二世帯住宅に住みたいと思う人は35.6%
既婚男女500人に「二世帯住宅に住みたいか」を聞いたところ、「住みたい(住んでいる)(6.8%)」「条件によっては住みたい(28.8%)」と答えた人は、合わせて35.6%でした。
無条件で住みたいと考えている人は1割に満たないことから、二世帯住宅には慎重な姿勢を示す人が多いとわかります。
二世帯住宅に住みたくない理由1位は「気を使う」
二世帯住宅に住みたくないと答えた322人に理由を聞いたところ、1位は「気を使う(32.6%)」、2位は「プライバシーを確保できない(24.2%)」、3位は「干渉されたくない(17.4%)」でした。
二世帯住宅に対して「自分の自由や心の安定が脅かされる」という懸念が強いとわかります。
物理的に親子が近くなるがゆえに、それぞれの精神的な自立が脅かされて、対人関係のストレスが生まれやすいと懸念されているのですね。
1位 気を使う
- いくら義両親がいい人でも、お互いに気を使いそうだから(30代 女性)
- 正直、二世帯住宅は無理だと思う。自分の親だったらまだ気が楽だけど、義理の親だとそうはいかない。嫌いじゃないけど、生活スタイルとか細かいことで気を使うし、気疲れするのが目に見えてる(40代 男性)
- いつ自分たちの生活エリアに訪問してくるかわからないので、24時間気を抜けないから(50代以上 女性)
1位は「気を使う」でした。
リラックスできるはずの家にいるのに、両親・義理の両親に気を使ってしまうことで、緊張状態が続いてストレスだと考える人が多数。
両親との関係が悪いわけではなくても、「習慣や考え方の違いなどから、気を使って疲れてしまうのでは」という懸念が根強いとわかります。
気を使う具体的なシーンとしては、「上下階にわかれて自分たちが上の階だと、足音がうるさくないか気を使う」「外出するとき、誘ったほうがいいのか悩む」などが挙げられました。
家族とはいえ、別の世帯が一緒に住むわけなので、まったく気を使わずにいられる状態になるのは難しいとわかります。
とくに義理の両親と同居する人にとっては、気づまりだろうと推測できます。
2位 プライバシーを確保できない
- プライバシーが気になり、夫に甘えたくても甘えづらいなと思う(20代 女性)
- 外出するときなど、嫌でもお互いの行動がわかるから嫌です(30代 女性)
- プライバシーの確保が難しいと感じるため、住みたくないと思います(50代以上 男性)
2位は「プライバシーを確保できない」でした。
プライバシー確保の難しさから、二世帯住宅を敬遠する人もいるとわかります。
完全同居型など共有する空間が多いタイプの二世帯住宅だと、とくにプライバシーへの懸念は強まると考えられます。
居住スペースが分離されていても、壁を隔てて近い距離にいて気配を感じる場合や、相手がよく訪ねてくるような場合は、気になる人もいるでしょう。
行動が常に見られているような感覚になり、自分や夫婦の時間を大切にできないと、窮屈に感じます。
3位 干渉されたくない
- 二世帯住宅に住むと、義母の干渉がひどくなるのが目に見えているので、絶対に一緒に住みたくないです(30代 女性)
- 以前は自分の親と住んでいましたが、意見が合わず今は別々に暮らしています。一緒に暮らしていたときは、子どもたちのことや夫が家事をすることに対して口を出されました。また庭はあちこちに木や花を植えられて、まるで植物園のようになり、自分の家ではないみたいでした(40代 女性)
- 親から口をいろいろ挟まれそうで嫌です(50代以上 男性)
3位は「干渉されたくない」でした。
「親が過干渉気味なので、干渉されるのが容易に想像できる」という人もいれば、「近くにいれば、無意識でも、お互いつい干渉したくなってしまうと思う」という人もいました。
干渉されたくない内容としては、「育児の方針」が多く、夫婦間の家事分担も挙がっています。
実際に親と同居して干渉され、同居を解消した人も。
また「離れて住んでいる今でも干渉されているから、同居したらどうなるか」と危惧している人もいました。
「ライフスタイル」「価値観」「家事のやり方」を押し付けられることへのストレスが、二世帯住宅を避ける大きな理由になっています。
4位 親との関係が悪くなる
- 両親と祖母が一緒に住んでいますが、見ているといつも喧嘩してストレスを抱えているようです。「私も将来両親と一緒に住んだら喧嘩になってしまうんではないか」と思い、一緒に住みたくないと考えてしまいます(20代 男性)
- 実の親だと近すぎて喧嘩が増えそうだなと思う(30代 女性)
- 距離が近すぎると喧嘩になることも多いし、少し離れているくらいの方が親子関係が良いと思う(40代 女性)
4位は「親との関係が悪くなる」となっています。
「適度な距離があるからこそ、親子の関係が良好に保たれているので、近すぎる距離感は避けたい」とする人もいます。
近すぎることで干渉されたり、相手の嫌なところや受け入れられない価値観の違いが目についたりして、人間関係が悪化する可能性があるからですね。
実家や近所などで、二世帯同居によるトラブルを目の当たりにして、拒否感をもった人も。
「二世帯同居がきっかけで離婚した夫婦が周りに多い」という声もあり、親子間だけではなく夫婦間の亀裂にもつながりかねないことがわかります。
5位 生活リズムが違う
- 人によって生活リズムが違うので、寝ているときに物音が聞こえるなどの問題が多くありそうだと思うからです(20代 女性)
- どんなに仲が良くても、実の親だとしても、長期に渡って別で生活をしていたので、どうしても生活リズムが合わないと思うから(40代 女性)
- 自分たちのペースで生活するほうが、ストレスが少なく快適なので(50代以上 女性)
5位には「生活リズムが違う」が入りました。
「年齢」「職業」「家族構成」などによって、生活スタイルは違います。
例えば高齢の親は早寝早起きで、子ども世代は夜型という場合には、活動時間のズレによる生活音の問題などが、お互いの生活の質を損ねる可能性があります。
子どもが一旦実家を出て、自分の生活リズムを確立したあとに実家に戻って同居するような場合、自分の親でも、一緒に生活するのが難しいと感じるとわかりました。
二世帯住宅に住みたい理由1位は「家事育児が楽になる」
二世帯住宅に住みたいと答えた178人に理由を聞いたところ、圧倒的1位は「家事育児が楽になる(20.0%)」でした。
以下、2位「経済的なメリットがある(9.6%)」、3位「親の世話をしやすい(6.2%)」、4位「安心できる(3.2%)」、5位「ストレスは軽減できる(2.0%)」の結果です。
二世帯住宅に住みたい大きな理由は「助け合い」だとわかります。
二世帯住宅では子ども世代は親世代から育児のサポートを受けられる一方、親世代は子ども世代から介護や見守りのサポートを受けられます。
経済的な助け合いも可能です。
二世帯住宅に住みたい人は、ライフステージの変化や日常生活で起こりやすい困りごとに対応するために、「家族」という資源を活用しようとする傾向があります。
1位 家事育児が楽になる
- 新婚時は夫婦の時間が欲しかったので嫌でした。ただ子育てを視野に入れたら、一緒に住んだほうがいろいろな人の目があるし、子育てに協力してくれそう(30代 女性)
- 共働きなので、保育園の送迎や子どもの体調不良時の対応を手伝ってもらえたり、日々の家事を手伝ってもらえたりするのであれば、考えてもいい(40代 女性)
- 子育てを手伝ってもらえるから。家事や生活のサポートを受けられるから(50代以上 男性)
1位は「家事育児が楽になる」でした。
子育てや家事の負担軽減は、多くの世帯にとって二世帯住宅の最大の魅力になっていることがわかりました。
とくに共働きの家庭では、「保育園の送迎」や「子どもの急な体調不良の早退」「子どもの留守番」などで困ることも多く、二世帯住宅で親世代のサポートを得られるのは、大きな助けになります。
「親以外の大人が近くにいることで、逃げ場ができ、子どもの心も安定しそう」など、子どもへのいい影響を期待している声もありました。
親世代が子ども世代を助けるだけではなく、親が病気になったら子どもが家事の面倒を見るなど、助け合いが可能です。
2位 経済的なメリットがある
- 過去の経験から、家賃や住宅ローンがかからないのは、生活費を確保する上でとても大きなメリットであると感じました(30代 女性)
- 生活費や光熱費を分担できて、経済的に大きな助けとなるので(40代 女性)
- 経済的に助け合える状況であれば、住みたいと思います(50代以上 男性)
2位は「経済的なメリットがある」でした。
経済的な理由から、二世帯住宅を選びたいという声も多く聞かれました。
二世帯住宅では建築費や光熱費などのランニングコストを二世帯で折半したり、どちらかが多めに負担したりすることもあります。
経済的な余裕の少ない世帯にとっては、経済的なサポートを得られるのは、大きなメリットとなります。
「子育て中なので経済的に支援してもらえるのはありがたい」という意見もあり、教育費がかかる時期には、二世帯住宅のメリットが大きく感じられることもあるとわかりました。
3位 親の世話をしやすい
- いずれ介護が必要になる親と離れて暮らしていると、孤独死にもなりかねないので、一緒に住むのはアリかなと思う(30代 女性)
- 介護が必要になったときに、転居が不要(30代 男性)
- 両親が高齢になると、2人暮らしが心配になると思う。また親を介護するなら、近くにいたほうが良さそう(40代 女性)
3位は「親の世話をしやすい」でした。
二世帯住宅に住んでいると、子ども世代が親世代を見守りやすくなります。
体力や認知機能は衰えていないかを、日常的に近いところから確認できるからです。
帰省する手間がなく親の様子を確認しやすいという声もあり、親を心配する子ども世代にとっては、メリットが大きいとわかります。
実際に介護が必要になった際にも、二世帯住宅なら転居の手間がありません。
親の高齢化や在宅介護を見据え、二世帯住宅のメリットを感じている人も多いとわかりました。
4位 安心できる
- 相談できる先輩がいると心強い(30代 女性)
- 一緒に住むことで安心するなら、いいかなと思います。ただどうしてもうまくいかない関係ならやめておいたほうがいいので、状況によりけりだと思っています(30代 女性)
- 家を空けることがなくなり、安心(40代 女性)
4位は「安心できる」となっています。
身近で頼りやすい存在が近くにいることで、安心できる人もいます。
例えば子ども世代からすると、親は育児や家事のアドバイスを求めやすい相手です。
また親世代がリタイアして家にいる時間が長いと、家に誰もいない状態が少なくなるので、防犯面で安心だという声もありました。
やむなく二世帯住宅に住んでいる人からも、安心できる点はいいという体験談が寄せられていて、安心は大きなメリットだとわかります。
5位 ストレスは軽減できる
- 自分の親で、生活空間が完全に切り離されているならいい(30代 女性)
- 同居に近い二世帯住宅には住みたくないですが、お互いに干渉されない程度のプライバシーが保たれていれば、住んでもいいかなと思います(30代 女性)
- 完全分離型や部分共有型など、生活スタイルに合った設計であれば、ストレスを感じにくくなると思います(40代 女性)
5位には「ストレスは軽減できる」が入りました。
二世帯住宅であっても、間取りによっては共同生活のストレスを軽減できます。
例えば「玄関から完全に居住スペースがわかれている」「敷地内同居(別棟二世帯住宅)」などであれば、ストレスは感じにくいと考えられます。
また誰と住むかによってもストレスの大きさは異なるので、自分の親と住むなら、まだストレスが少なくて良さそうという声も。
住まいの形式やメンバーによって、二世帯住宅のストレスは軽減できるとわかります。
二世帯住宅もアリだと思う条件は「プライバシーを守れる間取り」
「二世帯住宅もアリだと思う条件」のダントツは「プライバシーを守れる間取り(69.2%)」で、70%近くの回答を集めました。
2位「経済的な援助がある(21.6%)」、3位「家事育児を助けてもらえる(20.2%)」も多くなっています。
「二世帯住宅に住んでもいいかな」と思えるためには、物理的な境界と精神的な自立が重要だとわかります。
上記の項目が確立されることで、二世帯住宅のデメリットであるプライバシーがない、干渉されるなどがカバーされるからです。
経済的な援助や家事育児のサポートも多くなっていますが、実際には「お金や子どもの世話などはサポートしてくれるけど、口は出さない」「家事育児や経済面の支援をしてくれるけれども、生活空間が分かれている家」という回答も多数。
つまり、物理的な距離と精神的な距離を保ちつつ、サポートだけはしっかり受けられる関係を理想とする人が多いようです。
1位 プライバシーを守れる間取り
- 会わなくても生活ができるようになっている。「キッチン」「お風呂」「トイレ」など生活に必要な場所が、それぞれある。プライバシーが守られている(20代 女性)
- 「玄関」「リビング」「台所」はこだわりがないので共同でも構わないが、お風呂やトイレは絶対に別(40代 女性)
- 完全に部屋が分かれていて、アパートみたいな感じでしたら良いです。玄関から全てわかれている状態です(40代 男性)
1位は「プライバシーを守れる間取り」でした。
具体的には「居住空間が完全にわけられている」「お風呂やトイレなどの水回りが別」「防音がしっかりしている構造」などです。
どの程度まで空間の共有を許容できるかは、人によって異なります。
ただ、自分にとって守りたい部分は譲れないという思いは共通です。
背景には、家族とはいえ別世帯という価値観や、プライバシーを重視する考え方があります。
2位 経済的な援助がある
- 新築の建築費を全額負担してくれることと、将来の老後資金をしっかり蓄えてくれていること(30代 女性)
- 建築費や光熱費を出してもらえるなどの経済的メリットがあれば、二世帯住宅も前向きに検討したいと思います(40代 女性)
- 住宅費用及び固定資産税などの負担がまったくないとき(50代以上 男性)
2位は「経済的な援助がある」でした。
主に親世代から子ども世代への経済的な援助を期待する声が多くなっています。
たとえ建築費は折半でも、親が土地を提供したり、もともと親が住んでいた家をリフォームしたりすることで、新規に土地購入と戸建て建築を行うよりは、費用を抑えられます。
建築費だけではなく、光熱費や固定資産税といったランニングコストに対して、親世帯からの金銭的支援を期待している人もいます。
援助の額が大きければ、プライバシーを多少犠牲にするなどのデメリットがあったとしても、「一緒に住んでもいいかも」と感じやすくなるとわかります。
また経済面に関しては、親世代が老後資金を用意していることという声もあり、親世代の経済的自立が求められいるとわかりました。
3位 家事育児を助けてもらえる
- 子どもの面倒を見てくれる。相手をしてくれる(20代 男性)
- 早退や休んだときに子どもを預かってもらえて、仕事場に迷惑をかけることなく仕事ができること(30代 女性)
- 子どもが4歳と9歳でまだまだ手がかかるので、病気などで見てもらわないといけないときに助けてもらえるなら、いいかもしれません。また人が作ったご飯を食べたくなるので、母のご飯を食べられるのはポイントが高いです(40代 女性)
3位は「家事育児を助けてもらえる」でした。
共働き世帯が増えているため、家事育児におけるサポートは、子ども世代にとって大きなメリットとなっています。
とくに急に体調を崩しやすい小さな子どもがいる場合には、すぐに頼れる親がそばにいることは、大きな安心につながります。
親が育児家事のサポートに積極的な場合には、子育て中の子ども世代は二世帯住宅を前向き検討できるとわかります。
二世帯住宅によって、子ども世代の負担が減ることが重視されています。
4位 干渉しない関係性がある
- 子どもの教育などに口出しをしない(20代 男性)
- 「お互いにできる限り干渉しない」という約束をする(30代 女性)
- 義父母が口を出さない、急に押しかけない(40代 女性)
4位は「干渉しない関係性がある」となっています。
物理的に間取りが分離されていたとしても、近い距離に住んでいると、どうしても相手の様子が目に入ったり聞こえたりします。
悪気はなくても親切心から干渉したくなってしまうことがあり、またやろうと思えば簡単に干渉できてしまう環境でもあります。
そのため「お互いの生活に口を出さない」「勝手に押しかけない」といった自制や、「頼りすぎない」といった精神的な自立が求められているようです。
設備面の分離ではなく、精神的に離れられるかどうかも、二世帯住宅で快適に暮らせるかどうかに影響するとわかりました。
5位 同居する親と仲がいい
- 相手の親との関係が良好である。むしろ仲が良い(30代 女性)
- 「人間関係が問題なくいける」と確信できる何かが必要です(40代 男性)
- よっぽど生活感や感覚が似ていて、「近い距離にいてほしい」と心から感じられる場合なら、アリかなとも思います(50代以上 女性)
5位には「同居する親と仲がいい」が入りました。
完全分離型でも同じ建物や敷地に住んでいれば、何かしらどこかしらで接触は発生します。
そのため近くで住む以上、関係性の良さはやはり重要です。
二世帯住宅への居住のスタート時点で、仲が良いこと、人間関係に不安がないことは、ストレスや摩擦を防ぐ土台となりえます。
建物などのハード面同様に、ソフト面も重要視されていることがわかりました。
まとめ
二世帯住宅には、「家事育児や介護の助け合い」「経済的なメリット」といったポジティブな面があります。
一方で「気を使って疲れる」「プライバシーがない」など、ストレスの原因になりそうという不安を抱えている人も多くなっています。
必要なときには助けてほしいものの、自分たちの生活やプライバシーは守りたいというジレンマがあるのですね。
そのため二世帯住宅に住む条件としては、間取りや精神的な自立によるプライバシーの確保を挙げた人が多くなっています。
ストレス要因を少なくできれば、二世帯住宅は精神的な安心感と経済的なメリットを両立できる選択肢となりえます。