「実家じまい」とは
「実家じまい」とは、親が高齢化や他界したことをきっかけに、住まなくなった実家の整理・売却・解体などを行うことを指します。
実家じまいをすることで、管理の手間や固定資産税などの負担を解消できます。
実家じまいには、相続や不動産の譲渡、売却といった法的・経済的手続きが発生するため、司法書士や不動産会社などの専門家の協力が必要です。
具体的な流れを把握したうえで、早めの準備と行動を開始することが望まれます。
実家じまいをする理由と必要性
実家じまいをする最大の理由は、住まなくなった実家をそのまま放置することによるリスクの回避です。
老朽化した住宅は倒壊の危険がある上に、固定資産税の増加や管理費用の発生といった経済的負担が重くのしかかります。
また、親の入所や死亡後に突然発生する片付けや相続の手続きは、時間も手間もかかるため精神的な負担がより大きくなるでしょう。
事前に実家じまいを進めておけば、そうしたトラブルを避け、相続人間での争いやトラブルも軽減されます。
特に高齢の親を持つ家庭では、施設への入所なども視野に入れて、住まいの整理と資産の活用を早めに検討することが大切です。
まずは家族と相談し、必要な情報と費用の目安を把握して準備を始めましょう。
実家じまいにかかる費用はいくら？相場と内訳を解説
実家じまいにかかる費用は、実家の立地や建物の状態、所有する不動産の種類や活用方法によって大きく変動します。
実家じまいは感情的にも負担の大きい作業ですが、放置するほど経済的・精神的リスクが高まります。
費用とその内訳をしっかり把握し、早めの行動を心がけましょう。
- 【実家じまいにかかる費用】
- 家財処分・遺品整理にかかる費用
- 解体・清掃・リフォームにかかる費用
- 不動産売却や賃貸に関する諸費用
- 相続登記や税金にかかる費用
家財処分・遺品整理にかかる費用
家財の処分や遺品整理には、一般的に10万円〜30万円程度の費用がかかります。
作業量や家の広さ、または不用品の量などによって金額が大きく変わるため、複数の業者から無料で見積もりを取るのが賢明です。
項目ごとの主な費用目安は以下の通りです。
1. 処分量ごとの費用目安
| 軽トラック1台分（押し入れ分相当） | 15,000円～30,000円 |
| 2トントラック1台分（ワンルーム相当） | 50,000円～80,000円 |
| 2トントラック2台分（2LDK相当） | 100,000円～150,000円 |
| 4トントラック1台分（3LDK以上） | 150,000円～250,000円 |
2. 家財ごとの処分費用目安
| ソファ（2人掛け） | 5,000円～10,000円 |
| ベッド（シングル） | 6,000円～12,000円 |
| 冷蔵庫（大型） | 8,000円～15,000円 |
| 洗濯機 | 5,000円～8,000円 |
| タンス（大） | 8,000円～12,000円 |
| エアコン（取り外し含む） | 5,000円～10,000円 |
3. 追加費用が発生するケース
| エレベーターなし・階段作業 | 5,000円～20,000円 |
| 大型家具の解体作業 | 5,000円～15,000円 |
| 物量の増加（トラック追加） | 10,000円～50,000円 |
| 即日対応・休日作業の追加料金 | 5,000円～30,000円 |
たとえば、2階建ての一軒家で不用品が多く残されている場合、回収や仕分け、搬出に時間がかかり、その分費用も高額になるケースがあります。
早めの整理がトラブル回避につながるため、実家の状態を見極め、計画的に作業を始めましょう。
解体・清掃・リフォームにかかる費用
建物の解体には、構造や立地に応じて100万円〜300万円程度の費用が発生します。
解体費用の目安は以下の通りです。
| 建物の構造 | 解体費用（30坪の場合の目安） |
|---|---|
| 木造住宅 | 約90万～150万円 |
| 鉄骨造住宅 | 約150万～210万円 |
| RC（鉄筋コンクリート）造住宅 | 約210万～300万円 |
物件や周辺の状況によっては、施工費用がより高額になる可能性もあるので注意が必要です。
こちらの記事では、使わなくなった実家の解体費用や手続き方法について詳しく解説しています。
また、清掃やリフォームの費用も考慮する必要があります。
金額は必要な作業範囲や家の状態によって大きく変動しますが、目安は以下の通りです。
| 作業 | 費用 |
|---|---|
| 障子・ふすまの張り替え | 1枚あたり2,000円～5,000円 |
| 壁紙（クロス）の張り替え | 1㎡あたり1,000円～1,500円 |
| フローリング補修・張り替え | 1㎡あたり5,000円～1万円 |
| 水回り（キッチン・風呂・トイレなど）の修繕 | 5万円～50万円 |
| 外壁・屋根の補修・塗装 | 30万円～100万円 |
| 害虫駆除 | 1万円～5万円 |
| ハウスクリーニング | 3万円～10万円 |
| 不用品回収・処分 | 5万円～30万円 |
| 空き家管理・清掃パック | 月額5,000円～2万円 |
将来の活用方法も踏まえたうえで、実家の状態に合った対策を選び、経済的リスクを抑えることが大切です。
不動産売却や賃貸に関する諸費用
不動産を売却する際には、仲介手数料や登記手続き費用、譲渡所得税など、さまざまな費用が発生します。
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 不動産仲介手数料 | 売却価格の3％＋6万円（上限あり）＋消費税 |
| 登記費用 | 1万円～10万円程度 |
| 抵当権抹消登記費用 | 1万円～2万円 |
| 相続登記費用（司法書士報酬含む） | 5万円～15万円 |
| 譲渡所得税 | 譲渡益に応じて計算（税率15～30％程度） |
| 印紙税（売買契約書） | 1,000円～2万円（物件価格により異なる） |
一方、賃貸に出す場合は、以下のような費用がかかります。
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| ハウスクリーニング | 3万円～10万円 |
| 修繕・リフォーム費用 | 10万円～100万円 |
| 火災保険料 | 年間1万円～2万円 |
| 管理会社への管理委託料 | 月額家賃の5％前後 |
| 賃貸契約書作成料 | 1万円～3万円程度 |
賃貸活用では、上記のような費用に加え空室対応の負担なども含め、総合的に検討しなければなりません。
こちらの記事では、実家を賃貸に出す際に知っておきたい知識や注意点について解説しています。
不動産の価値と活用方法を正しく把握するために、不動産会社に査定を依頼し現実的な判断を行うことが重要です。
相続登記や税金にかかる費用
2024年から義務化された相続登記には、司法書士への依頼費用などを含め3万円〜10万円程度の費用がかかります。
また、相続税の課税対象となる場合は、相続税申告書の作成や納付も必要です。
基礎控除を超える財産を相続するケースでは、税率や特例の適用条件を把握し、節税対策を考える必要があります。
以下に相続登記や税金にかかるおもな費用をまとめました。
| 費用項目 | 金額 |
|---|---|
| 相続登記申請費用（登録免許税） | 固定資産評価額の0.4％ |
| 司法書士報酬（相続登記代行） | 5万円～10万円 |
| 固定資産評価証明書取得費用 | 1通300円～400円程度 |
| 戸籍・住民票・除籍謄本取得費用 | 1通300円～750円程度 |
| 税理士報酬（相続税申告書作成費用） | 10万円～30万円 |
| 相続税 | 基礎控除（3,000万円＋600万円×法定相続人） を超えた額に対して10～55％の税率 |
| 固定資産税・都市計画税 | 年間数万円～数十万円（評価額・地域による） |
相続登記について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
手続きの流れや税金の目安を理解しておくことで、突然の相続にも冷静に対応できるようになります。
家族で情報を共有し、納得のいく対応を心がけましょう。
以上のように、実家じまいには、多岐にわたる作業とそれにかかる費用が必要になることが分かりました。
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実家じまいでかかる税金の3つの注意点
実家じまいの手続きを進めるうえで、固定資産税や相続税、譲渡所得税など、複数の税負担が発生します。
注意すべき点は、手続きのタイミングや書類の不備、特例の未活用によって、税金が高額になるリスクがあることです。
以下で解説する注意点を事前に把握し、経済的リスクを最小限に抑えた納得のいく実家じまいを実現しましょう。
- 【実家じまいでかかる税金の3つの注意点】
- 手続きを後回しにすると納税額が高額になる
- 契約書がないと譲渡所得税が高額になる
- 相続した空き家では3,000万円控除の特例がある
手続きを後回しにすると納税額が高額になる
相続税の課税は、相続開始から10カ月以内に申告・納税をしなければなりません。
このタイミングを誤ると、加算税や延滞税が発生し、税額が想定以上に高額になる恐れがあります。
たとえば、両親が高齢で施設に入所した後、実家の管理を後回しにしていた結果、突然の相続が発生し、準備が間に合わなかったというケースも考えられます。
なお、令和6年1月1日～令和7年12月31日における相続税の延滞税の税率は、以下のように定められています。
- 納期限の翌日から2か月を経過する日まで：年2.4％
- 納期限の翌日から2か月を経過した日以後：年8.7％
参照元：財務省
また、加算税は、申告・納付義務を適切に履行しなかった場合に課される行政制裁的な税であり、以下の4つの種類に分類されます。
| 加算税の種類 | 税率（本税に対する割合） |
|---|---|
| 過少申告加算税 | ①期限内申告で修正申告・更正があった場合：10％
②期限内申告税額または50万円超部分：15％ |
| 無申告加算税 | ①期限後申告・決定があった場合：5％
②更正予知前の修正・期限後申告：50万円超部分10％、300万円超部分15％ |
| 不納付加算税 | ①源泉徴収等の未納があった場合：10％
②法定期限後1ヵ月以内の納付などの場合：5％ |
| 重加算税 | ①仮装・隠ぺい等の悪質な不正があった場合：35％
②無申告の場合：40％ |
参照元：財務省
遺産の評価や不動産の査定にも時間がかかるため、早めに情報を整理し、手続きを開始しましょう。
また、相続税は不動産の立地や価格によっても大きく変動するため、事前に相続人間で協議し、対策を検討しておくことが重要です。
契約書がないと譲渡所得税が高額になる
実家を売却した際に得た利益には、譲渡所得税が課されます。
この税額を計算する際、取得費を正確に証明できないと「概算取得費」として売却価格の5％しか認められないため、結果として税額が高額になります。
これは、売却時に過去の購入金額やリフォーム費用などを証明する契約書や領収書が残っていないケースで起こります。
このリスクを回避するには、生前に必要な書類を確認・保管しておくとともに、相続開始後も司法書士や税理士などの専門家に依頼して、状況を正確に把握することが大切です。
相続した空き家では3,000万円控除の特例がある
相続した空き家を売却する際には、「被相続人の居住用財産（空き家）を譲渡した場合の3,000万円特別控除」の特例が利用できる場合があります。
これは、一定の条件を満たすことで、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる非常に有利な制度です。
ただし、この特例の適用には、
- 昭和56年5月31日以前に建築されたこと
- 相続後は空き家を取り壊すかリフォームして売却すること
- 相続から3年を経過する年の12月31日までに譲渡すること
などの細かい要件が存在します。
また、税務署への申告は、提出期限を過ぎると適用されなくなるため注意が必要です。
相続した空き家の3,000万円控除について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
特例の適用可否を早期に確認し、適切な手続きと時期を見極めることで、税負担を大幅に軽減することが可能です。
なお、手続きには時間と労力がかかることもあるため、手間なくスピーディに実家を手放したい方は、「買取」を第一に検討しましょう。
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実家じまいの費用を安く抑えるための6つの節約術
実家じまいは、多くの作業と費用が発生する一大プロジェクトですが、工夫次第で費用負担を大きく軽減することが可能です。
以下で紹介する6つの方法を参考に、無理なく、かつ納得感のある実家じまいを進めましょう。
- 【実家じまいの費用を安く抑えるための6つの節約術】
- 不用品処分はできるだけ自分で行う
- 複数業者から相見積もりを取る
- 業者の繁忙期を避ける
- 買い取りサービス付き業者を選ぶ
- 補助金・助成金制度を活用する
- 業者に値引き交渉する
不用品処分はできるだけ自分で行う
最も手軽にできる節約術は、不用品の処分を自分で行うことです。
家財処分・遺品整理にかかる費用で示したように、遺品整理や回収を業者に依頼すると、数万円〜数十万円ほどの費用がかかる場合もあります。
一方、自分たちで仕分けし、市町村のルールに従って家庭ゴミとして処分すれば、費用は大幅に軽減されます。
特に立地が良く、処分場までの距離が短いエリアに住んでいる場合は、自分で運搬するのも現実的です。
さらに、リサイクルショップやフリマアプリを活用すれば、一部の不用品を「お金に変える」ことも可能です。
ただし、重い家財や危険物など、素人では対応が難しいものは無理せず専門の業者に依頼しましょう。
自分たちでできる範囲を見極めて計画的に進めることで、費用を抑えつつ安全に整理を進められます。
こちらの記事では、家財処分を自力で行うメリット・デメリット、目的別の処分方法などを詳しく紹介しています。
複数業者から相見積もりを取る
相見積もりは、費用を節約するための基本です。
同じ作業内容でも、業者によって提示する価格が大きく異なることがあります。
特に、遺品整理や解体工事などは数十万円以上の差が出ることもあるため、見積りを比較する価値は非常に高いです。
比較する際は、単に金額だけでなく、
- 作業内容の詳細
- 追加料金の有無
- 作業実績
なども確認することが重要です。
見積りは無料で受付けている業者も多いので、時間に余裕を持って早めに問い合わせを開始しましょう。
業者の繁忙期を避ける
実家じまいを依頼する際、業者の繁忙期を避けることで、料金を抑えられる可能性があります。
特に3月〜4月の引っ越しシーズンや年末は、業者の依頼が集中し費用が割高になりがちです。
一方、夏や初秋など比較的依頼が少ない時期は、値引きやスケジュールの融通が利きやすく、希望条件で進めやすくなる傾向があります。
早めに準備を進めタイミングをずらして依頼することで、予算にも心にもゆとりを持って進められるでしょう。
買い取りサービス付き業者を選ぶ
最近では、不用品回収や遺品整理と同時に「買取サービス」を行う業者も増えています。
例えば、株式会社クオーレは、遺品整理を中心とした不用品回収や買取などのリユース事業を展開し、幅広いサービスを提供しています。
参照元：株式会社クオーレ
家具や家電、貴金属、骨董品などをその場で査定し、その金額を作業にかかる費用から差し引いてくれるため、実質的な支払いを減らすことが可能です。
見積りの際は、買取対象となる不用品がないか事前にチェックしておきましょう。
なお、「買い取ってもらえそうなものが無い」「とにかく早急に実家じまいをしたい」とお考えなら、空き家専門の買取業者へ相談してみてください。
家財道具が残ったままの空き家でも、スムーズに売却できる可能性があります。
弊社アルバリンクは、不動産買取業者の中では数少ない年間相談件数5000件越えの上場企業で他社では買い取れない物件なども積極的に買取を行っています。
「空き家」や「事故物件」「再建築不可物件」の他に「田舎の土地」「共有持分」にも対応可能です。
社会的にも大きな信用がある会社で、無理な営業などは一切行わないので、お気軽に相談・査定依頼をご利用ください。
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補助金・助成金制度を活用する
空き家対策の一環として自治体が提供している補助金や助成金を利用するのも、実家じまいの費用を節約する有効な手段です。
条件や金額はエリアによって異なりますが、数十万円の助成を受けられる可能性があります。
たとえば、呉市では、「危険建物除却促進事業」として倒壊の恐れがある空き家の解体に際し、費用の30％を補助する制度があります。
参照元：呉市
ただし、申請には認定書類や事前の申請が必要なことが多く、手続きには時間がかかる場合もあります。
地域の役所や不動産会社に相談し、どの制度が使えるか調査してみましょう。
業者に値引き交渉する
見積もりを取った後に、業者に対して「値引き交渉」をすることも大切です。
特に複数社から見積りを取っている場合、他社の価格を伝えることで柔軟に対応してくれる業者も少なくありません。
たとえば、「他社では○万円だったので、こちらで対応可能でしょうか？」という形で相談すれば、数千円〜数万円の値引きが期待できることもあります。
また、作業の一部を自分で行う代わりに費用を下げてもらう提案も効果的です。
値引きは失礼ではなく、実際に多くの利用者が行っている方法です。
丁寧かつ根拠を持って交渉を行えば、納得のいく料金で依頼できる可能性が高まります。
実家じまいをお考えならアルバリンクに売却
実家じまいを進める中で、「早く売却したい」「不動産会社とのやりとりが面倒」などと感じませんか？
そんな方におすすめなのが、買取専門業者への売却です。
遺品整理や不用品の処分、必要書類の取得サポートなどもワンストップで提供しており、実家じまい全体の流れを一括して任せられるのが大きな魅力です。
また、老朽化した住宅や空き家、相続した物件など、一般的な不動産会社では売却が難しい物件でも、「直接買い取り」という形でスムーズに対応してくれます。
査定は無料、最短即日で見積りを提示してくれるため、時間的・精神的な負担を大きく軽減できるでしょう。
弊社「株式会社Alba Link（アルバリンク）」は、日本全国の空き家などの売却しづらい物件を積極的に買い取っている不動産買取業者です。
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実際に、廃墟化した空き家の買取も過去におこなっており、フジテレビの「イット」をはじめ、多くのメディアに特集されています。
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まとめ
この記事では、「実家じまい」にかかる費用の相場や内訳、税金面での注意点、さらに費用を抑えるための具体的な節約術について解説しました。
実家じまいは感情的にも経済的にも負担が大きい作業ですが、しっかりと知識を持つことでスムーズに進行できます。
無駄な出費を避けるためにも、計画的な準備と賢い業者選びを意識することが大切です。
実家の整理をお考えの方は、この記事を参考にまずは見積もりを取るところから始めてみましょう。
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