空き家の無料貸し出しを行う方法と各メリット・デメリット
使われていない空き家を無償で人に貸し出すことは、活用手段のひとつとして注目されています。
しかしその方法には複数の選択肢があり、それぞれに異なる特徴や長所・短所があります。
この章では、代表的な2つの方法についてご紹介します。
これらの選択肢を理解することで、ご自身の状況や目的に合った方法を選びやすくなります。
使用貸借契約で身内や知人に無料で貸す方法
「使用貸借契約」とは、民法第593条で定められた、物を無償で使用させる契約のことです。
空き家を親しい家族や友人に貸し出す場合によく使われる形式で、金銭の授受は発生しません。
契約は口頭でも成立しますが、後々の誤解やトラブルを避けるためにも、使用目的や管理範囲、契約期間などをきちんと書面にまとめておくのが望ましいです。
たとえば「貸したつもりが譲ったと思われた」「修理費をどちらが払うかで揉めた」といった話は珍しくありません。
信頼関係に基づく貸し出しであっても、曖昧なままにしておくと後悔するケースがあるため、丁寧な確認と準備が欠かせません。
身内や知人に無料で貸すメリット
身近な人に家を使ってもらうことには、いくつもの安心材料があります。
たとえば、顔見知りであれば生活状況も把握しやすく、何かあったときにも連絡が取りやすいという利点があります。
また、借主とのやり取りが円滑に進みやすいため、煩雑な手続きや交渉の負担が少なく済む点も魅力です。
さらに、家が使用されることで換気や通水が行われ、建物の老朽化を防ぐ効果も期待できます。
管理の一部を借主が引き受けてくれる場合は、維持費や手間が大きく軽減されるでしょう。
「誰かに使ってもらえている」という精神的な安心感も得られます。
身内や知人に無料で貸すデメリット
親しい間柄であっても、契約の内容が曖昧なままだと後々の摩擦の原因になることがあります。
たとえば、修繕費の負担や敷地の利用方法などをめぐって、思わぬ行き違いが生じる可能性があります。
「勝手に庭を改造されてしまった」「ゴミの管理がされず近隣から苦情が来た」など、好意で始めた貸し出しがストレスにつながるケースもあります。
また、貸し出している状態が相続時の評価に影響することもあるため、登記や税務上の扱いにも注意が必要です。
加えて、所有者が家を返してほしいと考えたとしても、借りた身内や知人に返却の意思がなければ、立ち退きを求めることが難しくなる可能性があります。
参照元:秋山法律事務所
事前に専門家へ相談しておくと、安心して貸し出せる環境を整えられます。
空き家バンクを介して無料で貸す方法
空き家バンクとは、自治体が中心となって運営している空き家マッチング制度のことです。
所有者と借主をつなぐ公的な仕組みで、登録した物件を専用サイトや窓口を通じて紹介してもらえます。
様々な自治体が空き家バンクを実施しており、地域によっては「無料貸し」も受け入れています。
参照元:ふるさと回帰・移住交流推進機構
物件の登録には、調査や書類提出が必要となることが多く、条件を満たさないと登録できないケースもあります。
また、契約の際にテンプレートを提供してくれる自治体もあり、貸主が契約書の作成に不安を感じることなく手続きを進められる点も魅力です。
空き家バンクを介して無料で貸すメリット
空き家バンクに物件を登録すれば、費用をかけずに空き家を紹介してもらえるのが大きな利点です。
登録は誰でも可能で、築年数や資産価値に関係なく掲載できるため、「古くて価値がなさそう」と感じている家でも問題ありません。
さらに、空き家バンクは各自治体が管理しているため、信頼性が高く、初めての方でも安心して利用できます。
また、地域によっては、空き家バンクへの登録を条件に、リフォーム費用や家財の整理などに使える補助金を提供しているケースもあります。
栃木市では、空き家を貸したい・売りたい方が市に登録することで、物件情報を市ホームページに掲載し、利用希望者に紹介する「空き家バンク」制度を実施しています。
そしてこの制度の利用促進を目的に、リフォームや家財処分にかかる費用の一部を支援する「空き家バンクリフォーム補助」も用意されています。
以下に補助金の内容を表にまとめました。
補助対象 | 条件 | 補助率 | 上限額 |
---|---|---|---|
リフォーム工事 | 市内業者実施・20万円以上 | 1/2 | 50万円 |
家財処分 | 市内業者実施・5万円以上 | 1/2 | 10万円 |
「誰かに無償で使ってもらえたら」と考えている空き家オーナーにとって、手間も費用もかからず、行政のサポートを受けながら空き家活用ができるのは大きな魅力です。
空き家バンクを介して無料で貸すデメリット
空き家バンクは、自治体が運営する安心感のある制度ですが、利用にはいくつか注意点もあります。
たとえば、契約の内容調整やトラブル対応は基本的にオーナー自身が行う必要があり、専門知識がない場合は思わぬトラブルにつながる可能性があります。
万が一トラブルが起きた場合でも自治体が仲裁してくれるわけではなく、貸主と借主の話し合いで解決する必要があります。
さらに、空き家バンクは積極的な広告活動を行っていないため、掲載してもすぐに借り手が見つかるとは限りません。
急いで貸したい場合は、他の方法もあわせて考えてみるとよいでしょう。
空き家を個人で貸すメリットやデメリットについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

空き家の無料貸し出しを行う際の2つの注意点
無償で空き家を貸すことは社会的にも意義のある取り組みですが、安易に進めてしまうと想定外のトラブルに発展する恐れもあります。
事前に押さえておくべきポイントを理解しておくことで、貸主・借主ともに安心して関係を築くことができます。
この章では、注意しておきたい点を以下の観点から解説します。
これらの点をしっかりと抑えておくことで、「貸したあとに後悔しない」貸し出しが実現できます。
家の維持管理責任を明確にしておく
空き家を貸す際にまず確認しておくべきなのが、「管理は誰が行うのか」という点です。
賃貸契約の場合、建物の修繕義務は賃貸人である物件オーナーが負うと定められています。
参照元:民法 第五百九十三条-第六百条|e-Gov法令検索
しかし、無料で貸す使用貸借の場合は、そういった決まりがないため、誰が修繕するかあらかじめ明確にする必要があるのです。
借主との間で明確な役割分担を定めておかないと、管理の放置やトラブルの温床になりかねません。
以下は、実際に取り決めておくべき管理項目の一例です。
管理項目 | 取り決めの内容(例) |
---|---|
建物の修理・改修 | 借主が原因で発生した損傷は借主負担とする。経年劣化の場合は貸主負担など明確にしておく。 |
屋内の清掃・換気 | 借主の日常的な責任範囲として明記し、放置によるカビ・悪臭の発生を防ぐ。 |
草刈り・庭木の剪定 | 外観や近隣景観への影響を考慮し、借主が最低限の手入れを行うよう定めておく。 |
設備(電気・水道等)使用 | 使用する場合は基本料金の負担者を明確にし、未使用の場合は停止申請をしておく。 |
災害・事故への対応 | 緊急時の連絡体制や保険加入の有無をあらかじめ協議しておくと対応がスムーズ。 |
このような内容を契約書や覚書などで明文化することで、「思い違い」や「責任のなすり合い」を避けることができます。
特に年齢を重ねて体力に不安がある方にとっては、後から管理の不備を指摘されたり、遠方まで対応を求められるような事態は避けたいところです。
だからこそ、事前の取り決めが大きな安心材料となります。
近隣トラブルに発展しないようにルールを決める
借主の行動が原因で近所との関係にひびが入ってしまうことは、空き家の貸主にとって避けたいリスクのひとつです。
特に「騒音」「ゴミ出し」「路上駐車」など、日常のマナーに関するトラブルは起きやすく、放置すると信頼を損なうことになりかねません。
そのため、貸し出しに際しては、あらかじめ「生活ルール」を決めておくことが重要です。
以下は、その一例です。
- 地域のゴミ出しルール(曜日・分別)を厳守すること
- 大音量での音楽や深夜の会話を控えること
- 駐車場のない家では路上駐車をしないこと
- 敷地の美観維持に努めること(洗濯物の干し方、物置きの設置など)
- 近隣とのトラブルがあった場合は必ず貸主に報告すること
また、可能であれば近所の方への挨拶を借主に促したり、自治会の存在を伝えておくと、地域との関係が良好に保たれやすくなります。
こうした取り決めは一見細かいように見えますが、貸主が不在であることが多い無料貸し出しにおいては、信頼を築く大切な下地となります。
空き家の無料貸し出しを行う以外の3つの活用法
「誰かに使ってもらえればいい」と思って始めた空き家の無料貸し出しですが、状況によってはほかの活用方法の方が現実的な場合もあります。
家の状態や生活環境、自分の体力や家族構成などによって、ベストな選択肢は変わってきます。
この章では、無料で貸す以外の選択肢として、以下の3つの活用方法をご紹介します。
それぞれの特徴や注意点を比較しながら、自分にとって無理のない現実的な選択を考えるきっかけにしてみてください。
リフォームして有償賃貸にする
空き家を収益物件として活用したい場合、有償で貸し出すことも選択肢のひとつです。
ただし、古い家の場合はそのままでは貸し出せないケースも多く、ある程度のリフォームが必要になることが一般的です。
以下は、代表的なリフォーム項目と費用の目安です。
リフォーム内容 | 概算費用 | 補足事項 |
---|---|---|
屋根・外壁の修繕 | 50万~120万円 | 雨漏りや外観の劣化を防ぐための対策 |
水回り設備の入れ替え | 20万〜100万円程度 | トイレ・浴室・キッチンなどを現代仕様に変更 |
内装の改装(床・壁など) | 15万~60万円(畳→フローリング) 6万~30万円(クロス貼り替え) |
クロス張替えや畳の交換など、印象を一新する工事 |
住宅設備(オール電化等) | 100万〜200万円程度 | 老朽化した機器を省エネ型に交換 |
参照元:事業者団体を通じた適正な住宅リフォーム事業の推進に関する検討会第1回配布資料 資料5-2|国土交通省
これらの費用は家の傷み具合によって大きく異なりますが、賃貸に出すことで月々数万円の収入が見込めるので、中長期的にはプラスに転じる可能性もあります。
また、管理業務を不動産会社に委託すれば、入居者対応や家賃回収も代行してくれるため、遠方に住んでいる場合でも運用しやすくなります。
ただし、空室リスクや管理費がかかる点は考慮しておく必要があります。
以下の記事では、賃貸向けにリフォームする際のポイントや費用相場について詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご覧ください。

地域コミュニティ施設として提供する
空き家を「地域のために役立てたい」と考えている方にとって、コミュニティ施設としての提供も有意義な選択肢です。
たとえば、子育て支援施設や高齢者の集いの場、地元の会合スペースとして活用されるケースがあります。
こうした活用には行政やNPOが関与することも多く、補助金やサポートが得られる場合もあります。以下に、いくつかの自治体の支援例を示します。
自治体 | 支援内容 | 上限金額 | 利用条件の例 |
---|---|---|---|
大阪府大阪市 | 空家利活用改修補助制度 | 最大300万円 | 子ども食堂などの地域貢献のために空き家を活用すること |
愛知県名古屋市 | 空き家活用支援事業費補助金 | 最大100万円 | 交流施設や体験学習施設といった用途に使用すること |
埼玉県熊谷市 | 空き家利活用(地域活性化リフォーム等)補助金 | 最大200万円 | 地域の交流施設や子ども食堂などの用途に活用すること |
このように、「人の集まる場」に変わることで、空き家に新たな価値が生まれます。
加えて、人の出入りがあることによって防犯効果や老朽化の抑制といったメリットも期待できます。
社会貢献と空き家対策を両立できる点がこの活用法の大きな魅力です。
不動産買取業者に売却する
空き家の管理が難しく、今後も活用予定がない場合は、不動産買取業者への売却を検討するのも一つの手段です。
なかでも「直接買取」は、不動産会社が物件をそのまま引き取ってくれる仕組みで、スムーズかつ短期間で現金化できるのが利点です。
市場価格より2〜3割ほど下回ることが多いものの、築年数の経過した住宅や再建築不可物件など、一般的に売却が難しいケースでも柔軟に対応してくれる業者が多く存在します。
また、買主探しや内覧対応といった煩わしいプロセスが不要なため、手間を省きたい方に適しています。
近年では、複数の業者に一括で査定を申し込めるオンラインサービスも充実しており、相場を把握するだけの利用も可能です。
今後の維持費や固定資産税の負担を考慮すると、早めに売却を進めることで結果的にメリットが大きくなる場合もあります。
空き家の売却方法については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

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まとめ
空き家を無料で貸し出す方法としては、使用貸借契約で身内や知人に貸すケースや、空き家バンクを利用する方法があります。
これらは初期費用を抑えつつ、空き家の維持・管理の負担を軽減できる点が魅力です。
しかし、トラブル発生時の責任の所在が曖昧になったり、無償ゆえの契約トラブルや管理意識の低下といったリスクも存在します。
そうしたリスクを避けたい場合は、空き家の売却も選択肢の一つです。
特に、老朽化や立地などの理由で有償賃貸が難しい物件は、早めの売却が望ましいです。
売却の際には、専門の不動産買取業者に依頼することで、スムーズかつ適正な価格での売却が期待できます。
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特に管理が難しい空き家や、他の活用方法が見つからない物件の買取にも対応しており、多くの空き家所有者から信頼を集めています。
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