賃貸物件で前の住人の痕跡が気になる人は81.0%
賃貸物件に住んだ経験がある500人に「前の住人の痕跡が気になるか」を聞いたところ、「とても気になる (34.6%)」「やや気になる(46.4%)」が合わせて81.0%でした。
多くの人が前住人の痕跡を気にしているのですね。
「新居なので、前の人の気配を感じたくない」という気持ちが背景にあると考えられます。
一方、大家さんや管理会社側から考えると、痕跡をできるだけ消すことで、新しい入居者の満足感が高まると言えます。
賃貸物件で気になった前の住人の痕跡1位は「壁の傷み」
賃貸物件で気になった前の住人の痕跡で最も多かった回答は「壁の傷み(27.0%)」、2位は「床の傷み(19.2%)」でした。
視覚的にわかりやすい痕跡が上位を占めています。
よく目につくからこそ気になってしまうと考えられます。
また、お風呂・髪の毛・キッチンなど、衛生面に深く関わる部分の痕跡も気になることもわかりました。
1位 壁の傷み
- 寝室の壁に何かを置いていてできたらしき跡があり、消えません。布団が触れてしまうのでかなり気になります(20代 女性)
- 画鋲の穴がいたるところに空いていて「何を飾ったらこんなに穴が開くのだろう」と気になってしまいました(30代 女性)
- 壁にあった謎の茶色いシミが不気味でした。あった場所がクローゼットの中だったので、不気味というか怖かったです(30代 男性)
1位は「壁の傷み」です。
壁の傷みとは「シミ」「画鋲や釘の穴」「壁紙の歪みや破け」などです。
壁は範囲が広いので、傷みがあると部屋全体の印象が悪くなったり、中古感が強く出たりします。
ただ、「日焼け」などの経年劣化を挙げた人は少なく、強い汚れや不自然な傷みを気にしている人が多くなりました。
「画鋲の穴が不自然に多すぎる」「謎のシミ」という回答からわかるように、なぜついたか想像できない傷や汚れには、怖さや不気味さを感じて気になる人が多いと考えられます。
2位 床の傷み
- フローリングの傷と、家具が置いてあったところのへこみ(20代 男性)
- 部屋に車のタイヤを直に置いていた痕跡があり、フローリングにメーカー名のアルファベットが移っていました(40代 女性)
- 家具の置き跡があり、生活の想像ができてしまう。跡に合わせて置かないと、跡が目立ってしまう(50代以上 女性)
2位は「床の傷み」でした。
フローリングや畳には大型家具・家電を設置した跡が残るので、「ああ、ここにベッドを置いていたんだな」と感じやすくなります。
前住人がどう部屋を使っていたのか、わかりやすいのですね。
気になる理由としては「跡に合わせて家具を置かないと、跡が見えてしまう」「隠す必要がある」などがありました。
結果として、希望通りの配置にならない可能性もあります。
3位 前住人の忘れ物
- ベッドのフレームだけ部屋に残されていました(20代 女性)
- トイレに前住人の掃除用具セットが残っていて、気になりました(30代 女性)
- ベランダに前住人の物干しやハンガーなどが大量に放置されたままになっていた。まだ使えるものばかりだったが、薄気味悪いので使う気にはなれなかった(40代 男性)
3位は「前住人の忘れ物」でした。
前住人の痕跡がダイレクトに残っている状態が、忘れ物です。
「調味料」「掃除用品」「ベランダのスリッパ」「アクセサリー」など比較的小さなものだけではなく、ベッドフレームが残されていた部屋も。
ベッドフレームは忘れ物というよりも、わざと置いて行ったと考えるほうが自然です。
不要物が残されていると片付けの手間が発生するので、入居直後から不快な思いをします。
「不気味なお札」や「盛り塩」が残っているなど、新しい住人が怖さを感じた事例もありました。
4位 室内の臭い
- 壁紙は変えてもらったのに、前住人はかなりのベビースモーカーだったのか、なかなかタバコの臭いが消えませんでした(30代 女性)
- 風通しを良くしても取れない異臭(40代 男性)
- クローゼットの中が独特な臭いだった。香水かもしれない(40代 女性)
4位は「室内の臭い」でした。
具体的には「タバコ臭」「香水」「ペットの臭い」などが挙げられています。
日常的に吸っているタバコや部屋で暮らしていたペットの臭いは、壁紙などに染みつきやすく、次の住人を不快にします。
「消臭してもらって大丈夫だと思ったが、梅雨の時期にペットの臭いがしてきた」という声もあって、環境によって臭いがきつくなることもあるとわかりました。
不快な臭いや嫌いな臭いだと、リラックスできなくなります。
5位 お風呂の傷み
- 風呂で髪を染めたらしいシミがあった(30代 女性)
- 前の住人があまり掃除をしていなかったのか、浴槽内に落ちたヘアピンの跡が錆びて残っていた(40代 女性)
- 風呂場の落ちない汚れというか、変色(50代以上 男性)
5位には「お風呂の傷み」が入りました。
浴室は清潔感が重要な場所です。
そのため、「シミ」「サビ」「変色」「傷」などがあると、使用するたび目について、不快になります。
また「風呂で髪を染めたらしいシミ」「浴槽内に落ちたヘアピンのサビ」は、全住人の使い方や掃除に問題がありますね。
経年劣化に比べて仕方ないと思いにくく、嫌な気持ちも大きくなると考えられます。
6位 髪の毛が残っている
- クリーニング済みと書いてあったのに、床やクローゼットの中など、いたるところに髪の毛のような毛が落ちていた(20代 女性)
- 長年そこにあったのであろう髪の毛が、床と一体化して取れない(30代 男性)
- 水道の排水口に付着していた髪の毛(40代 男性)
6位は「髪の毛が残っている」でした。
床などに落ちている髪の毛はゴミのひとつですが、人由来のものなので「紙ゴミ」などよりも生々しさを感じ、前住人の気配を感じやすくなると考えられます。
落ちている髪の毛には不潔な印象もあるので、「嫌だな」と感じた人も多数。
「排水口に髪の毛がびっしり溜まっていた」「床のワックスに、髪の毛が大量に閉じ込められていた」など、大量の髪の毛で嫌悪感を覚えた人もいました。
7位 キッチンの傷み
- キッチンシンクのサビのようなシミ(20代 女性)
- 台所が少し錆びてザラザラしていた(30代 男性)
- キッチン下の収納棚。扉を開けたら、調味料ボトルの底のシミが残っていました(40代 女性)
7位は「キッチンの傷み」です。
食品・油などで汚れやすいのがキッチン。
掃除やふき取りが不十分だと、シミやサビの原因にもなります。
料理するときに目につきやすいので、気になる人も多いとわかりました。
またあまりに汚いと衛生面が不安になります。
8位 前住人宛ての郵便物
- 住所変更されてなくて、請求書などがポストに届く(20代 男性)
- 前の人の郵便物がたびたび届く。賃貸契約して4年たっても届くのが不快です(20代 女性)
- 家の中はあまり気にはならなかったですが、前住人の手紙や荷物が送られてくることです(30代 女性)
8位には「前住人宛ての郵便物」が入りました。
住所変更がされていないと、前住人宛ての郵便物がポストに入り続けてしまいます。
最初のうちに数通届く程度ならまだしも、長期間届き続けて困っている人もいました。
前住人宛ての郵便物が届いたら、ご配達である旨を付箋などで貼り付け、ポスト投函します。
または郵便局に持ち込んで、前住人が引っ越していることを伝えてもOKです。
賃貸物件で前の住人の痕跡が気になったときの対処法は「管理会社に連絡をした」
「賃貸物件で前の住人の痕跡が気になったときの対処法」を聞いたところ、1位は「管理会社に連絡をした(32.4%)」でした。
僅差の2位は「とくに対処していない(30.6%)」、3位は「自分で掃除した(30.2%)」となっています。
「管理会社に連絡する人」「我慢する人」「自力で対処する人」の3パターンに分けられます。
「忘れ物は管理会社に連絡し、汚れは自分で掃除」など、気になった内容によって対応を変えている人もいました。
1位 管理会社に連絡をした
- 傷・シミや歪みは管理会社に連絡して、ひどい場合は対処をお願いしました。臭いについては消臭剤を設置し、管理会社にも改善をお願いしました(20代 男性)
- 管理会社に連絡をして引き取ってもらいました(30代 女性)
- 照明器具が破損しており、さらに破損が進むと怖いので管理会社に変えてもらいました。ただ気づかず引き渡しをする管理会社に不信感を抱いたきっかけになりました(50代以上 女性)
1位は「管理会社に連絡をした」です。
自分で対処するのではなく、まず管理会社に連絡する人が多いとわかりました。
入居したばかりで気になることがある場合には、対応してもらえるかどうかに関わらず、まず管理会社や大家さんに連絡することをおすすめします。
管理会社が引き渡し前にしっかりチェックしていなかったことによるミスの可能性もあるからです。
とくに設備の破損など危険を感じる場合には、すぐに管理会社に連絡しましょう。
管理会社に現状を見てもらい、情報を共有することで、退去時の原状回復費用についても交渉しやすくなります。
ただ管理会社に連絡しても対応してもらえるとは限らず、結局自分で掃除などの対処をしたり、放置したりした人もいました。
2位 とくに対処していない
- 生活に支障はないので、とくに何も対処していない(20代 女性)
- 気にはなりましたが、格安で住まわせてもらっていたため、とくに対処をしませんでした(30代 女性)
- 血痕とかなら管理会社に連絡しますが、痕跡から前住人の人となりを想像してほっこりするタイプなので、ゴミ・傷や忘れ物は気になりません(40代 女性)
2位は「とくに対処していない」でした。
対処しなかった理由は「生活に支障がない」「我慢できる範囲」「すぐ引っ越す予定だから」「対処法がわからない」などです。
ひどい痕跡でなければ、許容する人も多いとわかります。
また家賃や築年数を考慮して、まあ仕方ないかと思う人もいました。
3位 自分で掃除した
- 自分でさび落としを購入して掃除した(20代 男性)
- 自分で掃除はしましたが、不快な気持ちになりました(30代 女性)
- 管理会社に連絡しても対応してくれないと思ったので、自分で掃除しました(40代 男性)
3位は「自分で掃除した」でした。
落とせそうな汚れであれば、自分で掃除してキレイにした人も。
ただ掃除したものの落ちなかったという体験談も多く寄せられています。
掃除しても落ちない場合は汚れを隠すなど、次の対応が必要です。
管理会社に連絡せず自分で掃除した理由としては、「言うほどでもないと思った」「言っても無駄だと思った」などでした。
4位 写真を撮った
- 元からあった汚れとわかるように、写真を撮った(20代 女性)
- 入居時チェック用紙に傷跡の箇所を記入、念のため写真も自身のスマホで撮りました(30代 女性)
- 内見時に担当者へ伝えて、写真も撮影しておいた(40代 男性)
4位は「写真を撮った」でした。
痕跡を発見したときに、まず写真を撮る人も多数。
入居時に傷・汚れや設備の故障があった場合には、チェックシートや写真で証拠を残しておくことが大事だと言われています。
退去時に、自分がやったのではない傷の責任を問われる可能性があるからです。
つまり写真を撮るのは、痕跡そのものをどうこうしようという行動ではなく、自己防衛のための行動と言えます。
5位 傷や汚れを隠した
- ポスターなどで隠した(10代 男性)
- 床に関してはベッドを置いて隠している(20代 女性)
- クローゼットに関しては、見えないように物を置いていました。玄関はマットを敷いて見えないようにしておりました(30代 男性)
5位には「傷や汚れを隠した」が入っています。
傷や汚れがあることは許容したうえで、自分の気分が悪くならないように隠す人もいました。
管理会社に連絡する手間やストレスがなく、日常生活への影響も抑えられます。
傷・汚れを隠してくれるのがお気に入りのポスターやカーペットなら、気分も良くなると考えられます。
6位 残置物を捨てた
- とりあえず全部捨てた(30代 女性)
- 自分で捨てましたが、若干気になりました。引っ越しが慌ただしく偶然残ってしまったのかもしれません(40代 女性)
- いらない鉢植えなど、自分の好みでないものは捨てました(50代以上 女性)
6位は「残置物を捨てた」でした。
前住人の忘れ物などは捨ててしまう人もいます。
新生活の邪魔になるものなので、さっさと捨ててしまいたくなる気持ちもわかります。
ただし勝手に捨てると前住人とトラブルになる可能性もあるので、管理会社に連絡するのがおすすめです。
管理会社によっては忘れ物を預かり、前住人から連絡があったら引き渡しているケースもあります。
7位 消臭剤を使った
- 消臭スプレーをまいた(20代 男性)
- 部屋の臭いは、すべての窓を換気して芳香剤を3~4個置いた(30代 女性)
- 好きなお香を焚いたり芳香剤を使ったり、自分の匂いを染み付ける(40代 男性)
7位は「消臭剤を使った」です。
臭いが気になった場合に自分で対応する方法としては、消臭剤や芳香剤の利用があります。
比較的に安価にできる方法ですね。
壁紙の張り替えなどでも対応できますが、入居者個人で対応するのは難しく、管理会社にお願いしても対応してもらえない可能性があります。
また排水口からあがってくる臭いが気になる場合は、水を流すのも対処法のひとつです。
まとめ
多くの人が、賃貸物件における前住人の痕跡を気にしていました。
気になる部分で多かったのは「壁の傷み」や「床の傷み」で、よく目につくからこそ気になってしまうと考えられます。
「忘れ物」「郵便物」など前住人の個人情報や人となりがわかってしまう要素を気にする人も多くなっています。
また「謎のシミ」「謎の穴」「怖い感じのお札」など、自分の理解や想像を超えた痕跡に疑問や恐怖を抱き、気になってしまう人もいました。
対処法としては「管理会社に連絡した」「自分で対処した」「とくに対処しなかった」など人それぞれ。
管理会社に連絡しても対応してもらえるとは限りません。
ただ相談すると自力での対処法を教えてもらえることもあるので、「えっ」と思ったらまずは管理会社への相談を検討してみましょう。