「10年超所有軽減税率の特例」適用条件と手続き方法

空き家の税金

「10年超所有軽減税率の特例」とは、不動産を売却した際の譲渡所得税を軽減できる特例措置のことです。

長期間所有した土地や建物を売却する際、一定の条件を満たせば税負担を軽減できる制度です。

しかし、この特例を適用するには一定の要件を満たす必要があります。

本記事では、特例の概要や適用条件、併用可能な制度、さらには具体的な税額シミュレーションまで詳しく解説します。

特例を最大限活用し、節税を成功させるためのポイントをチェックしましょう。

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10年超所有軽減税率の特例とは?

10年超所有軽減税率の特例

10年超所有軽減税率の特例とは、不動産を10年以上所有した場合に適用される税負担軽減の制度です。

この特例を適用した場合、譲渡所得のうち6,000万円以下の部分に対しては、税率14.21%が課されます。

特例を適用しない場合の税率(所有期間5年超)である20.315%と比べて、6%近く税負担が軽減されます。

10年超所有軽減税率の特例を利用すれば、売却後に手元に残る利益が多くなります。

譲渡所得とは?

譲渡所得とは、不動産や株式などの資産を売却した際に得られる利益のことを指します。

具体的には、売却価格から取得費(購入時の価格や諸経費)と譲渡費用(仲介手数料など)を差し引いた金額が譲渡所得となります。

計算式は以下の通りです。

譲渡所得 = 譲渡価格 -(取得費 + 譲渡費用)

例えば、5,000万円で購入したマイホームを8,000万円で売却し、売却にかかった諸費用が500万円だった場合、譲渡所得は次のように計算されます。

8,000万円 -(5,000万円 + 500万円)= 2,500万円

この譲渡所得に対して税金が課されます。

なお、税率は不動産の所有期間によって適用される税率が異なります。

所有期間5年以下 所有期間5年超
39.63% 21.315%

マイホームの売却を検討する際は、譲渡所得の計算方法や税率の違いを理解し、より有利な条件で売却できるよう計画を立てることが重要です。

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10年超所有軽減税率の特例の適用要件は?

買取業者に相談

10年超所有軽減税率の特例を利用するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。

主な適用条件は以下の通りです。

売却する不動産の所有期間が10年以上であること

所有期間は、売却した年の1月1日現在で10年を超えているかどうかで判断されます。

例えば、2015年12月に取得した不動産を2025年2月に売却した場合、1月1日時点で10年を超えていないため特例の適用はできません。

売却する不動産が居住用財産(マイホーム)であること

一般の投資用不動産や事業用不動産は対象外です。

土地や建物がマイホームとして利用されていた場合に限り、特例が適用されます。

前年・前々年に「3,000万円の特別控除」の適用を受けていないこと

この特例は、過去2年間に「3,000万円の特別控除」を利用している場合、適用ができません。

つまり、特別控除を利用した直後に再度適用を受けることはできないため、計画的な売却が求められます。

確定申告を行うこと

10年超所有軽減税率の特例を受けるためには、確定申告の際に必要な書類を提出する必要があります。

例えば、売買契約書の写しや登記簿謄本などが求められます。

この特例を利用することで、譲渡所得に対する税金が大幅に軽減されます。

不動産を売却する際は、適用要件をしっかり確認し、計画的に手続きを進めることが大切です。

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10年超所有軽減税率の特例と併用できる特例

3000万円特別控除と併用できる

10年超所有軽減税率の特例は、他の特例と併用できる場合があります。

不動産売却時の税負担をさらに抑えるために活用できる制度があるため、適用条件を理解し、上手に活用することが重要です。
1. 3,000万円の特別控除
これは、不動産を売却した際に譲渡所得から最大3,000万円まで控除できる特例です。

10年超所有軽減税率の特例と併用することで、3,000万円を超えた部分についてのみ軽減税率が適用されます。

例えば、譲渡所得が5,000万円の場合、3,000万円を控除した後の2,000万円に対して、6,000万円以下の部分は14%、超過部分は20.315%の税率で課税されます。

2. 居住用財産の買換え特例(課税繰延制度)
自宅を売却し、新たに住宅を購入する場合、売却益に対する課税を将来に繰り延べることができます。

ただし、この特例を適用すると、10年超所有軽減税率の特例とは併用できません。

そのため、どちらの制度を利用する方が税負担が少なくなるか、慎重に比較する必要があります。

3. 特定の居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除
不動産売却で損失が出た場合、その損失を他の所得と相殺(損益通算)できる制度です。

この制度は住宅ローンの残債がある場合に適用されることが多く、特に売却損が発生した際に有効です。

10年超所有軽減税率の特例とは性質が異なるため、適用可能なケースが限られます。

このように、併用できる特例を活用することで、不動産売却時の税負担を最小限に抑えることが可能です。

どの制度を適用するのが最適か、専門家に相談するのも一つの方法です。

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10年超所有軽減税率の特例と併用できない特例

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10年超所有軽減税率の特例は税負担を軽減する有利な制度ですが、併用できない特例もあります。

誤って適用できない制度と併用しようとすると、税務上のトラブルになる可能性があるため注意が必要です。

1. 居住用財産の買換え特例(課税繰延制度)

前述のとおり、新しく住宅を購入する場合に売却益の課税を繰り延べられる制度ですが、10年超所有軽減税率の特例とは併用できません。

どちらか一方の選択が必要になります。

2. 相続財産に係る譲渡所得の取得費加算の特例

親や親族から相続した不動産を売却した場合、相続税額の一部を取得費として加算できる特例です。

この制度を利用すると、譲渡所得自体が減るため、10年超所有軽減税率の特例の適用対象外となります。

3. 低未利用土地等を譲渡した場合の特例

小規模な未利用土地の譲渡所得税を軽減する制度ですが、10年超所有軽減税率の特例とは併用できません。

これらの制度を利用する場合は、どれが最も税負担を抑えられるか事前にシミュレーションし、適切な選択をすることが重要です。

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10年超所有軽減税率の特例を適用した際の譲渡所得税のシミュレーション

譲渡所得の計算方法

不動産を売却した際に得た利益(譲渡所得)には税金がかかりますが、10年以上所有した不動産には「10年超所有軽減税率の特例」が適用できる可能性があります。

この特例を使うと、

譲渡所得6,000万円以下の部分には14.21%
6,000万円を超える部分には20.315%

の税率が適用されます。

通常の長期譲渡所得税率(21.315%)よりも税額が軽減されるため、売却時の税負担を抑えることができます。

ここでは、実際にどのくらいの税額になるのか、3つのケースでシミュレーションしてみましょう。

ケース①:譲渡所得1,000万円・所有期間12年

譲渡所得が1,000万円の場合、全額が6,000万円以下の部分に収まるため、14%の税率が適用されます。

支払う税金の合計:1,000万円 × 14.21% = 142.1万円

ケース②:譲渡所得4,000万円・所有期間12年

この場合も、譲渡所得の全額が6,000万円以下の範囲内なので、14%の税率が適用されます。

支払う税金の合計:4,000万円 × 14.21% = 568.4万円

ケース③:譲渡所得1億円・所有期間12年

譲渡所得が1億円になると、6,000万円までは14.21%の軽減税率が適用され、それを超える4,000万円には20.315%の税率が適用されます。

6,000万円部分の計算:6,000万円 × 14.21% = 852.6万円
6,000万円を超えた部分の計算:4,000万円 × 20.315% = 812.6万円
支払う税金の合計:852.6万円+812.6万円=1,665.2万円

このシミュレーションの結果から、10年超所有軽減税率の特例を適用することで、通常の長期譲渡所得税率(21.315%)よりも税額を大幅に抑えられることがわかります。

特に譲渡所得が大きい場合、この特例を活用することで節税効果が大きくなります。

不動産を売却する際は、この特例を適用できるかどうかを事前に確認し、税負担を最小限に抑えるための計画を立てることが大切です。

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10年超所有軽減税率の特例の手続き方法

確定申告

10年超所有軽減税率の特例を適用するためには、マイホームを売却した翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告が必要です。

申告には以下の書類が必要になります。

  • 売買契約書の写し
  • 登記事項証明書
  • 確定申告書Bおよび譲渡所得の内訳書

必要書類をそろえたら、確定申告書とともに提出、譲渡所得税を納めます。

直接窓口に持参するほか、e-Tax(オンライン申告)や郵送での提出も可能です。

申告を忘れてしまうと、特例が適用されないため、期限内に申告を完了させましょう。

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10年超所有軽減税率の特例を利用する際の2つの注意点

10年超所有軽減税率の特例10年超所有軽減税率の特例を適用する際には、いくつかの重要なポイントに注意が必要です。

特に、所有期間の計算方法、過去の特例適用状況、確定申告の手続きについて正しく理解していないと、特例が適用されない可能性があります。

それぞれ詳しく解説します。

所有期間の数え方

所有期間の計算は、不動産を売却した日ではなく、その年の1月1日現在で何年所有しているかによって判断されます。

この点を誤解すると、「10年以上所有しているつもりだったのに適用されなかった」という事態になりかねません。

例えば、2015年12月に購入した不動産を2025年2月に売却した場合を考えてみましょう。

所有期間を単純に計算すると約10年2か月のように思えますが、判定基準となるのは2025年1月1日時点の所有期間です。

この時点ではまだ9年1か月しか経過していないため、10年超所有軽減税率の特例は適用されません。

そのため、不動産を売却する際には、所有期間が10年を超えているかどうかを事前に確認し、適用条件を満たすタイミングで売却するよう計画することが大切です。

前年・前々年に適用を受けていないこと

10年超所有軽減税率の特例は、前年、前々年に同じ特例を適用したことがある場合は利用できません。

例えば、2023年にマイホームを売却し、3,000万円の特別控除を適用した場合、2024年および2025年に売却する不動産には、10年超所有軽減税率の特例を適用することができません。

2026年以降になれば適用可能になります。

したがって、不動産を売却する際には、過去2年間に特例を利用していないかどうかを確認し、適用条件を満たすタイミングで売却するようにしましょう。

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空き家を持ち続けると管理費や固定資産税がかかるだけでなく、老朽化も進んでしまいます。

売却を検討している方は、この特例を活用できるか確認し、賢く手続きを進めましょう。

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まとめ

この記事では、「10年超所有軽減税率の特例」について解説しました。

本特例を利用することで、長期間所有した不動産を売却する際に譲渡所得税の負担を軽減できます。

ただし、適用要件を満たす必要があり、他の特例との併用可否にも注意が必要です。

シミュレーションを参考に、自身のケースでどの程度の税負担になるのかを確認し、手続き方法を理解しておきましょう。

また、所有期間の数え方や確定申告の必要性など、重要なポイントを見落とさないようにしましょう。

適用できるか不安な場合は、専門家に相談し、賢く活用してください。

この記事の監修者

株式会社AlbaLink 代表取締役 河田 憲二

株式会社AlbaLink社長の河田憲二です。弊社は空き家やなど訳あり物件の買取再販を行う不動産業者です。弊社が運営しているサービスサイトである「訳あり物件買取プロ」の運営者も務めています。同社は東京証券取引所東京プロマーケット市場にも上場している不動産会社になります。

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