家の地盤や災害リスクに不安を感じる人は56.2%
現在お住まいの家の地盤や災害リスクに不安を感じるかを聞いたところ、「かなり感じる(9.2%)」「少し感じる(47.0%)」が合わせて56.2%でした。
半数以上と、多くの人が住宅の災害リスクについて不安を感じていることがわかりました。
家の地盤や災害リスクで不安に感じることは「川が近い」
「家の地盤や災害リスクで不安に感じること」の1位は「川が近い(25.0%)」、2位は「地震による被害(19.2%)」でした。
3位「土砂災害(8.6%)」、4位「豪雨災害(8.2%)」、5位「台風による被害(4.8%)」が続きます。
「川が近い」「南海トラフ地震の被害想定エリアである」「土砂災害の可能性がある」など、ハイリスクな自然環境が身近にあることへの不安が大きな割合を占めています。
日本は災害が多い国なので、災害が起きやすいエリアや、災害が起きたときに被害が広がりやすいエリアに住んでいることで、不安になるのですね。
また台風や大雨などはどこに住んでいても被害を受ける可能性があります。
1位 川が近い
- すぐ近隣に一級河川があり、上流にはエリアの中でも大きなダムがあります。地方的にも台風や大雨による水害が発生するエリア(九州地方)なので、川の氾濫などがとくに心配です(30代 男性)
- 近くに大きな川があり、川との高低差を考えた場合に、浸水が想像できるためです(40代 男性)
- 近くに川があること。最近ハザードマップが更新されて、住んでいる家は1メートルくらい水没する予想になっています(50代 女性)
1位は「川が近い」でした。
川が近いと、大雨が降ったときに川の氾濫によって浸水するリスクが高まります。
大きな川が近いので不安という人もいましたが、小規模な川・水路でも雨天時には増水して勢いが増し、危険を感じることも。
近くに川があることは、購入前に地図やハザードマップを見ればわかります。
ただハザードマップが更新されることもあり、住み始めてから危険度の想定が上がった例も。
また、単に川が近くにあることだけではなく、「川の上流にあるダム」や「川との高低差(住宅のほうが川より低いなど)」について考慮し、不安を感じている例もありました。
反対に「川は近いけど、新しい堤防ができたので不安はない」という声も。
河川整備の状況も、住民不安に影響を与えるとわかります。
2位 地震による被害
- 地震が多い地域なので、家が崩れないか不安(20代 女性)
- 現在の住まいがある地区は水田だったことを後から知った。そのため地震の際に液状化しないか心配(40代 男性)
- 震度3程度の地震でも結構揺れを感じるため。免震構造のマンションではないので、実際に大規模な地震が起きたときの被害が未知数である(40代 男性)
2位は「地震による被害」でした。
地震によって、家の倒壊や傾き、津波、火災、水道管の破損など、多くの被害が起こりえます。
とくに「地震の多い地域」「建物が古く、耐震性が低い」などの要素があると、地震への不安が大きくなるとわかります。
住み始めてから、液状化の可能性に気づいて心配している人もいました。
国土地理院のウェブサイトやハザードマップなどで、現在把握されている断層の有無や液状化の可能性を調べられます。
水道管が古い地域の場合は断水などのリスクもあるため、普段から緊急時に備えて水などをストックしておくことも大切です。
3位 土砂災害
- 家の裏に標高200m程度の山があり、竹藪が広がっているので、山火事と豪雨の際の山崩れがとても不安です。所有者が管理してくれず、竹が生え放題で、台風で竹が家側に倒れてくることもあります。自治会で伐採を行っていますが、ご近所さんは高齢の人も多いので大変です。ハザードマップでは危険度が低くても、住んでみないとわからない危険はありました(30代 女性)
- マンション購入後に東日本大震災があり、敷地の一部が土砂災害警戒区域に指定された(40代 女性)
- 数年前に自宅から数キロ離れた場所で大雨による土砂崩れが発生しており、マンションの裏手には山が迫っているから(60代以上 男性)
3位は「土砂災害」です。
大雨によって引き起こされた土砂災害(がけ崩れや土石流)のニュースを聞くことも、多くあります。
「崖の近く」「山のふもとや谷沿い」「山を削ってつくった、高台の造成地」などでは、土砂災害のリスクが高まります。
そのため、地形的に土砂災害が予想される土地や土砂災害への警戒が必要な地域に住んでいて、不安を感じている人もいました。
ハザードマップで指定されているだけではく、実体験として、水が湧き出すのを見たり山からの音を聞いたりして、不安を感じている人も。
住宅購入後に災害警戒区域に指定されるなど、購入時には気づかなかったリスクが後から発覚して、不安を抱くケースもありました。
4位 豪雨災害
- 最近大雨などが多いので、近くに川がなくても、浸水などの可能性はあるので不安(30代 女性)
- ハザードマップでリスクが低いと表示はあるものの、数メートル先の地点では高リスクとなっている。最近の雨量では、山から流れ出る水の量が想定を超えてきている(40代 男性)
- 昨今の異常気象に伴う豪雨は、尋常ではありません。今まで水が来たことはありませんが、不安ではあります(60代以上 男性)
4位は「豪雨災害」でした。
集中豪雨などの大雨は、河川の氾濫や土砂災害などにつながります。
近くに川や山がない都市部でも、雨水の排水が追いつかずに冠水したり、マンホールから水があふれたりする可能性があります。
なお豪雨災害については、「最近は大雨が多い」「降り方が異常」など、雨の降り方に変化を感じ、不安を強めている人も多いのが特徴です。
今までは大きな水害がなかった地域やハザードマップでは低リスクの地域でも、今後は大きな水害が起こりかねないという不安をもつ人が多いことを、示しています。
5位 台風による被害
- 台風で浸水した(20代 女性)
- 台風で家の屋根が飛んだ(30代 女性)
- 水害や大震災クラス以外の地震などの心配はありません。ただ台風などの強風は、住宅などの端材や木の枝とかが飛んで来たらどうしようもないので、心配です(50代 女性)
「台風による被害」が5位になりました。
台風は日本全国どこにいても体験する可能性のある災害であり、台風が直撃しなくても被害を受ける可能性があります。
台風で心配な被害としては、「強風によって物が飛んでいったり飛んできたりする」「大雨が降って住宅が浸水する」などが挙げられました。
実際に台風で被害を受けた人もいれば、大きな被害にはつながらなかったものの、ドアや窓の揺れる音で恐怖を感じた人もいます。
また近隣から物が飛んでくる場合には、家を買う時点では被害の予想がつかず、防ぎにくいのも特徴です。
家を購入する際に地盤や災害リスクについて調べた人は67.0%
家を購入する際に地盤や災害リスクについて調べたかを聞いたところ、「十分に調べた」と回答した人は23.0%でした。
「ある程度調べた(44.0%)」も合わせると、67.0%が調べたとわかります。
一方で「あまり調べなかった(24.2%)」という人も多く、調べ方の程度については個人差がありました。
地盤や災害リスクについて調べた理由
地盤や災害リスクについて調べた335人に「地盤や災害リスクについて調べた理由」を聞いたところ、圧倒的1位は「リスクの高い土地だと思った(24.8%)」でした。
以下、2位「災害が増えている(10.7%)」、3位「長く住みたい(9.6%)」、4位「高い買い物である(7.2%)」、5位「被災経験がある(6.0%)」の結果です。
- 一生住む場所なので、「絶対に大丈夫」と安心できるところにしたいと思ったから(30代 女性)
- 東北出身で、東日本大震災のときに被災しているから。液状化などを実際目にしたため、意識が高い(30代 女性)
- 大きな買い物だったから。首都直下地震が今後関東で発生する可能性があるため、できる限りリスクケアをしたかったからです(30代 男性)
- 河川の近くであり、「地震時の液状化」及び「大雨時の河川氾濫」の可能性があったため、地域のハザードマップや古地図での土地利用の履歴を調査した(40代 男性)
- 近年は災害級の豪雨が多く、川や山の近くではなくても、道路が冠水して床上浸水などの住宅被害が起こっている。地震も頻繁に起こっているので、自分たちもしっかりと災害リスクに関して調べなければいけないなと思った(50代 女性)
回答結果からは「マイホームに長く安心して住みたい」という強い思いと、災害の多い日本に対する不安が見て取れます。
一生住む家で高い買い物だから、災害リスクについて調べずに後悔したくないと考えるのですね。
せっかく気に入った場所に素敵なマイホームを購入しても、被災してしまっては、住み続けられなかったり修理費用がかかったりする可能性があります。
地震や台風などの自然災害が多く発生する日本に長く住むことを考え、できるだけ災害リスクを減らしたいと考える人が多くなりました。
自身や身近に被災経験があり、災害リスクに対する意識が高まっている人もいました。
地盤や災害リスクについて調べなかった理由
地盤や災害リスクについて調べなかった165人に「地盤や災害リスクについて調べなかった理由」を聞いたところ、1位は「知っている土地だった(21.2%)」、2位「深く考えなかった(18.2%)」、3位「不動産業者に任せた(17.0%)」でした。
- 山が近いので津波などは心配せず、あまり調べなかった(30代 女性)
- 災害に対する意識が低くて、調べることをしなかったから(30代 女性)
- 実家の近くで、昔なじみの土地だから。「川の近くでもなく、低い土地でもなく、平坦なところだから」という両親の言葉を信じて、「大丈夫だろう」と考えて何も調べませんでした(40代 女性)
- 大手不動産屋が売り主になっているマンションなので、信用して購入した(40代 男性)
- 家を購入するときに、地盤や災害リスクについて考えるより、家の価格を優先して考えたためです(60代以上 男性)
慣れや思い込みに基づく自己判断をした結果、災害リスクについてしっかり調査しなかった人が目立ちました。
実家の近くや実家の敷地内に家を建てるなどの場合は、「知っている土地だから安心」「過去に大きな災害にあったことはないとわかっているし、大丈夫」という思い込みが起こりやすくなります。
「深く考えなかった」「価格や立地の利便性など他の条件を優先した」など、災害リスクをあまり重要視しない姿勢も特徴的です。
また不動産業者やマンションの売り主に調査を任せており、自分では調べなかったという人もいました。
まとめ
家を購入した人の多くが、「長く住むから」「高い買い物だから」「家族の命を守るため」という理由で、地盤や災害リスクに対して一定の調査を行っています。
ただ購入時に災害リスクを調査した人でも、自然災害の多い日本においては、不安を完全に拭い去ることは難しいという実情も浮かび上がりました。
とくに「川が近い」「土砂災害が起こりそうな山の近くに住んでいる」など、災害リスクが高い場所では不安が大きくなりやすいと推測できます。
なお今回のアンケートでは、「家を買ったのが昔なので、当時は災害リスクを考えるなんて、一般的ではなかった」「雨の降り方が年々激しくなっている」といった時代や気象の変化についての言及も見られました。
災害リスクを深く考えずに購入し、住んでから災害リスクについて知って心配している人や、住んでみたら家の前がよく冠水して困っている人もいます。
買ってから後悔しないように、気象の変化や近年の災害を基にした新たな知見などを踏まえ、住宅の災害リスクについて十分に考える必要があると言えます。