと」に疲れたり不満をもったりしやすいと考えられます。
とくに満員電車や通勤時の人混みには辟易している人が多くなりました。
なお地方出身者が感じやすいギャップとしては「近所付き合い」が挙げられ、東京での人付き合いの希薄さが浮き彫りになっています。
「人付き合いがないと楽」「刺激的」など、東京で暮らすメリットもありますが、東京で暮らしてみて地元に帰りたいと思っている人も多くなりました。