汲み取り式トイレをから水洗トイレへのリフォームにかかる費用相場
汲み取り式トイレを現代的な水洗トイレにリフォームすることで、臭気や不快感の解消、生活の快適性向上が期待できます。
ただし、設置方法によって費用は大きく異なる点にも注意が必要です。
本章では、「簡易水洗トイレ」「下水道直結型」「浄化槽設置型」の3種類の方法と、それぞれの相場や特徴について解説します。
簡易水洗トイレ：30〜60万円で手軽に改善
汲み取り式トイレの改善方法として最も費用を抑えやすいのが「簡易水洗トイレ」へのリフォームです。
工事費用の相場は30万〜60万円ほどで、下水道や浄化槽を必要としないため、設置が比較的簡単です。
たとえば、便器を洋式の簡易水洗型に交換し、汲み取り槽と連結することで水洗のような使用感を得られるようになります。
水道があれば設置可能で、排水設備や下水道の整備が間に合っていない地域でも導入しやすいのが特徴です。
この方法は、「快適性を高めたいが下水道区域外で浄化槽の設置が難しい」といった家庭に適しています。
予算や地域条件を踏まえて、低コストでリフォームしたい人におすすめの方法です。
下水道直結型水洗トイレ：50〜100万円が目安
公共下水道が整備されている地域では、「下水道直結型水洗トイレ」へのリフォームが一般的です。
相場としては50万〜100万円ほどで、便器の交換に加えて排水設備の接続工事が必要です。
たとえば、汲み取り式から洋式水洗トイレにリフォームする場合、便器・タンク・配管の交換だけでなく、排水管の延長や床の張替えなども発生し、工事は数日かかることがあります。
なお、東京23区内では、下水道への接続に対して助成金や工事費補助を用意しており、条件を満たせば上限額内で支援を受けられる可能性があります。
参照元：東京都下水道局
衛生面や快適性の向上だけでなく、家屋の資産価値の維持にもつながるため、長期的視点で見ると非常に有効なリフォームといえます。
浄化槽設置型水洗トイレ：100〜200万円とやや高額
公共下水道の供用区域外にある家では、「浄化槽設置型水洗トイレ」へのリフォームが必要です。
この場合の工事費は、100万〜200万円とやや高額になります。
合併処理浄化槽を設置し、便器や排水管を全て交換する工事が発生し、さらに土木工事や浄化槽本体の費用が加わります。
また、浄化槽設置には事前申請の手続きが必須です。
参照元：東京都環境局
なお、多くの自治体では「生活排水対策事業」などの名称で浄化槽設置に対する補助制度を実施しており、該当世帯には工事費の一部が支給されます。
参照元：流山市
費用負担は大きいものの、生活の快適性が大きく向上し、環境負荷の軽減にもつながるため、中長期的な視点で導入を検討する価値があります。
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参照元：買取実績｜アルバリンク
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工事期間と施工の流れ
汲み取り式トイレから水洗トイレへのリフォームを検討する際、事前に「工事期間」と「施工の流れ」を把握しておくことは重要です。
今回は、汲み取り式トイレの解体から水洗トイレの設置、最終的な試運転までの流れと一般的な工事期間について解説します。
汲み取り式トイレの解体
水洗化工事の第一歩は、既存の「汲み取り式トイレ」の解体から始まります。
この工程では、便器の撤去だけでなく、浄化槽や便槽などの処分も必要となるため、工事費用と作業時間が想定以上にかかることもあります。
一般的に、この工程に要する期間は1日〜2日程度が目安です。
一方で、老朽化した住宅では家屋の構造に配慮した慎重な施工が必要なケースもあり、工程が延びることもあります。
また、臭気対策や解体後の廃材処理にも注意が必要です。
指定業者に依頼することで、廃棄物処理や補助金対象条件に適合した工事が可能になります。
自治体によってはこの段階から補助の対象になる場合もあるため、工事前に地域の窓口に確認しましょう。
水洗トイレの設置
汲み取りトイレの解体後は、新たに「水洗トイレ」の設置工事を行います。
この工程では、下水道や浄化槽との接続、給排水管の新設または改造、床や壁の内装リフォームも含まれるため、施工の内容によって工事期間が異なります。
標準的な住宅であれば、設置工事は2〜3日で完了することが多いですが、段差解消や洋式トイレへの交換を同時に行う場合は、さらに日数がかかる可能性があります。
補助金や助成金制度を利用する場合は、設置前に必ず申請を行い、交付決定後に着工する必要がある点にも注意が必要です。
特に介護保険や子育て世帯向けの支援制度を併用するケースでは、自治体ごとの条件確認が不可欠です。
試運転
工事の最終工程として行われるのが、水洗トイレの「試運転」です。
この段階では、実際に水を流して給水・排水の状況を確認し、漏水や臭気の有無、便器の機能が正常に作動するかどうかを細かくチェックします。
通常、試運転は1時間程度で完了し、問題がなければ即日で使用可能となります。
施工業者によっては、試運転完了後に保証書を発行したり、市の検査担当者が立ち会う場合もあります。
快適で安全な住まいに転換するためにも、試運転をしっかり行い、施工の品質を確認することが大切です。
汲み取り式トイレから水洗トイレのリフォームで使える補助金・助成金制度4選
汲み取り式トイレを水洗トイレにリフォームする際は、思った以上に高額な工事費用が発生します。
一方で、自治体によりリフォームに活用できる補助金・助成金制度があるため、費用負担を大きく軽減できる可能性があります。
本章では、代表的な4つの補助・助成制度についての内容と活用方法を解説します。
介護保険の住宅改修費支給
高齢者がいる家庭であれば、「介護保険の住宅改修費支給制度」を利用してトイレのリフォーム費用を一部補助してもらえます。
上限は20万円で、そのうち9割（最大18万円）が補助対象となります。
参照元：大田区
たとえば、和式便器から洋式便器への交換や、段差解消、手すり設置などが対象となるため、汲み取り式から水洗トイレへ変更する工事の一部も条件に合致すれば適用可能です。
制度を利用するには、事前の申請とケアマネージャーによる工事計画書の提出が必要です。
工事が完了してから申請すると支給対象外になるため、タイミングには特に注意が必要です。
「快適なトイレ環境を整えながら介護にも備える」目的であれば、非常に有効な補助制度といえるでしょう。
自治体の補助金
多くの自治体では、「水洗便所改造費補助制度」などの名称で、汲み取り式トイレから水洗トイレへ改修する際の費用補助を実施しています。
稲城市の場合は、以下のような補助を受けられます。
【汲み取り便所を水洗便所に改造する場合】
一般住宅の場合
大便器1器まで2万円。1器増すごとに1万円を加算
貸家、共同住宅の場合
大便器1器まで1万円。1器増すごとに1万円を加算引用元：稲城市
下水道が整備されている区域で、排水設備工事と同時にトイレを水洗化する場合に補助対象となり、申請・工事完了後に交付されます。
市区町村によっては、受付期間や補助対象となる事業者の指定がある点にも注意が必要です。
自治体のホームページや建築課、下水道課に問い合わせることで、具体的な申請条件や必要書類を確認できます。
子育てエコホーム支援事業
国土交通省が実施する「子育てエコホーム支援事業」は、子育て世帯・若者夫婦世帯を対象にした住宅改修支援制度で、トイレのリフォームも支援対象となります。
たとえば、節水型トイレの設置やバリアフリー対応の便器交換など、省エネ性能や快適性の向上を目的とした工事です。
上限は原則30万円（条件により変動）で、工事内容や申請時期によっては併用もできます。
補助対象の設備や工事内容は細かく規定されているため、登録された事業者に依頼し、事前に適用可能なプランの相談が必要です。
長期優良住宅化リフォーム推進事業
長期的な視点で住宅の性能を高めたい場合は、国が支援する「長期優良住宅化リフォーム推進事業」の活用がおすすめです。
この制度では、トイレを含む住宅全体の耐震・省エネ・劣化対策などを総合的に改善する工事が対象となります。
たとえば、長期優良住宅認定を取得するための基準を満たすためのリフォームで1戸につき最大160万円の補助金を受けられます。
参照元：令和7年度長期優良住宅化リフォーム推進事業【国土交通省】
申請にはインスペクション（建物調査）の実施や、国が定めた評価基準に基づく計画の作成が必要です。
本格的な住宅性能向上を目指す方にとって、費用対効果の高い選択肢となるでしょう。
古い空き家をリフォームしたい場合に活用できる補助金については、次の記事でも紹介しています。
汲み取り式トイレから水洗トイレへのリフォームする5つのメリット
近年、汲み取り式トイレから水洗トイレへのリフォームが進んでおり、多くの自治体では補助金制度などの支援も用意されています。
本章では、水洗トイレへのリフォームで得られる5つの大きなメリットについて解説します。
臭いの発生を抑制し、衛生面が向上する
水洗トイレの最大の利点は、汲み取り式に比べて臭気が格段に少ないことです。
汲み取り式では便槽内に排泄物が滞留するため、特に夏場には不快な臭いが発生しやすく、衛生面にも不安が残ります。
実際、リフォーム後に臭いの問題がなくなり日常生活をストレスフリーに過ごせる効果があります。
水洗化によって排泄物は速やかに処理施設や浄化槽に流されるため、住宅内外の衛生環境が大幅に向上します。
特に、子育て世帯や高齢者のいる家庭にとって安心感を得られる選択です。
落下防止など安全性が向上する
汲み取り式トイレでは、便器の構造が和式で段差があり、便槽に直接アクセスするタイプも多く見られます。
このような構造は、高齢者や小さな子どもにとって転倒や落下の危険性が高く、事故につながるリスクがあります。
一方、水洗トイレにリフォームすると、洋式便器への交換や段差の解消、落下の危険性がなく安全性が大幅に向上します。
さらに、介護保険や住宅改修の助成制度を活用して手すりの設置なども行えば、より安心して利用できるトイレ環境となるでしょう。
使いやすさや安全性の観点から、トイレの水洗化がおすすめです。
災害時に排泄物流出のリスクが減る
地震や浸水などの災害発生時、汲み取り式トイレでは便槽が破損し排泄物が溢れるリスクがあります。
一方、水洗トイレの場合は下水道や浄化槽への接続で排泄物が適切に処理される構造となっているので、災害時の二次被害を軽減できます。
特に下水道接続区域では、災害時の復旧体制が整っているため、安心度も高いでしょう。
こうした背景から、近年では防災の一環として水洗化を推進する自治体が多く、補助金や優遇制度を活用した工事が増加傾向です。
汲み取り費用を削減できる
水洗トイレにすると定期的な汲み取り作業が不要で、長期的に見て費用負担が軽減されます。
汲み取り便所では、通常月1回〜数か月に1回の頻度で作業が必要となり、そのたびに料金が発生します。
年間で見ると1万円以上の支出となることも珍しくありません。
水洗トイレにリフォームすれば、こうした維持管理費用が不要で固定費の削減につながります。
将来的な資金計画を立てるうえでも、水洗トイレへのリフォームは効果的な方法です。
温水洗浄便座を取り付けられる
水洗トイレへのリフォームによって、温水洗浄便座（いわゆるウォシュレット）の設置が可能となります。
これにより、快適性や清潔感が大きく向上し、高齢者や女性、子どもなど幅広い世代にとって利用しやすい環境が整います。
また、節水機能や脱臭機能など、多機能な便座の導入もできるため、生活の質が高まります。
住まいの快適性を向上させる一手として、温水洗浄便座の導入はおすすめです。
汲み取り式トイレから水洗トイレのリフォームで補助金を活用する際の注意点
水洗トイレへのリフォームでは、補助金や助成金を活用することで費用負担を抑えることができますが、その分いくつかの注意点もあります。
本章では、水洗トイレのリフォーム時に補助金を使う際の代表的な3つの注意点を解説します。
補助金の申請には受付期間がある
多くの補助金制度には「申請受付期間」が設けられており、この期間を過ぎると申し込みができません。
特に、国や自治体の年度事業に基づく補助制度は、予算が上限に達した時点で受付が終了することがあります。
たとえば、下水道接続に伴う水洗化補助や、浄化槽設置補助などは「4月から受付開始、予算上限に達し次第終了」というケースが多く、先着順のため早めの行動が求められます。
申請は工事の完了後ではなく、あくまで「事前申請」が必要な制度がほとんどです。
受付期間内であっても、事後申請では補助金が交付されません。
リフォームを検討し始めたら、すぐに自治体のホームページや窓口に連絡して、補助金の受付期間と手続きスケジュールを確認しましょう。
工事前に「補助対象か」を確認してから契約する
補助金を活用するには、「そのリフォームが補助対象工事かどうか」を事前に確認しておく必要があります。
便器の種類、設置方法、排水処理の方法など、細かな要件が定められていることが多いからです。
たとえば、補助制度によっては「指定業者による工事のみ対象」「簡易水洗トイレは対象外」「浄化槽は合併処理浄化槽に限る」など、厳格な条件があります。
これを知らずに契約・工事を進めてしまうと、補助金が適用されず全額自己負担となるケースもあります。
契約前には、工事内容が補助要件を満たしているか、書面や見積もりの段階で自治体や支援事業の窓口に確認を取りましょう。
複数制度を組み合わせられないか確認する
水洗トイレへのリフォームは、1つの補助制度だけでなく、複数の制度を併用できるケースもあります。
制度を組み合わせることで、より多くの支援を受けられる可能性があります。
たとえば、「自治体の水洗便所改造費補助金」と「介護保険の住宅改修費支給」など、目的が異なる制度であれば、併用が認められることがあります。
また、「子育てエコホーム支援事業」や「長期優良住宅化リフォーム推進事業」など、国の支援と地方の補助を組み合わせるケースもあります。
ただし、同一工事に対する重複申請や助成対象となる金額の上限を超えると支給対象外になることもあるため、必ず自治体や事業者と事前に確認しましょう。
工事費を最大限カバーするためには、各制度の連携や併用の可能性を視野に入れてリフォーム計画を立てることがポイントです。
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汲み取り式トイレから水洗トイレにする際の業者選びのポイント
汲み取り式トイレを水洗トイレへとリフォームする工事は、配管接続や排水設備の設置、下水道接続・浄化槽工事など専門性が求められます。
本章では、信頼できる業者を選ぶ4つのポイントをご紹介します。
下水道接続・浄化槽工事の実績がある業者を選ぶ
水洗化に関わる工事は、単なる便器交換にとどまらず、下水道接続や合併浄化槽の設置、排水処理施設との接続など、専門的な知識と技術が求められます。
だからこそ、過去に下水工事や浄化槽工事の「実績」が豊富な業者を選ぶことが重要です。
自治体によっては「指定業者制度」を設けている場合もあり、その一覧を窓口やホームページで確認できます。
技術力のある業者を選ぶと、施工トラブルとやり直しのリスクを大幅に減らせます。
補助金申請サポートがあるか確認する
水洗トイレへの改造工事では、自治体からの補助金や助成金が受けられることが多く、その申請をスムーズに行うためには、業者のサポート必要です。
申請には見積書、契約書、完了報告書、設置図面など複数の書類が必要となり、一般の方にはハードルが高く感じられます。
業者によっては制度の内容を把握しておらず、補助対象外となる工事をしてしまうこともあるため、「補助金サポートあり」と明記されている業者を選びましょう。
見積書に「補助対象工事」が明記されているかを確認する
補助金を適用するためには、見積書に補助対象工事が明記されていることが大前提となります。
たとえば、「浄化槽設置」「排水設備工事」「便器の交換」など、補助対象となる工事項目が具体的に記載されていなければ、補助金交付が認められない可能性があります。
業者に依頼する際は、「補助対象工事とそうでない工事を分けて記載してほしい」と事前に伝えておくとスムーズです。
見積もりの段階でこの点をきちんと確認することが、補助制度の活用には不可欠です。
相見積もりで費用差を確認する
最後に、複数の業者から「相見積もり」を取ることも、コスト面で後悔しないための有効な方法です。
同じ水洗トイレの設置工事でも、業者によって数万円〜十数万円の差が出ることがあります。
安さだけで判断せず、補助金対応や実績、工事内容なども含めて比較検討することが大切です。
また、相見積もりを取ることで、業者側に「価格競争意識」を促し、値引き交渉の余地が生まれることもあります。
工事費用を適正に抑えるためにも、相見積もりは必ず実施しましょう。
なお、業者選びに手間取って売れないなら、水洗式に変えずにそのまま買取に出す方法もあります。
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まとめ
汲み取り式トイレから水洗トイレへのリフォームは、衛生面や安全性の向上、生活の快適さの面で大きなメリットがあります。
また、汲み取り費用の削減や温水洗浄便座の導入が可能になるなど、日々の暮らしが格段に改善されるでしょう。
ただし、リフォーム費用は工事の種類によって30万円から200万円と幅があり、決して安くはありません。
さらに、補助金を活用する場合には、申請期限や工事前の確認、組み合わせ利用の可否といった点に注意が必要です。
補助制度をうまく活用できなければ、想定外の自己負担が発生する恐れがあります。
費用や補助金申請の煩雑さ、業者選びの難しさなどを考えると、リフォームではなく「物件の売却」という選択が現実的です。
特に、水回りの不備や老朽化した住宅は売却が難しいと思われがちですが、実は汲み取り式トイレのままでも売却できる場合があります。
このようなケースでは、専門の買取業者への相談がおすすめです。
仲介での売却に比べてスピーディーで、修繕やリフォーム不要での買取が可能なため、費用も手間も最小限に抑えることができます。
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