不動産売買は認知症でも委任状があればできる?
結論から言えば、本人に一定の判断能力があれば、委任状を通じて売買契約を締結することは可能です。
特に高齢化が進む現在、認知症の進行度によって対応方法を検討する必要があります。
例えば、軽度認知症(MCI)の段階であれば、医師の診断書などで意思能力を証明できることも多く、本人が信頼する代理人に委任することで不動産売却などの法律行為が実現できます。
ただし、判断能力が著しく低下している場合は、家庭裁判所による成年後見制度の活用が必要になる可能性があるため、慎重な判断が求められます。
本章では、以下の3つの観点から、不動産売買における委任状の有効性について解説します。
- 認知症の委任状は判断能力がカギ
- 委任状に記載する内容と作成時の注意点
- 委任状が無効になるケースもある
認知症の委任状は判断能力がカギ
認知症の方が不動産の売却などを委任状で進める場合、最も重要なのは本人の判断能力が確保されていることです。
判断力が不十分な状態では、委任状の有効性が問われる可能性が高くなります。
具体的には、医師による診断書や鑑定結果を通じて、本人が契約や意思決定を理解していることを証明する必要があります。
症状が軽度の段階であれば、委任状による代理での売買契約が可能ですが、進行度によっては成年後見制度や任意後見制度の申立てが必要です。
判断能力の有無は委任状の効力に直結するため、トラブルのリスクを避けるためには、家族や専門家と連携し、認知症の進行状況を踏まえた法的対応を取ることが不可欠です。
また、認知症は時間とともに進行する病気のため、早めに売却の準備を進めることが望まれます。
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委任状に記載する内容と作成時の注意点
不動産売買を委任するための委任状には、目的・範囲・代理人の権限などを明確に記載することが必要です。
特に認知症の方の財産を取り扱う場合、記載内容が不十分だと契約自体が無効になるリスクがあります。
例えば、具体的な物件情報、契約内容、代理人の行為範囲などを明記する必要があります。
また、署名や押印には本人の意思能力が必要なため、作成時には医師の診断や立会人の存在が信頼性を高めます。
さらに、信頼できる弁護士や司法書士に依頼することで、法的に有効な書類を作成できます。
委任状の作成時には、将来の意思能力低下も見越し、任意後見契約などとの併用を検討することも重要です。
委任状が無効になるケースもある
委任状があるからといって、すべての不動産売買がスムーズに行えるとは限りません。
本人の意思能力がない状態で行われた法律行為は無効とされるため、委任状としての効力も認められない可能性があります。
委任状が無効になると、不動産売買の取引そのものが権限のない代理行為(無権代理)になり、買主とのトラブルや損害賠償の問題にも発展しかねません。
認知症の進行状況を正確に評価したうえで、無効リスクが高いと判断される場合は、次章で解説する成年後見制度の利用を検討することが、当事者双方の利益を守る確実な方法です。
なお、判断能力があるうちなら、任意後見や家族信託といった制度で事前に対策することも可能です。詳しくは、認知症になる前にできる不動産売買の対策 で解説します。
認知症で委任状が使えない場合に不動産売買する方法|成年後見制度の活用
前述の通り、認知症が進行し、本人の意思能力が不十分と判断されると、委任状による不動産売却は無効とされる可能性があります。
そうした状況でも、成年後見制度を活用すれば、法的に正当な方法で不動産売買を進めることが可能です。
例えば、重度の認知症で判断能力が欠如しているケースでも、家庭裁判所が成年後見人を選任し、後見人が本人の代わりに不動産の処分や契約を行うことができます。
令和5年度の最高裁判所事務総局家庭局によると、成年後見制度(成年後見のほか、保佐・補助)の申立件数は約40,951件にのぼり、多くの家庭で活用されています。
参照元:最高裁判所事務総局家庭局
認知症によって委任状が使えない場合には、成年後見制度の活用を早期に検討し、専門家の助言を得ながら準備を進めることが安心・確実な対策です。
成年後見制度の概要と利用条件
認知症などで意思能力が著しく低下した場合に活用されるのが「成年後見制度」です。
これは、本人に代わって法律行為を行う成年後見人を家庭裁判所が選任する制度で、財産の管理や契約の締結などを代理で行うことができます。
利用条件としては、医師の診断書や家庭裁判所への申立てが必要です。
本人が判断力を欠く常況にあることが医学的に認められた場合、法定後見が開始されます。
令和5年度の最高裁判所事務総局家庭局によると、申立ての6割以上が認知症によるもので、本人の財産保護と身上保護が目的であるケースが多いと報告されています。
参照元:最高裁判所事務総局家庭局
制度の目的は、本人の意思や生活を尊重しながら、不動産などの重要な財産を正当かつ安全に処分することです。
特に居住用不動産の売却のような法律行為には後見人の慎重な判断が必要で、裁判所の許可も求められます。
本人の財産を保護しつつ、不動産の売却を実現する手段として成年後見制度は非常に有効です。
不動産売却までの流れ
成年後見制度を活用して不動産を売却する場合、明確な手順を踏む必要があります。
基本的な流れは以下のとおりです。
- 家庭裁判所へ成年後見人選任の申立てを行う
- 裁判所により成年後見人が選任される
- 家庭裁判所に不動産売却の許可を申請(通常、1週間~1ヶ月程度)
- 許可が下りたら、媒介契約・売買契約を後見人が代理で締結
- 売買代金の受領、所有権移転登記、引渡しを後見人が実施
この一連のプロセスは、一般的な売却よりも時間と費用がかかりますが、本人の財産を守りつつ安全に取引を完了させるための重要な流れです。
制度の流れを正しく理解し、弁護士や司法書士など専門家の助言を得ながら進めることが、成功のカギとなります。
成年後見制度を利用する際の注意点やデメリット
成年後見制度は、判断能力が低下した方を法的に支援できる有効な制度ですが、利用にあたってはいくつかの注意点やデメリットも存在します。
実際に制度を利用する中で、次のような課題を感じるケースも少なくありません。
- 本人の意思が制限される
後見人が財産管理や契約を代理するため、本人や家族が不便を感じることがある - 手続きに時間がかかる
後見人の選任や売却許可に裁判所の判断が必要なため、急ぎの売却には向かない - 費用の負担がある
申立て費用、医師の鑑定費用、後見人への報酬など、一定の金銭的負担が発生する
また、成年後見制度利用に関するアンケート調査結果によると、利用者の約30%が「制度が分かりにくい」と感じているとの結果もあります。
参照元:平成27年度 成年後見制度利用に関するアンケート調査結果|横浜市社会福祉協議会
制度には一定の制約や負担も伴うため、制度の仕組みをよく理解し、家族や専門家と相談しながら慎重に判断することが求められます。
なお、施設入居や資金の確保を急ぐ場合は、手続きに時間を要さずに売却できる不動産買取業者への相談も一つの選択肢として検討するとよいでしょう。
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認知症になる前にできる不動産売買の対策
認知症が進行すると、本人の判断能力が低下し、不動産の売却や契約行為が困難になります。
そのため、認知症になる前に適切な対策を講じることが、トラブル回避と資産の有効活用につながります。
認知症になる前に、意思決定の権限を他の人に託す方法として、次のような選択肢があります。
- 任意後見制度を活用する
- 家族信託を活用する
- 生前贈与して備える
それぞれ仕組みや使い方が異なるため、親の希望や家庭の事情に合わせて、適切な方法を検討しましょう。
任意後見制度を活用する
任意後見制度は、認知症などで意思能力が一定以下に低下する前に、代理人(任意後見人)を本人の意思で選び、将来の代理内容を契約で定めておく制度です。
判断能力が低下した際は、家庭裁判所が任意後見監督人を選任することで契約が効力を持ち、任意後見監督人の監督のもと、後見人が代理行為を行えるようになります。
参照元:厚生労働省
例えば、自宅や土地の売却を希望していた場合、その後に認知症が進んでも代理人により計画どおりに手続きを進めることが可能です。
ただし、任意後見契約の締結には本人の判断能力が必要なため、軽度認知症の段階や症状の兆候が出る前に準備を始めることが望ましいです。
弁護士や司法書士などの専門家と連携し、制度を正しく理解したうえで、早めに公正証書を作成しておきましょう。
家族信託を活用する
家族信託は、本人の財産管理や不動産の売却などを、信頼できる家族に託すことで柔軟な資産運用を可能にする制度です。
認知症によって意思能力が低下しても、信託契約が有効であれば、家族が不動産売却などをスムーズに行うことができます。
たとえば、親が自宅を所有していて、将来介護施設に入居する可能性がある場合、信託契約に基づいて子どもが売却や運用を代行することが可能になります。
この制度は、成年後見制度のように裁判所の関与を必要とせず、自由度の高い運用が可能です。
ただし、信託契約は法律的に複雑で、目的・受託者の権限・不動産の範囲などを明記する必要があるため、司法書士などの専門家の支援が欠かせません。
契約内容が不十分だと後のトラブルを招く可能性があるため、慎重に進めましょう。
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生前贈与して備える
将来的に不動産を相続させたい家族が決まっている場合、生前贈与によって名義を変更しておくことも有効な対策です。
本人の意思能力があるうちに贈与契約を結び、子どもや親族へ不動産を譲渡しておくことで、認知症による売買不能リスクを回避できます。
この方法のメリットは、所有権を早期に移転できることで、将来の名義変更や売却がスムーズに行える点です。
また、共有名義によるトラブルを防ぎやすくなり、財産の管理が明確になります。
一方で、生前贈与には贈与税が発生する可能性があるほか、不動産の価格評価や登記費用などのコストも考慮する必要があります。
制度の正確な理解と節税対策を行うために、税理士や司法書士に相談しながら進めることが重要です。
認知症の親の不動産売買でよくあるトラブルと予防策
認知症の親名義の不動産を売却しようとする際、家族が思わぬトラブルに直面することがあります。
ここでは、起こりがちなトラブルと、それを未然に防ぐための具体的な対策を紹介します。
委任状の無効による契約トラブル
不動産売買において委任状は重要な書類ですが、認知症による意思能力の低下がある場合、委任状が無効とされる可能性があります。
たとえば、親が軽度の認知症を患っている段階で署名した委任状が、後に「本人が契約内容を十分に理解していなかった」と判断され、売買契約が無権代理だったと判断されるケースがあります。
こうした事態を防ぐためには、以下のような対策が有効です。
- 委任状作成時に医師の診断書を用意し、本人の判断能力を客観的に証明する
- 弁護士や司法書士の立ち会いのもとで委任状を作成する
- 判断能力の低下がみられる場合は、任意後見制度や成年後見制度の利用を検討する
委任状の取り扱いには慎重を期し、本人の判断力と契約書類の有効性を客観的に証明できる体制づくりが、トラブル予防のカギとなります。
売却後の資金管理や名義変更による親族間トラブル
不動産を売却した後の資金管理や名義変更を巡って、親族間のトラブルが発生することは少なくありません。
特に認知症の親に代わって財産を管理する家族がいる場合、他の兄弟姉妹との間で「使い道が不透明」「利益が不平等」といった不満が起こりやすくなります。
たとえば、売却代金を代表者である子どもが管理していたところ、別の兄弟から「親の利益を無視している」と主張され、訴訟トラブルに発展するケースも。
不動産の名義変更後に「誰が所有権を持つべきか」についても争いが起きやすく、家族関係に深刻な影響を与えることもあります。
このような事態を未然に防ぐには、売却前の段階から以下のような対策を講じることが大切です。
- 家族間で話し合い、「資金の使途」や「所有権の取り扱い」を文書で明確にしておく
- 任意後見人や成年後見人を選任し、第三者の監督を入れる
- 司法書士や弁護士などの専門家に関与してもらい、法的な正当性を担保する
こうした事前の備えと専門家のサポートにより、親族間の誤解や感情的な衝突を最小限に抑えることが可能です。
また、不動産の資産価値や売却の可否を把握しておくことも、後のトラブルを防ぐうえで欠かせません。
スムーズな対応のためにも、早めに不動産会社へ相談し、査定を受けておくと安心です。
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「空き家」や「事故物件」「再建築不可物件」の他に「田舎の土地」「共有持分」にも対応可能です。
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認知症の親の不動産売買に不安があるなら専門家に相談を
認知症の親の不動産売却に不安がある場合は、弁護士や司法書士、不動産会社などの専門家に早めに相談することが大切です。
専門家に相談することで、事前の備えから認知症が進行した後の対応まで、状況に応じた具体的なアドバイスを受けられます。
資金管理や名義変更も、法的に正しく進めることができるため、トラブルの予防にもつながります。
相談先を選ぶ際は、相続や高齢者の不動産売却に詳しく、実績のある専門家を選ぶと安心です。
特に、法律の専門家と連携している不動産会社であれば、ワンストップでの対応が可能なため、よりスムーズに手続きを進められます。
本人と家族の利益を守るためにも、早い段階から信頼できる専門家の力を借りることが大切です。
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認知症による不動産売買に不安を感じているなら、早めに専門家の力を借りることが大切です。
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まとめ
認知症の方の不動産売買においては、「委任状があれば可能」と一概には言えず、本人の判断能力の有無が大きなポイントとなります。
判断能力が低下している場合、委任状は無効とされ、売買契約が成立しないリスクがあります。
また、成年後見制度の利用も選択肢の一つですが、手続きが煩雑で時間と費用がかかるうえ、資産管理に対する自由度が制限されることもあります。
こうしたリスクを回避する方法としては、早期に不動産を売却しておくことが有効です。
特に、認知症が進行する前に売却を進めておけば、手続きもスムーズに行えるうえ、家族間のトラブルも防ぎやすくなります。
売却を検討する際は、信頼できる不動産買取業者に依頼することで、迅速かつ確実に取引が進められ、トラブルの発生も最小限に抑えることができます。
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